映画『ゆきてかへらぬ』の公開を記念して、2月13日に福岡県福岡市の西南学院大学で本編上映付きティーチインイベントが開催。出演者の広瀬すず、木戸大聖、監督の根岸吉太郎が登壇し、同作に関するトークを繰り広げた。
『ゆきてかへらぬ』は大正から昭和初期を舞台に、木戸演じる天才詩人・中原中也、岡田将生演じる文芸評論家・小林秀雄という2人の天才と、広瀬演じる女優・長谷川泰子の愛と青春を描いた物語。『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』で知られる田中陽造が40年以上前に書いた幻の脚本を映像化している。
上映後のトークイベントで、広瀬は自身が演じる長谷川泰子役について「泰子さんみたいに正直で人間らしく生きている姿に、うらやましいなと思う部分があったり、かっこいいなって思う部分があったり、自分をちゃんと表現できてる人だと感じました」とリスペクトの感情を吐露。一方で木戸は詩人・中原中也を演じるため、山口県の中原中也記念館にも足を運んだそうで、「詩が映画の中に出てくるっていう経験は中々無くて、僕自身が読むシーンがあったので、そのシーンは一番注力したのは勿 論、中也についてもしっかり勉強しました」と苦労を明かした。
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そして2人の言葉を受けた根岸監督は、「実はこの物語、トータルすると15年間ぐらいの時間経過があるんですよね。映画の中では描き切れていない、色んな出会いや出来事によって、登場人物たちも凄く変化していくんですよね。そんな変化をどんどん演じ分けていかなきゃいけないから、かなり難しい仕事だったと思います。それをよくやりきったなって思いますよ」と役者陣を賞賛した。
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また、印象的に残ったシーンについて聞かれた広瀬は、「泰子が中也の元を去って小林(岡田)の家に行って、なぜか中也も含めて3人でウイスキーを飲むシーンです」と明かし、「あのシーンはすごいカオスというか。3人の関係性が凄く表れていて、それぞれの目線がめちゃくちゃ面白い事になってるなと、結構好きなシーンになりました」と振り返る。
一方で木戸は、「僕はやっぱりダンスホールのシーンですかね。あのワンシーンの中に幾つもの感情が入っています。楽しく踊っていると思ったら、突然喧嘩になるし、小さなきっかけで、泰子が怒って中也もそれに怒って、小林は冷静に座りながら見てるみたいな。あのワンシーンの濃密具合は凄かったですね」と激しいシーンを回顧。「完成した本編も凄かったけど、実際の現場はもっと激しくて」と苦笑すると、広瀬が「監督が全然カットかけてくれないから…私達どんどん2人でヒートアップしてね、止めてくれる大人がどんどん増えていって、手が使えなくなったら私、最後は足出してましたけど…まさに戦争って呼んでました」と互いに本気でぶつかり合ったことを明かした。
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イベントの最後、広瀬は「この作品はお話頂いたのが5年前で撮影したのも2年前なので、なんかやっとこういうふうに手元から離れて届けられると考えると本当に多くの方に見ていただきたいなと思います。実在していた3人が過ごした真っ赤な青春を、今の若い同世代の方が見て、どういうふうに感じ取るのかなって凄く気になります。大正から昭和初期の時代の中でこういう女性の生き方があったりとか、価値観があったことを皆さんに知ってもらえたり、何かそれが皆さんに少しでもいい影響を与える作品になったらいいなと思います!今日はありがとうございました」とあらためて感謝を告げた。
なお映画『ゆきてかへらぬ』は、2月21日よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開される。