兵役忌避の疑いで20年以上も韓国への入国を禁じられている歌手ユ・スンジュン(英名スティーブ・ユ)のファンが、李在明(イ・ジェミョン)大統領に恩赦を求めたことを受け、過去に李大統領が残した文章が再び注目を集めている。
ユ・スンジュンのファンは最近、オンラインコミュニティに声明を掲載し、「政治家への恩赦事例のように、ユ・スンジュンにも同等の基準を適用してほしい」と主張。さらに「大統領の決断が平等性と公正性という憲法的価値を実現する事例となり、国民統合のきっかけとなることを願う」と訴えた。
ユ・スンジュンは1997年に歌手デビュー。2002年に公演で出国後、米国籍を取得して韓国国籍を喪失し、兵役回避疑惑が浮上した。その後23年間、韓国への入国を禁じられている。これまで在外同胞(F-4)ビザ発給拒否処分の取り消しを求めて3度訴訟を起こし、うち2度は勝訴したが、昨年6月に在LA韓国総領事館が再びビザを拒否し、現在も訴訟が進行中だ。

こうした中、8月11日に李大統領が光復節特別恩赦として計2188人を対象に特別赦免を実施すると、ファンがユ・スンジュンの“恩赦”を改めて要望。しかし世論は冷ややかで、10年前に李大統領がSNSに投稿した文章が再び脚光を浴びることとなった。
「裏切って捨てた大韓民国は忘れて」
当時、城南(ソンナム)市長だった李大統領は「国民の義務を逃れるために祖国を捨てた者…今さら何を言うつもりか?」というタイトルで、ユ・スンジュンの兵役回避問題に言及。
「ユ・スンジュンさん。あなたよりもはるかに厳しい人生を送る大韓の若者たちは、兵役義務を果たす中で今日も銃器事故で命を落としている。この厳しい国・大韓民国に戻りたいのですか?」と問いかけ、「韓国人たちの財布の金がもっと必要なのですか? それとも突然、愛国心が満ちあふれたのですか?」と指摘した。
さらに、「韓国語で歌い、大韓民国国民としてあらゆる恩恵と利益を享受しながら、いざ国民の義務を果たす時が来ると、それを避けるために大韓民国を捨て外国人の道を選んだあなた…。なぜ私たちは、あなたが韓国人に似ているという理由だけで外国人となった人に特別待遇を与え、相対的剝奪感で傷つかなければならないのですか?」と述べた。

そして最後に、「相対的剝奪感や不公平感は、あらゆる方法で兵役を免れ、のうのうと威張るこの国の高位公職者たちだけで十分です。もう、自らの祖国に忠実であり、裏切って捨てた大韓民国は忘れてください」と締めくくっている。
大統領がファンの訴えに応じるか否か、そしてユ・スンジュンが祖国の地を再び踏める日が訪れるのか、注目が集まっている。
(記事提供=OSEN)