10月25日に韓国で開催予定だったJ-POP特化音楽フェス「Concrete Jam 2025」から、indigo la EndとThis is LASTの2組が相次いで出演辞退を発表した。
開催5日前の段階で2組が出演辞退を発表するのは異例のことだ。両者とも「開催に関して不確定要素が多く、適切なライブができないと判断した」と説明している。特にindigo la Endは初日のヘッドライナーとしてステージに立つ予定だっただけに、失望したファンも多いだろう。
もはや開催される?という状況に

ひとつの音楽ジャンルとして確立され、世界的な人気を誇るK-POPだが、ライブ関連の現場は決して安定していない。特にここ数年は、海外公演のトラブルが目立つ。
実際、今年だけでもG-DRAGONやD-LITEの海外ツアー、BoAの25周年記念コンサートなど、大物アーティストのライブが相次いで中止になった。もちろんアーティストの体調不良や天候といった、やむを得ない事情もある。それでもファンの不安は募るばかりで、チケットを購入できるかのドキドキ感、公演当日までのワクワク感が、「本当に開催されるのか」という不安にすり替わってしまっている。
このような状況をめぐり、一部の関係者やプロモーターの間では「強行開催するより、損失を最小限に抑えるために中止したほうが良い」という認識が広がりつつあるという。
背景にあるのは、ギャラの高騰だ。当たり前のことだが、アーティストの人気が高まるほど出演料も上昇する。そのため海外公演を行う際、現地のプロモーターは収益が出るよう大規模会場を押さえ、チケット価格も高めに設定する。だが、この予測が外れ、観客が半分も埋まらなければ大きな損失が生じることになる。まさに大きなギャンブルといえるだろう。
そのため一部では、「チケットの売れ行きによって開催可否を判断しているのでは」との声も上がっている。正式な発表や報道があったわけではないが、こうした“陰謀論”が出てくること自体、観客の不満が蓄積している証拠といえる。
韓国国内にも問題が
こうした海外公演の問題が指摘される一方で、韓国国内の公演には別の課題がある。最大の問題は、公演インフラの不足だ。韓国で1万人以上を収容できる屋内施設はわずか5カ所しかなく、そのためアーティストの人気の高まりに会場の供給が追いついていないという。
その結果、チケットの倍率は上がるだけでなく、数少ないプレミアチケットを転売目的で買い占める業者もいる。具体例として、10月末に開催のNCT WISHのコンサートでは、定価19万8000ウォン(約2万円)のVIP席が40倍超の800万ウォン(約80万円)で取引されるなど、とんでもない状況が生み出されているのだ。

適切な会場、流通ルート、転売を監視する仕組みが整っていないことで、真面目に公演を観たいと願うファンほど不利益を受けるという悪循環が生まれている。
ただ、今回の「Concrete Jam 2025」は、日本のアーティストが韓国で公演を行うという珍しい形態であるため、これらの問題と直接的な関係は薄いように見える。

しかし、過去には日本のアーティストが韓国で被害を受けたケースも存在する。2004年には、安室奈美恵さんが韓国公演を行った際、現地プロモーターによるギャラ未払いが発生し、訴訟に発展した。
安室さんほどの大物が被害に遭ったことを考えると、韓国公演業界の内部構造や慣行が、“予測不可能なリスク”として日本のアーティスト側に意識された可能性も否定できないだろう。
K-POPが成長を遂げた背景には、長年お金を払って応援し続けてきたファンの存在がある。世界的な人気を獲得した今こそ、“ファンファースト”の原点に立ち返る時期に来ているのではないだろうか。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
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