東京みやげブランドといったら真っ先にあげる方も多い、「東京ばな奈ワールド」。言わずもがなスイーツブランドであるが、この度スイーツとはかけ離れた商品「東京ばな奈カレー」を発売した。ブランド史上初となるレトルトカレーは、EXPASA海老名(下り)で先行発売しており、5月30日からは公式通販での受注開始。そして、6月1日からはさらに販売店舗を拡大して本格的に発売を開始する。意外過ぎる新商品の開発背景や味を紹介していく。
実はずっと発売したかったバナナのレトルトカレー
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撮影:渡邉
東京ばな奈のレトルトカレーは、パティシエが監修を務めた商品だ。コンセプトに‟バナナで、カレーはもっともっと美味しくなる。“を掲げており、パティシエならではの視点が多く織り込まれた新発想のカレーだ。
東京ばな奈のメイン食材「バナナ」の特徴を熟知している同社は、バナナのとろ~りとした食感と、カレーのとろ~りが合わさったら今までにないカレーが生まれるのではないか?そして、バナナ特有のコクに着目していた。りんごの隠し味が美味しいのなら、バナナもいけるのではないか。そう考え、開発にあたったという。
また、同社は2000年には東京ばな奈カレーで商標を取得しており、実は東京駅でのカレーパンの販売や、海老名サービスエリアでのカレーまんの発売を数年前からおこなっている。今回のレトルトカレーは、念願の本命商品になるわけだ。
2種類の東京ばな奈カレーが誕生
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レトルトカレーは「バナナとバターのチキンカレー」と「バナナとナッツのフルーツカレー」の2種類である。バナナピューレをただプラスするだけでなく、今回のカレーのためだけに配合した15種類以上のスパイスをきかせ、隠し味には、素材の旨みを引き立たせる麹パウダーを使用した商品だ。
開発は、いかにしてバナナを表現するか、主役、脇役どちらにするのかと試行錯誤を繰り返したという。バナナの微量の調整で、大きく味が変わり、酸味が強くなったり、味が分離するなど難しい点も多くあるなか、スパイス感とフルーツ感のベストバランスを作り上げたそうだ。絶妙バランスで配合されたバナナは、まろやかなコクを引き出している。
バナナとバターのチキンカレー
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王道カレーを楽しめたこちらの商品は、バナナ感をダイレクトに感じるわけではなく、口に入れた後に残り続けるコク深さを表現した味わいだ。バナナに加え、お菓子にも使われている発酵バターと生クリームを使用することで、濃厚なコクがプラスされている。バナナとバターの相性の良さを引き出した提案は、スイーツのプロならではの組み合わせだろう。使用されているチキンはレトルトカレーにしては珍しい大ぶりサイズで、ホロっと柔らかく、味が染み込んでいる。
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ルーはバナナのイメージから甘めを想像していたが、少し辛目に仕上げられており、小さい子どもにはまだ早いだろう。が、万人の大人が好きそうな辛さであった。粘性はあまりなく、カレーうどんやスパゲティーにかけてもおいしく食べられそうである。
バナナとナッツのフルーツカレー
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一方、バナナとナッツのフルーツカレーは、バナナだけでなく、マンゴー、キウイなどのフルーツを20%も合わせた商品。チキンカレーに比べて粘性があり、ドロッとしたタイプのルーである。
バナナ感を引き立てるため、ナッツを絶妙に調整して仕上げているそうだ。フルーツの甘みのある香りに、カシューナッツペーストのまろやかなコクが混ざっており、複雑で濃厚な味わいとなっている。
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こちらも甘め目の辛さを想像していたのだが、意外にもチキンカレーよりも辛く感じた。おそらく、芳醇なフルーツの甘さと、ナッツの爽やかな甘みがベースとなっていることで、合わせたスパイスの辛味が際立っているのだろう。
因みに、こちらのカレーは、動物性原料を極力使用しないプラントベースドカレーとのことである。
バナナを使用した2つのカレーは、味わいが全く異なる個性的な商品であった。スイーツに欠かせない、バターやナッツ、フルーツを、バナナと掛け合わせたカレーは、パティシエの知見が随所に感じられる新しさだ。甘いバナナがどんな変貌を遂げているのか味わってみてはいかがだろうか。