チョ・ユリが演技と歌という“二兎”を見事に手中に収めた。
女優としては確実に印象を残し、音楽面でも明確なイメージを築き上げた。まさに「万能エンターテイナー」という言葉がふさわしい存在だ。
チョ・ユリは最近、自身の音楽的・内面的成長を盛り込んだ3rdミニアルバム『Episode 25』をリリース。実に約2年ぶりのカムバックであり、ダブルタイトル曲『Farewell for now!』と『Growls and Purrs』で約2週間の活動を成功裏に終えた。
彼女の好む音楽ジャンルを一つに融合させた作品であり、バンドサウンドやミディアムテンポなど、全体を通して豊かな音楽性が感じられる。
タイトル曲『Farewell for now!』は、力強いバンドサウンドの上にチョ・ユリの爽快なボーカルが重なった楽曲で、広く愛された。ミュージックビデオは再生回数1000万回を突破し、大きな関心を集めた。また『Growls and Purrs』は、子犬のように愛らしく、猫のようにツンとした雰囲気を清涼感たっぷりに表現している。
チョ・ユリは「本当に好きなバンド音楽に挑戦したことが、今回の最大のチャレンジのひとつ。歌に合わせてボーカル面でも変化を加えようと努力した。外見的にもヘアスタイルをショートに変えた。前作とはまた違った魅力を感じてもらえると思う」と語った。
今作では作詞にも参加し、女優・歌手にとどまらず多方面へと活躍の場を広げている。それは、どんな経験にも挑戦しようという姿勢から生まれた結果だった。
「今回のアルバムは私の意見がたくさん反映されている。作詞をはじめ、アルバムのコンセプトやデザイン、衣装など、全体にわたってアイデアを出して関わった。その過程は簡単ではなかったが、完成したアルバムを見ると、そのぶん誇らしさも大きい」
偶然にも音楽活動の時期が『イカゲーム』シーズン3の公開と重なったことで、話題性は十分だった。
チョ・ユリは同作で、新たな命を出産するジュニ役を演じた。非常に難易度の高い設定で、インパクトのある役どころだったためプレッシャーも大きかったが、演技デビューして間もないにもかかわらず、非常に見事な演技を見せた。特に、丸く愛らしい瞳の代わりに、切迫感あふれる鋭く裂けたような目つきが印象的だった。
過去には切実な時期もあった。芸能人練習生としての夢すら諦めなければならないかもしれないという、袋小路のような状況に追い込まれたこともある。だが、最後のチャンスでそれを乗り越えた。
ガールズグループIZ*ONEとしての活動を経て女優へ転向した際も、苦難は続いた。多くのオーディションに落ち、敗北感に打ちひしがれるなかでも、演技力の成長に希望を託し、ついに『イカゲーム』で特別な存在感を確立した。
次回作は、わずか2作品で「演出のうまい監督」との評価を受けたキム・ヨンフン監督のNetflixシリーズ『バラエティ』（原題）。アイドル業界を舞台にしたスリラー作品だ。
『バラエティ』には新人俳優が多数出演するが、そのなかでチョ・ユリは、『愛の不時着』で知られる女優ソン・イェジンと並んでW主演を務める。最近、初回の撮影を終えたばかりで、かなり以前から綿密に準備していたという裏話も伝えられている。
止まらぬ活動、続く挑戦、ポジティブな変化。チョ・ユリは、歌手としても女優としても最高の時間を自らの手で築き上げている。
◇チョ・ユリ プロフィール
2001年10月22日生まれ。2017年に放送されたオーディション番組『アイドル学校』（原題）に出演したが、惜しくもデビューメンバーには選ばれなかった。Stone Musicエンターテインメントで9カ月間、練習生期間を過ごした後、オーディション番組『PRODUCE 48』に出演し、2018年10月にIZ*ONEとしてデビューした。2021年10月、1stシングルアルバム『GLASSY』を通じて、ソロデビュー。2024年12月に配信された『イカゲーム』シーズン2、続くシーズン3で妊婦のジュニ役を熱演し、女優としての可能性も開いた。
