ACL初出場の韓国・江原(カンウォン)FCがJ1リーグ王者相手に劇的な勝利を収めたが、課題も残った。結局は「経験の問題」だ。
チョン・ギョンホ監督率いる江原(カンウォン)FCは10月22日、ホームの春川松岩(チュンチョン・ソンアム)スポーツタウンで行われたAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)リーグステージ第3節でヴィッセル神戸に4-3で勝利した。
対戦相手の神戸はJ1リーグ2連覇中の王者であり、今季も現在4位で優勝の可能性を残している。そのため江原戦にはメンバーを大きく入れ替えて臨んだが、レベルの高いチームと言って良い。
そんな“日本最強チーム”の神戸を相手に、江原は完璧な前半を見せた。7分にFWイ・サンホンの先制点が生まれると、21分にFWモ・ジェヒョン、43分にDFソン・ジュンソクが追加点を決め、前半だけで3-0。内容面も圧倒的で、後方からのビルドアップを通じて完成度の高い攻撃をしたかと思えば、江原らしい連動したプレスで神戸を揺さぶるなど、攻守で“無傷”とも言える45分間を披露した。
問題は後半だ。キックオフからわずか5分で2失点し、終盤には同点弾まで許してしまったのだ。後半アディショナルタイムにFWキム・ゴンヒが決勝点を決め、劇的な勝利を手にしたものの、後半のパフォーマンスは前半とまったくの別物だった。

もっとも、これは神戸戦に限った問題ではない。今季の江原を苦しめているのは、まさにこの「後半の底力」なのだ。
神戸戦以前のKリーグ1第32節・FC安養(アニャン)戦、そして第33節の大邱(テグ)FC戦は、いずれも江原が先制しながら、最終的に同点に追いつかれドローで終えた。特に、大邱戦は前半20分までで2点リードするも、後半35分とアディショナルタイムの失点で追いつかれるという展開だった。
いくら優位に試合を進めても、土壇場に失点して勝ち切れない。神戸戦ではその弱点が再び浮き彫りになった。もはや“偶然”で済ませることはできない。
チョン・ギョンホ監督に課せられた課題は、「90分通して安定したパフォーマンスを維持させること」だ。流れを変えられる交代選手が少ないという現実的な要因もあるが、それ以上に監督としての経験やノウハウの部分で成長の余地が見える。
本人もこれを自覚しており、指導者としてさらに飛躍するため、試合後も地道に映像を分析して勉強している。正監督1年目だからこそ経験できる試行錯誤とも言える。

ただ、今回特に注目すべきは、チョン・ギョンホ監督が築き上げた江原の「プランA」、つまり明確なゲームモデルの完成度だ。江原の戦術はKリーグ1だけでなく、コリアカップ、そしてACLEの舞台でも通用している。
リーグでは2年連続で上位グループ進出を果たし、コリアカップではベスト4の成績を残した。ACLEではここまで2勝1敗で、勝利した相手は上海申花と神戸。唯一の敗戦となったアウェイの成都蓉城戦も、控えメンバー中心ながら内容では上回る場面を多く作った。
4バックと3バックを自在に切り替える“システムサッカー”によって、江原はどの相手にとっても厄介な存在に進化している。神戸戦こそ、チョン・ギョンホ監督が描くゲームモデルの競争力を示す一戦だったと言える。
この勢いを続けられれば、江原は昨季ACLEベスト8の光州(クァンジュ)FCのように、初出場ながらアジアの舞台で旋風を巻き起こす可能性が十分にある。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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