ここでは、井川遥が語った朝ドラへの思いや役柄についての印象を紹介する。
―― 今回『おちょやん』に出演することが決まったときのお気持ちは?
多くの方の生活の中にある“朝ドラ”に出演できるのはやはり特別な喜びがあります。勇気やひたむきさ、主人公の生き方に見ている私たちが背中を押される。“朝ドラ”にはそんな魅力がありますよね。そして出演した時は必ず“杏姉ちゃん”“ひしもっちゃん”とその役名で呼ばれるのもうれしいんです。お話をいただいて今回は人の何倍もの濃い人生を歩んだ女性を演じるので私自身がタフでエネルギッシュでなければと思いました。
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―― ご自身の役柄についての印象(ご自身との共通点・異なる点などは?演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点は?
今回演じる百合子は、千代が憧れるスター女優。この時代に女性が社会進出をして芝居の道に進むのはいばらの道だったと思いますが、力強く切り開いていく新しい女性です。百合子は自分のやり方にまったく迷いがない。私自身はいつもこれでいいんだろうかと考えてしまう方なので、対局にあるような気がしますね。時代の変化や弾圧など様々な時代背景の中で、臆することなく突き進み命がけで生きる姿は本当に驚くばかりです。千代もそのすさまじいエネルギーや舞台の高揚感、臨場感に雷に当たったみたいに魅きつけられたんですよね。梛川監督からは、芝居をしているときの口調とふだんとが変わらない根っからの女優で、スターなんだとアドバイスをいただいています。誇り高さや優雅さを醸し出せたらと思います。往年の女優さんのインタビューなども拝見しました。気さくにお話しされていても気高く堂々としているたたずまい、その風格を出せたらと思っています。また、百合子の魅力は偉そうな振る舞いに反して天然でぼけているところもあるので、そのおかしみを演じられたらとも思います。浮世離れしていて周囲になじまないところは本を読んでいてもいつもクスッと笑ってしまいます。本気なんだか冗談なんだかわからない、百合子ってつかみどころがないんです。
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―― 収録に参加されてみて、現場の印象は?
NHKのドラマに出演させていただくたびに、美術さんや照明さんたちのこだわりや美意識にいつも驚かされています。道頓堀のオープンセットでは、その時代の匂いまで感じさせるほどすばらしくて感動しました。現代ではないので現場に入る前は台本を読んで考えたり文献に目を通しましたが、現場で監督とお話したり役者さんと作る中で感じることの方がやはり多いです。精巧に再現された町並みに身を置くだけでわくわくします。真夏の撮影が多かったので冬物のコートや帽子や巻物など、溶けてしまいそうでしたが(笑)、今となってはあの高い空と空間と、いい思い出になりつつあります。
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―― 放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。
ことしはさまざまな困難なことがありましたが、千代が前向きに立ち向かっている姿はきっとエールになると思います。笑いと涙、人情味あふれるすてきな作品です。この時代をきぜんと道を切り開いたひとりの女優の生き方と、ちょっと天然でつかみどころのないおかしみの部分もあわせて百合子の魅力として楽しんでもらえたらと思っています。