韓国Kリーグ3連覇中王者が1年で降格危機?内部分裂騒動に2度の監督交代…蔚山HDに何が起きているのか | RBB TODAY

韓国Kリーグ3連覇中王者が1年で降格危機?内部分裂騒動に2度の監督交代…蔚山HDに何が起きているのか

エンタメ 韓国・芸能
注目記事
韓国Kリーグ3連覇中王者が1年で降格危機?内部分裂騒動に2度の監督交代…蔚山HDに何が起きているのか
韓国Kリーグ3連覇中王者が1年で降格危機?内部分裂騒動に2度の監督交代…蔚山HDに何が起きているのか 全 1 枚
/
拡大写真

「シン・テヨン監督とは一緒に戦えません」

前年まで韓国Kリーグ1(1部)で3連覇していた蔚山(ウルサン)HDの主力選手は、10月1日、アウェイで行われた上海申花(中国)とのAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)リーグフェーズ第2節で1-1と引き分けた直後、キム・グァングク代表取締役に面談を要請した。そして、「シン・テヨン監督とは一緒に戦えない」という意思を伝えた。

同選手がこう伝えたのは、上海申花戦の試合後、シン・テヨン監督が記者会見で「選手団の刷新」を示唆する発言をしたからだ。指揮官の言葉にクラブ内部では衝撃が走ったが、当の本人は意に介することなく、自らの考えをありのままメディアに明らかにした。

このとき、すでに蔚山のチーム内部では選手とコーチ陣の信頼をめぐる“雑音”が多数出ていた。そんななかでの上海遠征は、まさに“ヨルダン川を渡る”場となった。

初の降格危機も“ワンチーム精神”崩壊?

蔚山の首脳陣は悩みを重ねた。クラブは今年8月に成績不振でキム・パンゴン前監督を解任した当初、本来はユースディレクターのノ・サンレ氏に監督代行を任せ、残りシーズンを乗り切る方針だった。ただ、急きょシン・テヨン氏を正監督に据える方向に転換していた。

シン・テヨン監督
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)シン・テヨン監督

だからこそ、短期間で2度目の「メス」を入れるのは、無能なクラブ運営を世間にさらす致命的な判断となるはずだった。

しかし、蔚山にはそれをやり過ごす余力も動力もなかった。

ディフェンディングチャンピオンである蔚山は現在、リーグ戦で入れ替え戦圏内の12チーム中10位に沈んでいる。4連覇の夢はとっくに潰え、ファイナルラウンド(第33~38節)でのファイナルB(下位グループ)進出も確定。10月の代表戦を終えて再開される残りのリーグ戦6試合では、クラブ史上初の“2部降格”という屈辱を避けるためにも、1部残留に死力を尽くさなければならない。

ただ、コーチ陣から巻き返し策となる“妙案”は出てこない。そこに特定選手の“排除”をめぐる議論も重なり、選手団は真っ二つに分裂。残留に必要不可欠な「ワンチーム精神」すら崩壊していた。

結局、蔚山はシーズン2度目の監督交代という強硬策を取らざるを得ず、2カ月前に案として挙がっていたノ・サンレ監督代行体制へ回帰することになった。

蔚山とシン・テヨン監督の“早すぎる別れ”

わずか65日での別れだ。10月9日、蔚山はシン・テヨン監督との契約解除を発表した。正確に言えば「解任」である。

シン・テヨン監督はAマッチ期間の休息期間に選手のオフが終わった後、同日より再び指揮を執る予定だったが、クラブから解任を告げられた。

指揮官本人も、その兆しは感じ取っていた。選手たちは練習場に戻ったが、通常通りのトレーニングが行われるはずはなかった。

蔚山HD
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)蔚山HD

蔚山のチーム事情に詳しい関係者によると、“別れ”の兆候は以前から出ていたという。

シン・テヨン監督は就任初期から、練習方法や選手とのコミュニケーションをめぐって雑音が絶えなかった。とある選手はクラブに対して正式に抗議し、事務局も公文形式でシン・テヨン監督に意見を伝えたほどだ。この過程で、コーチ陣と事務局の間に一時的に不穏な空気が流れることもあった。

それでも、成績が伴えばすべて丸く収まったかもしれないが、そうはいかなかった。シン・テヨン監督体制におけるリーグ戦勝利は、初陣となった8月9日の済州(チェジュ)SK戦(1-0勝利)が「最初で最後」だった。その後、リーグ戦では7試合連続未勝利(3分4敗)に終わった。

シン・テヨン監督に与えられた課題は、「火事になった家の鎮火」だった。混乱するチームを一つにまとめ、来季に繋がる希望のメッセージだけでも残せていれば合格点だった。

しかし、慢心の色が濃かった。Kリーグでの指揮は2012年まで率いた城南一和天馬(ソンナム・イルファ・チョンマ/現・城南FC)以来13年ぶり。以降、韓国の世代別代表監督やA代表監督、そしてインドネシア代表監督を務める間、Kリーグの選手や各クラブ事務局の姿勢、意識、スタイルは急速に変化していた。何より、シン・テヨン監督自身、「シーズン途中のクラブの火消し役」を担うのは初めての経験だった。

久しぶりに国内で指揮を執るからこそ、Kリーグを離れた後の空白期や急変する流れを考慮し、より慎重かつ段階的な対応が必要だった。ただ、“自分のやり方”ばかりを押し通したことで、衝突を生んでしまったという批判がある。

とはいえ、蔚山の不振のすべてをシン・テヨン監督のみの責任に帰すことはできない。彼が抱えるリスクは蔚山の事務局も十分に把握していた。当初の選任をめぐっても内部で異論があったが、“親企業の特定の人物”がシン・テヨン監督招へいを主導したことは、韓国サッカー界では公然の秘密となっている。この件をめぐっても、親会社の監査チームが最近、監督選任過程について調査まで行ったことが確認されている。

2022~2023年にホン・ミョンボ前監督(現・韓国代表監督)体制で17年ぶりのリーグ優勝、さらには2連覇を成し遂げ、「第2の全盛期」の礎を築いた蔚山は、「アマチュアレベルのクラブ運営」によって新たな王朝を築く機会を失った。

ディフェンディングチャンピオンであるはずのクラブが、史上初めてファイナルBに転落し、シーズン中に監督2人を解任するという、過去に前例のない事態へと突入している。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.

【写真】元G大阪の韓国人FW、性犯罪で「準・永久追放」に

【画像】Kリーグで顔面殴打→処分なしの判定が大炎上

【写真】韓国人Jリーガーのモデル奥様、大胆スイムウェア公開

《スポーツソウル日本版》

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/