前回は、ソン・ヘギョが演じるドンウン、そしてイ・ドヒョンが演じるドンウンを支えるチュ・ヨジョンを中心に本作の魅力をお伝えした。今回はドンウンを取り巻く登場人物たちにフォーカスをあてたい。(以下、物語の内容にふれるネタバレあり)
あらすじ:
母子家庭で育ったムン・ドンウン(ソン・ヘギョ、高校時代:チョン・ジソ)は、建築家になることを夢見て勉強に励んでいたが、金持ちのパク・ヨンジン(イム・ジヨン、高校時代:シン・イェウン)らから激しいいじめを受ける。そしてヨンジンの策略で退学に追い込まれてしまう。
母親からも見捨てられたドンウンは、工場で働きながら高卒認定試験→大学入学を果たす。つらい思いを味わっても、弱音を吐かず黙々と頑張ってきたのは、いつかヨンジンたちへ復讐すると心に誓ったからだった。そして念願の教師になったドンウン。本格的に人生をかけた復讐劇が始まった。
登場人物
ムン・ドンウン(ソン・ヘギョ、高校時代:チョン・ジソ)
本作の主人公。高校時代に壮絶ないじめに合う。いじめにより負ったやけどの傷が体中に残っている。自分をいじめた加害者たちに復讐するべく、18年間かけて準備を進める。
チュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)
形成外科医で、ドンウンの協力者で囲碁を教える。病院長の息子として生まれ不自由のない生活をしてきたが、父親が患者に殺されるという悲しい過去がある。
パク・ヨンジン(イム・ジヨン、高校時代:シン・イェウン)
ドンウンをいじめた中心人物。親が金持ちであることを盾にやりたい放題の女性。気象キャスターとなり金持ちのハ・ドヨンと結婚。一人娘・イェソルに恵まれ順風満帆な人生を送っている。
カン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン)
ドンウンの同志。DV夫に虐げられる日々を送っている。ドンウンに夫を殺してくれるなら復讐に協力するともちかける。
ハ・ドヨン(チョン・ソンイル)
ヨンジンの夫。建設会社の社長。金も地位もあるが、ヨンジンの過去を知ることでかつてない大きな壁にぶち当たる。
チョン・ジェジュン(パク・ソンフン、高校時代:ソン・ビョングン)
ヨンジンとともにドンウンをいじめていた加害者。金持ちの親に寄生する典型的なドラ息子。キレると手に負えない。色覚異常を患っている。
イ・サラ(キム・ヒオラ、高校時代:ペ・カンヒ)
ヨンジンの仲間で、ドンウンをいじめていた加害者。画家として活動しているが、薬物に依存する堕落した生活を送っている。
チェ・へジョン(チャ・ジュヨン、高校時代:ソン・ジウ)
ヨンジンの仲間で、ドンウンをいじめていた加害者。裕福な家の生まれではないため、ヨンジンとサラにバカにされている。客室乗務員になったのは玉の輿に乗るため。
ソン・ミョンオ(キム・ゴヌ、高校時代:ソ・ウヒョク)
ヨンジンの仲間で、ドンウンをいじめていた加害者。へジョンと同じく裕福な家の生まれではないため、大人になってもジェジュンのパシリをやらされている。
いじめの首謀者・ヨンジンを演じるイム・ジヨン
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シングルマザーの家庭で育ち、家が貧しいというだけでいじめのターゲットにされたムン・ドンウン(ソン・ヘギョ)。いじめの中心人物となったのが、パク・ヨンジン(イム・ジヨン)だ。
親が金持ちの実力者で、同級生のチョン・ジェジュン(パク・ソンフン)、イ・サラ(キム・ヒオラ)、チェ・へジョン(チャ・ジュヨン)、ソン・ミョンオ(キム・ゴヌ)を従えて、気分の赴くままいじめを繰り返してきた女性だ。「夢を持つのは貧乏人だけ。貧乏人が夢を叶えたら私がこき使う」と高校生で口にする恐ろしい女性なのだ。
ヨンジンは、財力があるだけでなく美人で華やかな雰囲気があり、大人になってからは美貌を活かして気象キャスターを務めている。あくまでも「箔をつける」ために就いた仕事で、建設会社社長の夫、ハ・ドヨン(チョン・ソンイル)の財力にものをいわせて、キャスターとしての地位を守っている。
大人になってからのヨンジンを演じるイム・ジヨンは、高校時代を演じたシン・イェウンに負けず劣らず強烈なキャラクターを作り上げた。ドンウンに凄んでいく迫力、片方の口角を上げ、人を馬鹿にしたように微笑む表情。一方で娘のイェソルには「강아지~(私の子犬ちゃん)」ととびきりの笑顔で優しい母親の顔をみせる。ドンウンが倒す相手として申し分なく、圧倒的な存在感だ。
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ジヨンは直近の作品では『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』で、パク・ヘスが演じるベルリンを慕う女性、ソウルを演じていた。銃を撃つシーンなど華麗なアクションを見せ、登場シーンはわずかだったものの、スペイン版にはないキャラクターを演じたことで印象を残している。
ヨンジン以上の敵になるのか? ヨンジンの夫、ハ・ドヨンを演じるチョン・ソンイル
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ドンウンが復讐を果たすにあたり、キーパーソンとなるのがヨンジンの夫、ハ・ドヨンだ。囲碁の初心者だったドンウンが、チュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)に教えを乞うてまで囲碁を習得しようとしたのは、ドヨンに近づくためだった。「囲碁のように相手の家を壊しつつ攻めていく」これがドンウンの目指している復讐の形だからだ。
パート1の終盤で、ドヨンは妻であるヨンジンが高校時代に壮絶ないじめをしていたことを知ることになる。その上、まだドヨンは知らないものの最愛の娘・イェソルはドヨンの子どもではない疑惑もある。
プライドが高く、何よりも体裁を重んじるドヨンがどういう行動を取るのか。ドンウンの復讐が成就するかどうか、大きなポイントになりそうだ。
そんなドヨンを演じるチョン・ソンイルは、『私たちのブルース』で、シン・ミナが演じるソナの元夫を演じている。育児ノイローゼで鬱状態になったソナから息子の親権を奪おうとする役柄だったが、今回同様にちょっと冷たい雰囲気があるエリート役を演じていた。
今回も冷たさが際立つ役柄だが、ドンウンにとって敵となるのか味方になるのか。キーパーソンとなるドヨンの動きに注目したい。
ヨンジンの仲間たちの運命は?
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ヨンジンの仲間である、ジェジュン、サラ、へジョン、ミョンオ。この4人は、高校時代にヨンジンと一緒にドンウンをいじめていたわけだが、明らかな違いがある。それはジェジュンとサラは裕福な家庭に育ち、へジョンとミョンオは貧しい家庭に育ったということだ。
大人になりジェジュンは親が経営するゴルフ場を継ぎ、ミョンオを「パシリ」として使っている。
へジョンは、高校時代の夢を実現し客室乗務員になったが、ヨンジンとサラからは「ドンウンがいなければあんたがいじめられていたことを忘れるな」とバカにされている。
そんな彼らの間に友情など成立するわけがなく、互いの結びつきの希薄さに唖然となる。たまり場に集まるシーンでは、相手の話など聞かず、自分のことばかりを口にし、自己中心的で仲間を平気で裏切る人たちなのだ。
役を演じる4人の俳優たちは、誰もが個性的でインパクトがある。ジェジュンを演じるパク・ソンフンの傍若無人ぶり、サラを演じるキム・ヒオラの薬物依存の虚ろな表情、ミョンオを演じるキム・ゴヌの暴力的なキャラクター。そしてへジョンを演じるチャ・ジュヨンのめげないセレブ気取りが、なんとも哀れだ。
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ミョンオとへジョンは、「裕福組」の態度に次第に不満を募らせていくのだが、この2人の気持ちを利用するのがドンウンだ。パート1で、すでにミョンオはこの世の者ではなくなってしまったようだが、ドンウンは彼らをどのように利用し、最終的に復讐をするのだろうか。
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ヨンジンのもう一人の協力者・カン・ヒョンナムを演じるヨム・ヘラン
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ヨジョンと同じようにドンウンに復讐の協力をしているカン・ヒョンナムは、長年夫のDVに悩まされてきた女性だ。勤めていた屋敷のゴミを半年間かけてあさるドンウンの執念に惹かれ、夫の殺害を条件に協力することを申し出る。
最初ドンウンがゴミを持ち去ろうとするところに現れたヒョンナムは、ドンウンの敵になると思ったが、忠実にドンウンの依頼をこなしていく。全くやったことがなかった車の運転やカメラの操作を必死で覚え、ドンウンの役に立っていることがわかると素直に喜びを表現し「私、陽気なDV被害者なんです!」と言う明るさがある。そんなヒョンナムと一緒にいると、「笑いたくない」と言っていたドンウンも思わず笑顔になってしまう瞬間があるほどだ。
2人の良い関係がずっと続けばいいのに…と思うが、そもそもヒョンナムの夫を殺すことを条件に成立した関係だ。パート1の最後で、ヒョンナムの娘をサラから奪い取ったお金でアメリカに留学させ、これから犯罪者となるヒョンナムから引き離すシーンが描かれた。娘との別れを悲しみ、涙を流すヒョンナムを見ているとなんとも切ない。
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パート2では、いよいよお互いのために事を実行に移すことになるだろう。2人の関係に変化があるのだろうか。つらいいじめシーンが描かれる本作で「ドンウンとヨジョン」のシーンと同じように癒しを与えてくれる「ドンウンとヒョンナム」。
どうか最後まで同志としてお互いの目的を果たし、2人にとって納得のいく結末を迎えてほしいと願うばかりだ。
Netflixシリーズ「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」独占配信中
■筆者プロフィール
咲田真菜
舞台・映画・韓国ドラマの執筆を手掛けるフリーライター。映画『コーラスライン』でミュージカルに魅了され、あらゆる舞台を鑑賞。『冬のソナタ』で韓国ドラマにハマって以来見続け、その流れで韓国映画、韓国ミュージカルにも注目するようになる。好きなジャンルはラブコメ、ファンタジー、法廷もの。ドロドロした愛憎劇は苦手。好きな俳優はイ・ビョンホン、イ・ジョンジェ、ヒョンビン、キム・ドンウク、チャン・ギヨン。いつか字幕なしで鑑賞したいと韓国語を勉強中。