韓国大統領選に出馬している有力候補が、Netflixドラマ『おつかれさま』の公式ポスターをパロディした広報物を公開し、激しい逆風に直面している。
保守系「国民の力」のキム・ムンス候補は6月2日、自身のSNSに『おつかれさま』のポスターをパロディ化し、「今もなお花びらのようで、今もなお夢を見るあなたに。『おつかれさま』6月2日大公開!!!」という文言を投稿した。
そのパロディ画像では、ヤン・グァンシク役を演じたパク・ボゴムの顔の位置にキム・ムンス候補が、オ・エスン役のIUの位置には妻のソル・ナニョン氏の顔が合成されている。
このポスターは、『おつかれさま』の主人公たちが済州島で過ごした青春を象徴するイメージだ。キム・ムンス候補側は、自分たちを困難な時代を共に耐え抜いた「ヤン・グァンシク&オ・エスン夫婦」のように見せようと意図したものと思われる。


しかし、オンライン上の反応は冷ややかだ。各種コミュニティやSNSでは、「ドラマを政治に持ち込むな」「事前の許可は得たのか」といった指摘が相次いでいる。
特にキム・ムンス候補が過去、「済州4・3事件」を「南労党(南朝鮮労働党=韓国で結成された共産主義政党)が起こした暴動」と発言した経歴が再び注目され、反発はさらに強まった。
「済州4・3事件」は、1948年~1954年、済州島で発生した武力衝突とその弾圧による大規模な民間人虐殺事件のことだ。
「4・3発言への謝罪もなくまた済州に来て参拝し、今度はドラマまで利用するのか」「よくヤン・グァンシクとオ・エスンを引き合いに出せるな」といった批判が続出している。
Netflix側も同日、『ハンギョレ』を通じて、「パロディ広報物を見た。事前協議はなかった」とし「様々なパロディが量産されているため、注視しているところだ」と明かした。
キム・ムンス候補は、今回の騒動以前にも有名人のイメージを無断で使用した前例がある。
5月には、eスポーツ界スター「Faker」ことイ・サンヒョク選手の写真と流行フレーズを自身の広報物に使用し、所属チームT1から抗議を受けて削除したことがあった。
いずれにしても、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で与党だった「国民の力」の大統領候補の暴走に、批判的な声が集中している。
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