サッカー韓国代表に史上初の「ドイツ系選手」が誕生する可能性が高まっている。
国際サッカー連盟(FIFA)公式サイトの協会変更プラットフォームでは、MFイェンス・カストロップ(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)の登録がドイツサッカー連盟(DFB)から韓国サッカー協会(KFA)に変更されたことが8月12日までに公表された。
カストロップは2003年7月29日生まれの22歳。ドイツ人の父と韓国人の母のもとドイツ・デュッセルドルフで育ち、デュッセルドルフとケルンのユースを経て2022年1月に2部のニュルンベルクへレンタル移籍した。翌2023年7月に完全移籍加入すると、昨季ブンデスリーガ2部では中盤の主力としてリーグ戦25試合3ゴール4アシストの活躍を披露。U-21ドイツ代表にも招集歴があり、通算4試合1ゴールを記録している。
今年2月にはボルシア・メンヒェングラートバッハ移籍が発表され、7月から正式にチーム合流。FW福田師王やFW町野修斗ら日本人選手とともに、自身初のブンデスリーガ1部を戦う。
今回の登録変更はカストロップ本人の意思によるものだという。韓国メディア『OSEN』によると、KFA関係者は「選手側がまず所属協会の変更を申請した。これを受け、KFAでも手続きを進めた。FIFAの処理も完了した状態だ」と説明するとともに、「カストロップが代表入りするには複雑な要素が多いが、今はそれを一つずつ解いていく過程にある。(登録変更は)次回の招集可否とは関係なく、彼が韓国代表に選ばれるために必要な手続きだ」と伝えている。

韓国では以前から代表入りの可能性が注目を集めてきた。ユルゲン・クリンスマン前監督はカストロップ本人と接触し、現在指揮を執るホン・ミョンボ監督もドイツ現地でプレーを視察した。ホン監督は今年3月時点で「解決しなければならない問題が多い」と招集に慎重な姿勢を見せていたが、最近では代表コーチがボルシア・メンヒェングラートバッハの試合を視察したことが報じられており、現体制での韓国代表デビューも現実味が帯びつつある。
カストロップ本人も兼ねてから“韓国愛”を公言してきた。過去には「韓国は本当に美しい国。人々も文化も素晴らしい」と発言し、自身のインスタグラムのプロフィールにドイツと韓国の両国旗を並べて掲載したこともある。今年5月には母親と2人でソウルを訪れた写真も公開した。
韓国成人男性に課せられる兵役義務など解決すべき問題も多く残されているなか、登録変更を決断した背景には韓国代表でのプレーを望む本人の強い意思が伺える。韓国代表初のドイツ系選手としてカストロップがピッチに立つ瞬間は見られるのか、今後も注視していきたい。