2月28日からディズニープラス スターのオリジナル韓国ドラマシリーズとして始まった『予期せぬ相続者』は、財閥会長の隠し子と野心家の同級生が手を組んで権力争いに挑むリベンジミステリー。頭の切れる主人公が計画を実らせるために蒔いた“種”がそこかしこに散りばめられているため、居眠りは厳禁だ。今回はそんな同作の基本情報をまとめてみた。
(以下、ネタバレあり)
目次:
・あらすじ
・登場人物&キャスト
・見どころ
■筆者プロフィール
山根由佳
編集者・写真家のマネージャーなど複数の草鞋を履くフリーライターであり、海外ドラマ&映画の熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。X(Twitter):@ymndayo
山根由佳
編集者・写真家のマネージャーなど複数の草鞋を履くフリーライターであり、海外ドラマ&映画の熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。X(Twitter):@ymndayo
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あらすじ
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鋭い頭脳と冷徹な理性を持つ高校生ハン・テオは、長年彼と母のことを虐待してきた継父を刑務所に入れると、母の故郷で新生活をスタートさせる。しかし、転校先ではカンオグループ会長の婚外子カン・イナが周囲を威圧していた。転校早々アカデミックな才能を発揮するテオは真っ先にイナに目を付けられるが、その圧力に屈することはなく、イナはいつしか友好的に。そして、優秀だが犯罪者の息子でコネもカネもないテオと、コネもカネもあるが理不尽な扱いを受け続けてきたイナは、共にカンオグループの頂点の座を獲得するべく同盟を組むことにする。卒業後、韓国大学に進学した2人。毒親や貧困に喘ぐ苦学生ナ・ヘウォンと出会い、彼女もテオの計画に加わることになる。
登場人物&キャスト
ハン・テオ役:イ・ジェウク
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長年、継父からの虐待に耐え続けてきた苦労人。継父を陥れて刑務所に入れ、高校から一人暮らしを始める。全国上位0.1%に入る頭脳の持ち主で、底辺からのし上がるためイナを利用することに。大学卒業後はカンオグループに首席で入社、その能力と野心を買われ、最年少で会長秘書に就任する。感情を露わにせず、終始冷静沈着なテオを演じるのは、aespaカリナとの公開恋愛が話題沸騰中のイ・ジェウク。『ドドソソララソ』や『還魂』など恋愛作品での印象が強い彼だが、本作は“ラブ”要素控えめ。だが、キリリとした眼差しと落ち着いた物腰が、政権争いドラマの主演として適任である。
カン・イナ役:イ・ジュニョン
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カンオグループ会長の婚外子。継母、義兄2人に疎まれ、荒んだ高校生活を送っていた。テオと出会ったことで、本家の頂点奪取に向けて二人三脚で計画を進めることに。陽気な性格ゆえ生真面目なテオと良いコンビになるが、利用されている立場に不安も感じている。イナ役は、『マスクガール』、『D.P.-脱走兵追跡官-』など話題作への出演が続いている、U-KISS出身イ・ジュニョン。愉快な振る舞いで周囲を和ませつつ、人知れず負の感情に悩む複雑な役どころを演じている。
ナ・ヘウォン役:ホン・スジュ
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金を無心する母に長年苦しませられてきた、テオとイナの大学同期。テオと同じく、利用するためにイナに近づく。卒業後は社会部の記者を経て、政治家秘書官に。テオとイナの計画にも噛んでいる。知性と美貌を備えるヘウォンを演じたのは、モデル出身で、『都会の男女の恋愛法』や『Sweet Home -俺と世界の絶望-』シーズン2の出演などで、俳優としても注目を集めるホン・スジュ。
カン・ジュンモ役:チェ・ジノ
カンオグループの2代目会長。家族であれど、自身に歯向かう者を許さぬ冷血漢。『浪漫ドクター キム・サブ』の粘着質な院長役などで知られるチェ・ジノが演じている。ちなみに『キム・サブ』と同じく、彼の手下役は、チャン・ヒョクジン。
チャン・グムソク役:キム・ホジョン
ジュンモの2番目の妻。政略結婚のため夫への愛はなく、カンオグループを息子ソンジュに継がせようと必死。演じたのは、『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』や『クイーンメーカー』などのキム・ホジョン。
カン・インジュ役:ハン・サンジン
ジュンモの長男で、カンオグループの専務。道楽息子で乱暴者。『禁婚令 ー朝鮮婚姻禁止令ー』などのハン・サンジンが演じている。
カン・ソンジュ役:イ・ジフン
ジュンモの次男で、カンオグループの常務。約束を守らない卑怯な人物。演じているのは、歌手やミュージカル俳優としても活躍するイ・ジフン。
カン・ヒジュ役:チェ・ヒジン
ジュンモの娘で、カン家の末っ子。我儘な性格だが、義兄イナを慕う心優しい面も持つ。高校時代に家庭教師として現れたテオに長く片想いしている。そんなヒジュ役は、『力の強い女 カン・ナムスン』の偽ナムスン役が記憶に新しいチェ・ヒジン。
チェ・ドンウク役:コ・チャンソク
テオの大学在学時の教授。テオが作成した、吸収合併狙いのスタートアップ企業支援事業の論文を買い取ってカンオ経済研究所に提出し、それをもとに創設されたカンオグループ「共生協力センター」のセンター長に就任する。ソンジュの捨て駒。『ドリーム ~狙え、人生逆転ゴール!~』や『グリッチ ―青い閃光の記憶―』など、映画・ドラマ共に幅広く活動しているコ・チャンソクが演じている。
ハ・ミョンジン役:ホ・ナムジュン
東部地検検察官。警察出身で後ろ盾がなく、派閥に属さないため、テオに都合良く利用される。演じたのは、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』シーズン2などの新進俳優ホ・ナムジュン。
見どころ
1. 予想以上に硬派な財閥内争いの物語
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冒頭で「居眠り厳禁」と書いたのは、私への戒めの言葉でもある。今をときめくイ・ジェウクを筆頭にした若手俳優3人が主演とあり、最初は、重めのトーンながらそこまで複雑な展開に発展せずに恋愛メインになるのではないかと高を括っていたのだ。しかし、ぼわっと観続けていたところ、3話目あたりで混乱し始め、結局1話目から集中して観直すことに。すると、テオがいかに綿密な計画を立ててこの勝負に挑んでいることが分かり、作品の虜になった。
「ジュンモ会長非公認の婚外子を、カンオグループの後継ぎに据えさせる」。その目的を果たすためには、王様状態の会長はもちろん、同じく後釜を狙うイナの継母に義兄弟と、一筋縄ではいかない相手の先の先を読んでシナリオを組み立てていかねばならない。今のところその計画は序盤しか明かされていないが、それでも感嘆もの。会長の横領やグループの不利益など、一見共倒れしかねない事柄も最大限に活用するテオの手腕が実に鮮やかである。
物語の構成にも期待を高めさせられる。大学時代に主役3人の関係が変化した後は、いきなり5年後、テオが就職した場面へと飛ぶ。さらにそのすぐ後、会長秘書を務めて5年経った後が描かれている。映像化されていない10年間、テオは計画に向けてどのような糸を張り巡らせたのか。この先明らかになっていく仕掛けが楽しみで仕方ない。
2. 三角関係よりも気になるブロマンス
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テオ、イナ、ヘウォンは大学時代に三角関係になり、社会人になってからも微妙な距離感である。順風満帆なキャリアを進むヘウォンが玉の輿をゴールに据えているのかは疑問で、ヘウォンが最終的にどちらを選ぶのか読めない。しかし、彼女を軸にした恋愛関係よりも気になるのが、テオとイナの関係だ。
テオが「友人ではなくパートナー」と言い切って始まった2人の関係だが、イナはことあるごとにテオへの愛情を表現している。誕生日ごとに豪勢な食事やケーキを用意し、割りの良い家庭教師アルバイトを紹介し、大学の中でも外でもべったり。ヘウォンとの関係で荒れることのないイナだが、テオとの信頼関係が揺れると一人姿を消す時もある。一方のテオも、デフォルトは無表情ながら、人懐っこいイナには笑顔を向けており、とあるシーンでもヘウォンではなくイナを選んでいる。極め付けには「俺の存在理由はお前だけ」という台詞。計画完遂後もそのまま深い絆を保ち続けてほしいと強く願ってやまない。
3. 予告編なし! 点在する謎たちに予想が膨らむ
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物語の冒頭。血まみれの人物が横たわっている中、血を浴びたテオが混乱している場面が映し出されている。これがいつどこで発生するイベントかは分からないが、今後、権力争いの激化と共に誰か死を見ることになるのは間違いないだろう。イナの回想によって明かされた彼の母の死にも関連があるかもしれない。はたまた、テオの策略によって殺人犯にさせられた継父による復讐も考えられる。いずれにせよ、この先は死の匂いが漂うストーリー展開になっていきそうだ。
また、何か行動を起こしてくれるのではないかと期待しているキャラクターが3人いる。テオが利用していた検事、テオと協力関係にあるハッカー、そしてインジュの命令でテオを監視することになった手下だ。彼らが今後、テオの計画で何か優秀な働きをするのではないかと予想している。
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