NHK連続テレビ小説『おむすび』で米田聖人役を演じる北村有起哉が、自身の役柄や阪神・淡路大震災のシーンについて語った。
聖人は主人公・結の父であり、娘のことが心配でしょうがない真面目な性格。元理容師で、今は糸島で農業にいそしんでいるという設定だ。
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北村は元々朝ドラヒロインの父親役を演じたいという想いがあったそうで、「役者を始めた19歳の下積み時代に無謀な目標を掲げまして、そのひとつが朝ドラのヒロインの父親役を演じたいということでした。僕がヒロインの相手役というのはちょっと無理があるかなとそこは謙虚に笑」とコメント。「冗談はさておき、父の北村和夫が『おしん』のしゅうと役を演じていたというのも理由のひとつだったかもしれません。役者として父を超えてやるという若気の至りもありました。役者をやるなら、朝ドラに出演するぐらいの役者にならないと」「今回、ヒロインの父役が決まって僕としてはホッとしたという気持ちが強かったです。うちのおふくろもすごく喜んでくれましたね」と語っている。
また、聖人と永吉(松平健)の関係については、「健さん演じる永吉とはしょっちゅう親子げんかしていますね。監督とも相談してけんかのシーンはなるべく派手にやったほうがいいと、暴れさせてもらいました。親子げんかというのは楽しくてすごく素敵なことなのだなと感じました。僕の父はもう他界していて、振り返ってみると、生前に親子げんかをしたことがなくて。僕もこうやって親子げんかをすればよかったなと少し感傷的になり、僕にとっては大切なシーンになりました」という想いを明かす。
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さらに阪神・淡路大震災のシーンに関しては、「エキストラさん含め、本当にリアルに学校内の避難所を再現していただきました。ここでなんとか歯を食いしばりながら頑張ったうちの一人ですから、この風景に溶け込めるようにしなければと思いました」と振り返り、「避難所に永吉が来て『糸島にいくぞ』と言った時に聖人はまず反対しましたが、そのシーンのテストで、予想していたものとは違う感情が出てきたんです。本当に、『それだけはできない』って思いました。こんなに悲しくて悔しい。聖人ってこういうやつなんだ、と驚きました」とコメント。
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さらに「ある意味、聖人は神戸に親父と離れたくて糸島から避難してきたようなもんですからね。右も左もわからない神戸でとにかくがむしゃらにやっていたんだと思います。そんな時に、セリフにもありますが地元の商店街の人たちが温かく迎え入れてくれて、多分18歳の聖人を親身になって支えてくれたのでしょう。聖人はそういう恩を決して忘れないタイプ。ものすごく義理堅く、人並以上にそういうものを大切にするので、被災して神戸から離れることになったことを『ひどいことをした、中途半端なことをした』とより強く感じているのだと思います」と聖人の神戸に対する想いを分析している。