同作は、行成薫氏の同名小説を佐藤祐市監督が実写化。複雑な家庭環境で育ち、支え合うようにして生きてきた幼馴染のキダとマコトが企てた“ある壮大な計画”を描く。
岩田が裏社会で“闇の交渉屋”となるキダを、新田真剣佑が会社経営者として表の社会でのし上がるマコトを演じ、2人と強い「絆」で結ばれる転校生・ヨッチを山田杏奈が演じる。
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また、同作の半年後を描いたオリジナルドラマ「Re:名も無き世界のエンドロール ~Half a year later~」が、映画公開同日の29日より、dTVで独占配信される(全3話/21時~配信)。
映画とドラマ版、双方のプロデューサーを務めた内部健太郎氏に、製作に至った経緯やキャストの印象、「映画×配信」の連動した取り組みや今後の展望について話を聞いた。
――まずは、同作の原作を映像化するに至ったきっかけを教えてください。原作のどんなところに惹かれたのでしょうか?
内部氏:書店で小説を見た時に、『名も無き世界のエンドロール』という題名が映画のタイトルのようだなと思って気になり、手に取りました。最初は硬派な作品なのかなと思っていたのですが、読んでみると、強者と弱者という「格差社会」が根底に描かれた深い内容で、弱者の人間が強者のルールに巻き込まれて、事実がねじまげられていく物語だったので、今の時代にすごく合っているんじゃないかなと思い、企画を始動しました。
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――キャッチコピーに「ラストの20分の真実」とありますが、本当に衝撃的で、途中で気が付きそうで、気が付かない展開でした。
内部氏:そうですね。キダとマコトが10年もの歳月を費やして立てた“ある計画”を遂行するので、主演の岩田さんも「全てが分かった時に、切なくなる」「切なさが残る作品だ」と話されていました。
――岩田さんや新田真剣佑さんの撮影現場での印象を教えてください。
内部氏:岩田さんは脚本の読み込みも深いですし、こだわりがしっかりとあって、監督に演技プランを相談されたり、真面目に取り組まれる方です。新田さんは現場のムードメーカー的なところがあって、監督とも和気あいあいとやっていました。岩田さんとは年齢差があるのですが、新田さんがいたずらをしたりと無邪気な感じで、岩田さんは全てを笑って受け入れていたので、兄弟のように相性がバッチリでしたね。
――山田杏奈さんはどのようなところに魅力を感じて、起用されたのでしょうか?
内部氏:山田さんが出演している過去の作品を観た時に、見た目はおとなしそうな印象がありながらも、芯がある姿が現れていたので、ヨッチに合っているんじゃないかと思い、オファーをしました。山田さんは頭がいい方で、最初に会ったときに、すでに台本を読んで役のプランニングがしっかりとできていたので、監督が「先が怖いくらいにすごい」と話していました。
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――改めて、映画版の一番の見どころを教えてください。
内部氏:キダとマコト、ヨッチの「絆」が随所に描かれたサスペンスになっています。作品全体に伏線が散りばめられていて、その伏線をラスト20分から回収していくので爽快感が得られますし、2回見ても伏線を意識しながらより楽しめるようになっています。キダとマコトの感情をぶつけ合うシーン、マコトと、中村アンさんが演じるリサが対峙するシーンで、リサが絶叫する場面などは見ごたえがあると思います。
――映画公開と同日に、dTVオリジナルドラマ「Re:名も無き世界のエンドロール ~Half a year later~」も配信されます。この作品の制作に至った経緯と制作意図は?
内部氏:もともと僕はdTVのプロデューサーとして、映画と連動した作品を担当していたこともあって、今作で映画のプロデューサーをやる時に、dTVで何かしらの仕掛けを作っていきたいなと考えていました。原作が漫画のように多くのエピソードがあるものではないので、どこの部分を作っていくのがいいのかなと考えた時に、監督や脚本、原作者の方、岩田さんと話をして、キダのその後を描いた物語を作るのが面白いんじゃないかという話になり、dTVでは映画の後の物語を描くことにしました。
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――dTV版では、どのようにストーリーが展開していくのでしょう? キーマンはいるのでしょうか。
内部氏:dTV版は、映画のラストから半年後という設定で、目的を果たしたことで交渉屋稼業から足を洗おうと考えていたキダに、裏社会の交渉人として新たな依頼が舞い込み、新たな出会いもあって、キダが成長していく物語になっています。キーマンは、松井愛莉さんが演じるミチルというヒロインと、金子ノブアキさんが演じるキダの敵役の裏組織のボスですね。映画と切り離しても観ても楽しめるストーリーになっていますし、ガンアクションのシーンもあって、岩田さんと金子さんが対峙するシーンは見どころです。
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――コロナ禍になってからは、ネットが注目されて有料配信が伸びたりしていますが、市場の変化は感じられますか?
内部氏:はい、コロナ以降はディズニーやNetflix、アマゾンプライムなどでも映画公開と同時に配信をすることが以前より増えていて、作品を劇場で見るか、ネットで見るかというのを選択する時代になってきたのかなと思います。映画を作っている人間としては、映画館で見てほしいというのはもちろんありますが、一方でネットを上手く活用して、今回のスピンオフのように、一緒にものづくりをしていくことも、一つの取っ掛かりになるのかなと考えています。
――ネット配信ならではの作品の作り方というのは、あるのですか?
内部氏:はい、映画館であれば2時間しっかりと作品を観てもらうことができますが、ネット配信の場合は、視聴者は少しでも内容が分からないと観るのを止めてしまいます。dTVはスマートフォンでも観られるサービスなので、初めから分かりやすく伝えていくように構成したり、スピード感を出したりと、スマートフォンでも観やすくなる工夫をしています。また、配信ならではのニーズというのもあって、今回のように「裏社会」をテーマにしたものも、配信のニーズに合っていると思います。
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――今後も「配信×映画」を組み合わせた取り組みは、増やしていくのでしょうか?
内部氏:そうですね。今までも『不能犯』や『銀魂』などの連動作品を作ってきましたが、今回は初めてエイベックスグループが会社の垣根を越えて、映画とdTV版を連動で企画して作ったプロジェクトで、面白い取り組みでした。今までは基本は映画、それに対してdTV版が別に動いていたのですが、今回は、最初から合同のプロジェクトとして、一緒に盛り上げていく狙いがありました。
両作品のプロデューサーも宣伝プロデューサーも一緒なので、連動した宣伝展開の融合がうまくできて、非常にスピード感と幅のある展開ができたことが、大きなと成果だと考えています。配信に傾いている時代なので、今後もこういったプロジェクトをどんどん増やして、映画と配信が両輪で回っていくアプローチを仕掛けていきたいです。
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