本イベントは、吉永のスクリーンデビュー65周年を記念して“吉永小百合の青春時代”をテーマに2年にわたり実施されている企画の一環。日活全出演作の名場面をデジタル技術で再現した『吉永小百合青春時代写真集』(文藝春秋社刊)の発売に先立ち、吉永が自ら選んだ2作品『潮騒』『風車のある街』が池袋・新文芸坐にて特別上映された。
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観客の前に登場した吉永は「たくさんの方に来ていただいて、嬉しい気持ちです」と笑顔で感謝を伝えると、日活映画の撮影時の思い出を回顧したり、会場からの質問に応じるなど、ファンとのひと時を楽しんだ。
日活映画にデビューした当時について、吉永は「たまたま父の友人が日活で宣伝部長をしていて、日活に行くことになったんです。私は小学校や中学校で『赤胴鈴之助』や、いろいろな作品に出ていたので、高校に行ったら一生懸命に勉強しようと思っていたわけですが、高校の入学式の日に日活の撮影所に行くことになって。学校途中で衣装を変えて撮影所に行ったことを覚えています」とエピソードを披露。
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さらに「年間に2本出られればいいといわれたのですが、次の年になったら16本も出たりして。ほとんど学校に行かれなくなったのですが、日活がある意味、私の学校のようなものになりました」と当時を振り返った。
また、渡哲也さんや中尾彬さんと共演した思い出の映画『愛と死の記録』の話題になると、「渡さんはアクション映画でデビューなさった方ですが、この青年の役に一生懸命取り組まれました。昼間にロケをして旅館に帰って、ご飯を食べて、その後にリハーサルをして次の日にそなえるのですが、ある日、渡さんが見つからないんです。みんなで探したら、渡さんのお部屋の押し入れの中で眠っていたんですね。疲れちゃってリハーサルが嫌だったのかなと思って、みんなで可愛いねと言っていたこともありました」と思い出を披露。
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続けて「渡さんも4年前に亡くなって、もうお話することがなくなりましたし、この映画には渡さんお友達の役で中尾彬さんも出ていらして。中尾さんもつい最近亡くなられて本当に寂しいことなんですけれども、素晴らしい映画ですから、皆さんにもまた見ていただきたいと思います」と偲んだ。
最後に吉永は、日活で出演した79本にも及ぶ作品について「79本の作品は大切な私の宝物になっています。これからどういう形で私が映画界と関わっていくかは私自身も分かりませんが。この映画の世界でもうしばらく歩いてみようと思っています」と思いを語った。