キングホテルの超VIP向けラウンジ「キング・ザ・ランド」の本部長で、キンググループ会長の息子、ク・ウォン(イ・ジュノ)とキング・ザ・ランドで働くチョン・サラン(イム・ユナ)。
恋人同士になってから、2人は仲睦まじい姿を惜しみなく見せてきたが、物語の終盤「身分違いの恋」への障害が登場してきた。2人の未来はいかに…?
■筆者プロフィール
咲田真菜
舞台・映画・韓国ドラマの執筆を手掛けるフリーライター。映画『コーラスライン』でミュージカルに魅了され、あらゆる舞台を鑑賞。『冬のソナタ』で韓国ドラマにハマって以来見続け、その流れで韓国映画、韓国ミュージカルにも注目するようになる。好きなジャンルはラブコメ、ファンタジー、法廷もの。ドロドロした愛憎劇は苦手。好きな俳優はイ・ビョンホン、イ・ジョンジェ、ヒョンビン、キム・ドンウク、チャン・ギヨン。いつか字幕なしで鑑賞したいと韓国語を勉強中。
咲田真菜
舞台・映画・韓国ドラマの執筆を手掛けるフリーライター。映画『コーラスライン』でミュージカルに魅了され、あらゆる舞台を鑑賞。『冬のソナタ』で韓国ドラマにハマって以来見続け、その流れで韓国映画、韓国ミュージカルにも注目するようになる。好きなジャンルはラブコメ、ファンタジー、法廷もの。ドロドロした愛憎劇は苦手。好きな俳優はイ・ビョンホン、イ・ジョンジェ、ヒョンビン、キム・ドンウク、チャン・ギヨン。いつか字幕なしで鑑賞したいと韓国語を勉強中。
(以下、物語の内容にふれるネタバレあり)
あらすじ:
チョン・サラン(イム・ユナ)とク・ウォン(イ・ジュノ)は、恋人同士となってから一時も離れたくないという仲の良さをみせていた。幼い頃に母親と行き別れたウォンは、これまで明るい表情を見せることがなかったが、サランと付き合うようになって人が変わったように明るく優しい人になる。
しかしウォンが目障りで仕方がない腹違いの姉、ファラン(キム・ソニョン)や、父のク・イルン(ソン・ビョンホ)の妨害で、2人の関係が怪しいものになっていく…。
登場人物
ク・ウォン(イ・ジュノ)
キンググループ会長の息子。幼い頃に母が自分のもとを去ってから笑うことがなかったが、サランと出会い、恋人同士になったことで弾けるような笑顔をみせるようになる。
チョン・サラン(イム・ユナ)
爽やかな笑顔と柔軟な対応力で、2年連続最優秀社員に選ばれているキング・ザ・ランドのホテリエ。ウォンと恋人同士になり幸せな日々を送るが…。
オ・ピョンファ(コ・ウォニ)
サランと部屋をシェアしている親友。キンググループの系列会社キングエアの客室乗務員。過去に離婚歴があることがバレて落ち込む。
カン・ダウル(キム・ガウン)
キンググループ系列の免税店アルランガのチーム長でサランの親友。だらしない夫にモヤモヤしながら1人娘を育てるワーキングマザー。
ノ・サンシク(アン・セハ)
ウォンの秘書。かつてはウォンと一緒にインターンをしていた。ウォンに対して言いたいことが言える数少ない友人の一人。能天気だが心優しい人物。
ク・ファラン(キム・ソニョン)
ウォンの腹違いの姉で、キングホテルの常務。企業は利益を生み出すことが第一と考える冷酷な人間だが、実は孤独で寂しい女性。
ク・イルン(ソン・ビョンホ)
キンググループ会長でウォンとファランの父親。ウォンの母親でキングホテルの社員だったハン・ミソとかつては仲の良い夫婦だったが…。
イ・ロウン(キム・ジェオン)
ピョンファの後輩で、キングエアの客室乗務員。誠実に仕事をこなすピョンファを尊敬し、好意を持っている。ピョンファを常に守り晴れて恋人になる。
チャ・スニ(キム・ヨンオク)
サランの祖母。口は悪いが温かい人物。ウォンに対してはつっけんどんだが、サランの恋人として認めている。
ハン・ミソ(ナム・ギエ)
ウォンの母親。かつてはウォンの父・イルンと仲の良い夫婦だったが、ウォンを守るために家を出て息をひそめて生きてきた。ある日ウォンの前に姿を現す。
王道ラブコメ定番の身分違いの恋 サランが取った行動は?
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イケメン御曹司を相手にしたラブコメ定番の「身分違いの恋」。ウォン(イ・ジュノ)とサラン(イム・ユナ)がキスをしているところをマスコミにスクープされ、2人の関係が公になってしまう。するとウォンの父、ク・イルン(ソン・ビョンホ)がサランをキング・ザ・ランドから追い出し、地方にあるキング観光ホテルへ左遷した。
こうなると、多くのヒロインが取る行動は「恋人に迷惑がかかるから身を引こう」と、追いかけてきたイケメン御曹司を避けて姿を消すのだが、サランは一味違った。
もちろんウォンとの将来が不安になり、左遷先の上司から「ここに来た意味が分からないのか? 男(ウォン)にはもう頼れないということだ」と同僚の前で罵られ、暗い表情を見せるシーンもある。ところが左遷先のホテルに愛着がわき、ホテルを立て直したいと一生懸命働く姿を見ていると、サランは正真正銘の「ホテリエ」なんだと実感するのだ。
そしてサランの左遷を知ったウォンがキング観光ホテルに現れると、ウォンを避けたり冷たくあたったりということは一切せず、ホテル業務を一緒にこなし、仲の良さを見せる。
「私はウォンとは釣り合わない」とつまらない考えを見せないのがサランなのだ。強くて明るく、何より笑顔がまぶしいヒロインは見ていて爽快だ。
結局ウォンの働きで、サランはキング・ザ・ランドに戻ることになるのだが、15話のラスト、ウォンに「離れたい」宣言をし、サランにプロポーズをしようとしていたウォンがうろたえる。
しかしサランはウォンから離れたいという意味で言ったのではなく、キング・ザ・ランドから離れたいと宣言したのだ。キング観光ホテルでの経験で、ホテリエとしてやりたいことはキング・ザ・ランドにないと気付いたサランは、自分のやりたいことができるホテルを作ることを決意する。
海辺の町に理想的な物件を見つけ、ホテルの開業準備をするサランは生き生きとしていて美しい。そんなサランを全力でサポートするウォン。そして遠いソウルから通ってくるウォンを心配し、「泊っていく?」と誘う大胆なサランも見どころの一つ。とうとう一夜を共にした二人の姿が美しく描かれるので、ドキドキしながら堪能してほしい。
生き別れていた母親と対面 ウォンが取った行動は?
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サランがキング観光ホテルに左遷になった頃、ウォンにも人生の転機が訪れていた。生き別れていた母、ハン・ミソ(ナム・ギエ)がウォンの前に姿を現したのだ。
数々のドラマで母親役を演じているナム・ギエが、ウォンの母親として登場。気品のある美しさからイメージにぴったり…と思った人も多いだろう。
そんなミソは、かつての夫、イルンに対しては冷たい態度で臨み、ウォンとの再会では大粒の涙をこぼすが、ウォンは冷たい表情をミソに見せていた。
応接室で2人が対峙する場面は、緊張感に包まれる。そこにはサランに出会う前の笑顔を見せないウォンの姿があったからだ。「恨んではいない。謝る必要もない」というウォンを複雑な表情で見つめるミソ。言いたいことを言って部屋を出るウォンを見て、2人が和解することはないのか…と残念に感じた。
しかしその後、ウォンは部屋の外で号泣する。ウォンが長年胸に抱えていた母親への想いが爆発し、母親がいる部屋へ戻って、2人は抱き合い和解。この一連のシーンは、サランとの愛とは違う、ウォンと母親の間にある、もう一つの愛の物語を象徴しているといえる。
自分の前からいなくなった母親の事情を理解しつつも、モヤモヤした想いがあったウォンが寛大な態度を取ることができたのは、サランと出会ったことが大きかったのだろう。
その後もプロポーズをしようとしたらサランから「離れたい」宣言をされながらも、彼女の真意をくみ取り応援する姿から、男性として成長したウォンの姿が描かれる。「愛は人間を成長させる」ということなのだろう。
ピョンファ&ロウン サブカップルにも幸運が!
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サブカップルとして注目してきた、オ・ピョンファ(コ・ウォニ)とイ・ロウン(キム・ジェオン)。嫌がらせを受けるピョンファを常に見守ってきたロウンの気持ちがようやく通じた。
ピョンファがロウンの気持ちを受け止められなかったのは、自身に離婚歴があったからなのだが、それには深い事情があった。かつての「結婚相手」がピョンファの意に反し無断で婚姻届を出したことで、図らずもバツイチになってしまったのだ。そんなことがあるのかと突っ込みを入れたくなるのだが、ピョンファにとっては不幸な出来事だった。
バツイチであることをひた隠しにしてきたピョンファだったが、ロウンに想いを寄せる後輩CAの嫌がらせで、過去が公になる。ピョンファはあまりの恥ずかしさにロウンを避けるようになるが、めげずにピョンファを支えるロウンに視聴者はキュンとしたことだろう。
2人の想いが通じた時、ピョンファからロウンにキスをするところは、年上の女性の余裕といったところだろうか。そして第3話でピョンファがロウンに「この間のお礼にお母様へ渡して」と渡したスカーフが、その後どうなったのかという伏線回収もしっかりされている。
いろいろあったサランとウォンだが、最終話では、めでたく結婚式をあげることになった。最初のプロポーズはサランの「離れたい」宣言でうまくいかなかったが、ウォンが2度目のプロポーズをして、見事OKをもらったのだ。
サランのハルモニ(おばあちゃん)にも認めてもらい、晴れて結婚式を迎えた2人。サランのウエディングドレス姿が美しく、美男美女カップルの結婚式で幕を閉じた本作は、最初から最後までW主演2人のまぶしいオーラを堪能できる作品となった。
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