イ・ジョンソクが除隊後初の出演ドラマとして注目され、初共演となる少女時代のイム・ユナと夫婦役を演じた。
勝率10%の三流弁護士、パク・チャンホ(イ・ジョンソク)が、ある殺人事件の弁護を引き受けたことから、数々の事件に関わってきた天才詐欺師「ビッグマウス」にでっち上げられ、巨大な悪と戦うことになる。
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15話、そして最終回の16話では、クチョン市長選に立候補したチャンホと現クチョン市長でチャンホの最大の敵となったチェ・ドハ(キム・ジュホン)の戦い、そしてドハが関係している会社・NK化学の不正を、命を懸けて暴こうとするコ・ミホ(イム・ユナ)の奮闘が描かれた。(以下ネタバレあり)
ミホ、無念の死! 命を懸けてチャンホを援護射撃
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14話のラストで、ミホが重大な病に侵されていることを示唆したシーンが描かれた。
刑務所で看護師として働いていたミホは、受刑者の中に体調不良者が続出していることに疑問を抱き、その謎を解明すべく受刑者が労働している場所を突き止めたのだが、ちょうどその時、作業場で事故が起きる。ミホは大量の水を浴びてしまうのだが、これがのちに放射線汚水であることが判明した。
作業場にいた死刑囚がミホに対し「体調に変化はありませんか?」と懸念していたことが的中し、被爆者となり末期の白血病と診断されてしまう。
すぐにでも治療を開始しなければならないミホだったが、それよりも優先させたのは、病に侵されていることを隠し、夫であるチャンホの選挙戦を応援することだった。
放射線汚染水を垂れ流しにしているのが、チャンホの敵・ドハが関係する会社・NK化学だと確信を持ったミホは、汚染水を流している養魚場をジェリー(クァク・ドンヨン)らと襲撃。動かぬ証拠を手に入れ、チャンホを援護射撃する。
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ドラマの中では、数々の奇跡が起きてきたので、ミホをなんとか生かしてほしいと願った人も少なくないだろうが、その願いもむなしくミホは亡くなってしまい、チャンホとミホの最後のやり取り、ミホの父、コ・ギグァン(イ・ギヨン)が見せる涙に、私たちは胸が締め付けられる思いを味わう。
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ミホの死に対してTwitterでも「なぜ?」という声が多い。物語を振り返って、2人のキスシーンがないだけでなく一緒に登場するシーンが少なかったことも残念だと感じた人がいるようだ。
しかし一方で、チャンホがミホをおんぶするシーンに心を打たれ、2人の絆を感じる素晴らしい演出だったという声もある。ミホはかつて長老に「チャンホは私がおぶって育てました」と冗談で言っていたが、キスシーンではなくおんぶで二人の間にある絆を表現をするオ・チュンファンの演出は、なかなか粋だと感じた。
チャンホが最後に見せたドハへの逆襲
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そしてもう一つの見どころ、チャンホとドハの戦いにも決着がついた。市長選ではドハに負けてしまったが、ミホがチャンホに言い残した「優しい正義のビッグマウスになってほしい」という言葉どおり、最後に敵をとった。
放射線汚水を無断で海に放流していたというドハの悪行がなければ、ミホが命を落とすことはなかったはず…という想いがチャンホにあっただろう。多くの人を傷つけたのに、クチョン市長として権力や金を手に入れたドハに対する恨みは想像ができないぐらい深いはずだ。
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そんなチャンホがとったドハへの復讐は圧倒的だった。なんとドハが通っているダイビングプールがあるビルを買い取り、プールの水を放射能汚染水に入れ替えてドハを死に至らしめたのだ。
「お前が流した放射能汚染水で、多くの人が死んだ。お前も同じ目にあうべきだろう」と言って、その場を立ち去るチャンホの背中はとても寂し気だったけれど、少しだけ胸のつかえが降りた瞬間でもあった。
多くの謎を残し、シーズン2に期待
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最愛の妻・ミホを失ったことで、天真爛漫だったチャンホから笑顔はなくなり、ミホの遺言どおり「いいビッグマウス」として生きていくことを決意。ドハに関するすべての悪事やクチョン大学病院で起きた殺人事件などを暴いていく。
しかしモヤモヤする部分も残っている。
例えばコン・ジフンだ。最後こそチャンホ側につき、協力者として奔走したものの、過去には悪事を働いており、クチョン大学病院の殺人事件にも実行犯ではないが深く関わっている。それなのに無罪放免どころか、ウジョン日報のグループ代表に就任した。Twitterでは「コン・ジフンの一人勝ち!」とツイートしている人もいたが、筆者としては解せない。
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また長老の息子は、たびたびその存在が話題となったが、とうとう姿を現すことがなかった。サイコパスで連続殺人事件の犯人であるにも関わらず、アメリカへ逃れているということで気になる存在になっていた。はっきり正体が明かされなかったところは残念だ。
DV夫のハン・ジェホ(イ・ユジュン)に殺されてしまった、チャン・ヘジン(ホン・ジヒ)のエピソードもあっさり片付けられてしまったし、何よりも初代ビッグマウスだったノ・バク(ヤン・ヒョンウク)がいかにして仲間を集め、巨大な組織を作り上げることができたのか、分からないことも多い。
最後、チャンホはソウルとみられる大都市に向かって車を走らせており、正義のビッグマウスとして、さらに巨大な悪を懲らしめる使命を全うしようとしているように見える。多くの謎が残されたままなので、シーズン2が放送されることを期待してやまない。
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■筆者プロフィール
咲田真菜
舞台・映画・韓国ドラマの執筆を手掛けるフリーライター。映画『コーラスライン』でミュージカルに魅了され、あらゆる舞台を鑑賞。『冬のソナタ』で韓国ドラマにハマって以来見続け、その流れで韓国映画、韓国ミュージカルにも注目するようになる。好きなジャンルはラブコメ、ファンタジー、法廷もの。ドロドロした愛憎劇は苦手。好きな俳優はイ・ビョンホン、イ・ジョンジェ、ヒョンビン、キム・ドンウク、チャン・ギヨン。いつか字幕なしで鑑賞したいと韓国語を勉強中。