ドラマのセリフをめぐり、中国での活動に赤信号が灯った。
香港の日刊英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』などによると、現在中国では韓国女優チョン・ジヒョンが“炎上”状態だという。
きっかけは、9月17日に配信が開始されたDisney+オリジナルシリーズ『北極星』第4話で、チョン・ジヒョン演じる元国連大使の外交官ソ・ムンジュが「中国はなぜ戦争を好むのでしょうか。核爆弾が国境地帯に落ちるかもしれないのに」と発言するシーン。これが中国のネット上で激しい反発を巻き起こした。
現地のネットユーザーたちは「中国のイメージを歪曲した」「中国は平和を追求している。これは侮辱だ」と批判の声を上げている。
ただ、問題視されたのはこのセリフだけではない。大連をみすぼらしいスラム街のように描写した場面や、五星をかたどった模様のカーペットを踏みつける場面、悪役が中国語で話す場面なども次々と槍玉に挙がった。さらには、チョン・ジヒョンが中国古代の詩人・李白の詩を朗読する際に「発音をわざと歪めた」との指摘まで飛び出し、非難は雪だるま式に拡大している。

特に衝撃的なのは広告への余波である。彼女がモデルを務める化粧品や時計ブランドの一部は、中国国内におけるネット広告を削除したり、掲出を中断したりしているとも報じられている。かつて『星から来たあなた』(2013)で中国全土を席巻するほどの人気を誇ったチョン・ジヒョン。かつての大きな愛が、尋常ではない憎悪へと変わった格好だ。
ネット上では「そんなセリフを言って何の問題も感じなかったのか。中国市場でのキャリアを台無しにしかねない」「これが中国への侮辱でなくて何だ」「私たちを愛してくれていた女優だと思っていたのに失望した」といった反応が噴出。その一方で「セリフは制作陣が書いたもので、俳優個人を責めるのは行き過ぎだ」「ドラマの設定にすぎず、実際の政治的発言ではない」と擁護する声も上がっている。
『北極星』は韓国国内を越えて世界中に配信され、楽しまれているものの、今回の騒動はチョン・ジヒョンの今後の中国活動に深刻な影を落とすこととなりそうだ。
◇チョン・ジヒョン プロフィール
1981年10月30日生まれ。17歳の時にモデルの友人の撮影見学に行った際、関係者に声をかけられ、ファッション誌の表紙モデルを務め、芸能界デビューを果たす。1998年にドラマ『私の心を奪って』で女優デビュー。2001年に主演映画『猟奇的な彼女』が社会現象になるほどの大ヒット作となり、「国民の初恋」という愛称で爆発的な人気を集めた。また、2014年のドラマ『星から来たあなた』は、韓国のみならずアジア全域で大きな人気を得た。プライベートでは2012年4月に、ALPHA資産運用のチェ・ゴン会長の次男であるチェ・ジュンヒョク氏と結婚。2016年2月に長男、2018年1月に次男を出産した。