同作は、高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生がモデルのオリジナルストーリー。浜辺は幕末から昭和にかけての激動の時代に、愛する植物のために情熱的に突き進んだ万太郎と恋に落ち、のちに妻になる寿恵子を好演。和装やドレス姿の美しさが評判になっているほか、読本にハマる寿恵子の“オタクぶり”も話題になっている。
――物語が進むに連れて寿恵子の登場シーンが増えていますが、周囲の方やご家族から反響は届いていますか?
祖父母には何週から出演するのかを伝えていなかったので「本当に出るのか」「いつから出るんだ」という連絡があって、すごく心待ちにしてくれていました。母は「今までのドラマとはまた違う感じで、きれいに撮ってもらえてありがたいね」と喜んでくれています。たまに行くもんじゃ焼き屋さんのおばあちゃん世代の店主さんや、友達のお母さんに会った時に「見ているよ」と言っていただいたり、役名まで覚えてもらっているので、それは今までにはなかった反響だなと思います。
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――いよいよ万太郎と寿恵子の恋が大きく動き出しました。寿恵子は万太郎のどんなところに惹かれたと思いますか。
寿恵子は狭い世界の中で生きてきたので、のびのびと羽を伸ばして東京に進出したり、植物採集に出掛けたり、東大に通ったりしている万太郎さんが見たことがない世界を見せてくれて、日本から海外を見るようなギャップがあったんじゃないかなと思います。万太郎さんが夢に向かって突き進んでいく姿を見続けたいという思いと、万太郎さんの人柄に惹かれた部分は大きいと思います。
――そんな万太郎のことを好きになる寿恵子を演じるうえで、心掛けていることはありますか。
寿恵子は万太郎さんと話している時は、すごく楽しくてワクワクしているので、家族の前の寿恵子とは違う顔を見せられたらと思って演じています。万太郎さんと出会った当初は17歳だったので、最初は少女らしい恋愛ですが、関係が深まる中で将来的には大人の恋愛的な部分を入れられたらいいなと思います。
――寿恵子の着物姿やドレス姿が「美しい」と評判ですが、浜辺さん自身が撮影で印象に残っているシーンはありますか。
舞踏練習会の発足式のダンスシーンが印象に残っています。劇中では、伊礼彼方さんが演じる高藤さんとの訣別のダンスのように描かれていますが、私としては伊礼さんとの撮影が最終日で、協力し合ってダンスを踊りました。何度も練習を重ねて撮影に臨んだので、本番が終わった後は「やり切ったね!」と言いながら、清々しい気持ちで2人で抱き合いました。
――万太郎と寿恵子の恋模様を描くシーンで、お気に入りのシーンは?
演奏会を2人で抜け出してお話するシーンが好きです。ステンドグラスから漏れる光がすごく綺麗なシチュエーションの中、万太郎さんに英語の歌詞の意味を教えてもらうのですが、普段のニコニコしている万太郎さんとは違った真っすぐな表情が印象的で、あの時に寿恵子は万太郎さんに心をガッチリとつかまれたのではないかなと思います。
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――そんな2人の姿を見て、浜辺さんが女性として憧れる部分はありますか。
2人が話している時はお互いにすごく楽しくて、ほかの人には見向きもせずに2人だけの関係性があるところに憧れます。寿恵子は高藤さんに全くなびいていない役作りをしているので、私は意外と高藤さんは2人の間に入る隙がなかったのではないかなと思います。
――本作は明治時代が舞台ですが、寿恵子は読本に夢中になる“オタク気質”で、同じような気質の植物オタクの万太郎に惹かれたり、現代の若者にも通じる部分があるのかなと思います。浜辺さんが現代の一人の女性として共感できるところはありますか。
劇中で寿恵子が読んでいる読本は、小説というよりも漫画みたいなポジションのものと捉えて演じているのですが、私自身も漫画や小説が好きで、時間を忘れて読みふけてしまうことがあります。ある意味、物語というものは冒険しているような気持ちにさせてくれるので、寿恵子の中の冒険が読本の中にあったのかなと思います。
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――12週以降で万太郎と寿恵子は結婚して夫婦として歩んでいきますが、人の一生を年齢を重ねて演じていくのは「朝ドラ」ならではだと思います。そういうかたちで寿恵子を演じていくのは、役者として面白さややりがいはありますか。
寿恵子の一生を演じる中で、山あり谷ありいろいろな出来事があって、それを乗り越えて寿恵子が成長したり、物事の捉え方が変化していくんだろうなと思っているので、すごく楽しみです。劇中で寿恵子がお母さんになったり、声が低くなったり、そんなふうに成長していけたらいいなと思います。
――最後に今後の見どころと視聴者にメッセージをお願いします。
万太郎さんと寿恵子の恋模様が急激に進んでいく中で高知に里帰りし、2人が波乱万丈な人生を前向きに乗り越えていく姿が見どころです。寿恵子は万太郎さんと一緒に人生の波を乗り越えることによって、女性として一人の人間として変化し続けていくのではないかなと思います。朝から視聴者の皆さんに元気を感じていただけるように頑張ります。