ガンバ大阪にも在籍した元韓国代表FWファン・ウィジョ(33、アランヤスポル)が、女性の同意なく性行為映像を撮影した容疑で、一審に続き控訴審(二審)でも同じ判決を受けた。
ソウル中央地裁・刑事控訴1-3部(チョ・ジョンレ、チン・ヒョンジ、アン・ヒギル部長判事)は9月4日、性暴力処罰法違反(カメラ等利用撮影)の容疑で起訴されたファン・ウィジョに対し、一審と同じ懲役1年、執行猶予2年を言い渡した。
ファン・ウィジョ「今後はサッカーに専念」
地裁は「被害者は深刻な精神的苦痛を経験した。(動画の)頒布行為は他人によってなされたが、被告人の撮影行為を前提とするものであり、撮影物の内容が性的羞恥心を誘発する」と指摘。また「被告人は被害者から許しを得ておらず、捜査段階では犯行を否認し、メディアに立場を表明する過程で被害者に対する情報の一部を示唆する内容を言及した。被害者に配慮できなかった行為は不利な量刑要素だ」と付け加えた。
また、ファン・ウィジョが判決前に被害者へ供託した件については、「被害者が受け取らない意思を示しており、刑事供託を合意や被害回復に準ずる量刑要素とはみなせない」と述べた。被害者はファン・ウィジョから供託金含む4億ウォン(日本円=約4255万円)の示談金を提示されたが、拒否したとされている。
同日、裁判に出席したファン・ウィジョは声明を通じて、「大きな傷を負った被害者に心からお詫びする。多くの愛情を受けてきたにもかかわらず、過ちによって信頼を裏切り、大きな失望を与えてしまった。今後はただサッカーに専念し、より成熟した姿でサッカーファンの皆さんと応援してくださる方々に信頼を回復できるよう最善を尽くす」と伝えた。

控訴理由書で「韓国の看板ストライカー」と主張も…
ファン・ウィジョは2022年6月から9月までの間、4回にわたり女性2人の同意なくプライベートの性行為映像を違法撮影した容疑で物議を醸した。2023年6月に「ファン・ウィジョの元恋人」を名乗る人物がSNS上で一連の主張を暴露したのがきっかけで、ファン・ウィジョも昨年10月の初公判で罪を認めた。
その後、今年2月14日の1審判決で懲役1年、執行猶予2年の有罪判決を言い渡され、併せて200時間の社会奉仕、400時間の性暴力治療講義受講も命じられた。ただ、この判決をファン・ウィジョ側、検察側いずれも不服とし、それぞれ控訴した。
ファン・ウィジョ側は控訴に際して93ページに及ぶ控訴理由書を提出。「懲役刑が確定すれば国家代表の資格を失い、選手生活を続けることも難しい」と減刑を訴えたほか、自らを「大韓民国の看板ストライカーであり先輩」「2026年の北中米ワールドカップで韓国代表の柱となるべき選手」と表現し、「後輩にノウハウを伝達するだけでなく、代表チームの中心として柱となる役割を果たさなければならない」と伝えたが、二審で判決が覆ることはなかった。
なお、「元恋人」を名乗ってファン・ウィジョの撮影映像を無断で流出したのは、ファン・ウィジョの実兄の妻だった。彼女も昨年9月、性暴力処罰法上のカメラなどを利用した撮影・頒布などの容疑で、最高裁で懲役3年の実刑判決を言い渡されている。
二審でも有罪判決を受けたファン・ウィジョだが、今年7月にトルコのアランヤスポルと2年の契約が発表されており、直近の9月1日に行われたリーグ戦でも先発出場して68分間プレーしていた。
◇ファン・ウィジョ プロフィール
1992年8月28日生まれ。韓国・全羅北道出身。身長185cm。大韓民国のサッカー選手で、元サッカー韓国代表。アランヤスポル(トルコ)所属。2013年に韓国Kリーグの城南一和天馬でデビューし、2017~2019年はJリーグのガンバ大阪でプレー。J1通算59試合23ゴールを記録し、2018年はJ1年間ベストイレブンに選ばれた。2019年夏にボルドー移籍を通じて欧州進出を果たし、2022年夏にノッティンガム・フォレストへ移籍。レンタルでオリンピアコス、FCソウル、ノリッジ・シティ、アランヤスポルでプレー。2024年夏にアランヤスポルへ完全移籍加入。