韓国プロ野球の二軍で異例の事態が発生している。一球団の選手が次々と“顔面死球”の被害を受けているのだ。
球場騒然の“顔面死球”が起きたのは、4月27日に行われたフューチャーズリーグ(二軍リーグ)のLGツインズ対サムスン・ライオンズの一戦。
LGが9-4とリードして迎えた9回表、サムスンの右腕投手キム・ソンギョン(25)が初球に投じたストレートが、打席に立ったLGの右打者キム・ヒョンジョン(20)の顔面に直撃した。
顔面死球を受けてその場に倒れ込んだキム・ヒョンジョンは、すぐに近隣の病院へ搬送された。LGの関係者は「搬送先で必要な検査などの措置をすべて受けた。大邱(テグ/サムスン本拠地)で治療を続けるわけにもいかないので、(LG本拠地の)ソウルの大型病院に移り、再びCTやMRIなどの検査を受けた」と現状を説明する。
検査の結果、顔面骨折や鼻骨骨折などの深刻な負傷がわかった。関係者によると、「顔面骨折は手術を受けずに自然治癒で回復を目指すが、鼻骨については手術をしなければならない。だが、現在は顔が腫れているので手術を受けられない。病院から帰宅し、自宅で安静にしながら、腫れが引くのを待っている」という。
プロ2年目のドラ1級、“LGの未来”と期待も…
顔面死球を受けた打者は心理的なトラウマを残すケースが多い。打席で140~150kmの速球を打つためには、ボールに対する恐怖心を克服しなければならないが、顔面死球で大怪我を負った選手が、復帰後に以前のようなパフォーマンスを発揮できなかった事例もある。
まずはキム・ヒョンジョンが手術を無事成功させ、順調な回復に向かうことを祈るばかりだが、その後、トラウマを克服して再び活躍してくれることを願う声も多い。
キム・ヒョンジョンは2004年8月4日生まれの20歳で、2024年に高卒ルーキーでLGに入団したプロ2年目の外野手だ。
ドラフトではLGから2巡目(全体18位)指名を受けて入団。“2巡目”ではあるが、LGがキウム・ヒーローズとの選手トレードで「ドラフト1巡目指名権」を譲渡していたため、キム・ヒョンジョンがLGの実質的な“ドラ1”だった。
高校時代から走攻守を兼ね備えた外野手の有望株と評価されたキム・ヒョンジョンは、LGでも次世代を担う中堅手として着実に育成されていた。
LGではプロ1年目の2024年に一軍で17試合に出場し、打率0.200(15打数3安打)、2打点、8得点をマーク。二軍では56試合出場で打率0.253(166打数42安打)、3本塁打、32打点、31得点を記録した。
2年目の今年は二軍でのスタートとなり、4月27日までに19試合に出場、打率0.250(52打数13安打)、2打点、12得点を挙げていた。

「頭部死球4回」の不運
なお、LGは直近だけで4度も頭部・顔面への死球を受ける不運が続いている。
まず、4月23日の尚武(サンム)とのダブルヘッダー第1戦に1番打者で出場したソン・ヨンジュン(25)は、1回の初打席で尚武の先発投手チョ・ミンソク(26)のストレートが頭部に直撃。幸いにも大きな負傷とはならず、以降も試合出場を継続して2打数1安打(三塁打)、1四球、1死球を記録した。チョ・ミンソクは危険球で退場となった。
すると、尚武とのダブルヘッダー第2戦でもソン・ヨンジュンは頭部死球を受ける。3回無死一、二塁のチャンスで、尚武投手イ・テヨン(21)のストレートが直撃。やはりイ・テヨンも危険球退場となり、ソン・ヨンジュンには代走が送られた。
翌24日の尚武戦では、7回表に先頭打者で打席に立ったキム・スイン(27)が、尚武のリリーフ投手カン・ヒョジョン(22)の初球ストレートをヘルメットに受け、代走が送られた。
なお、頭部死球を投げたカン・ヒョジョンは昨季までLGに所属。オフにLGへFA移籍したチャン・ヒョンシク(30)の人的補償としてKIAに移籍し、昨年12月に兵役のため尚武に入団したばかりだった。そして、同日の古巣LG戦がシーズン初登板となっていたが、最初の投球で“頭部死球”を犯してしまった。
(記事提供=OSEN)