『シグナル』俳優チョ・ジヌンの芸能界引退ににじむ“社会的制裁”を求める風土の恐ろしさ | RBB TODAY

『シグナル』俳優チョ・ジヌンの芸能界引退ににじむ“社会的制裁”を求める風土の恐ろしさ

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『シグナル』俳優チョ・ジヌンの芸能界引退ににじむ“社会的制裁”を求める風土の恐ろしさ
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俳優チョ・ジヌンが高校時代の重大犯罪疑惑の報道後、自ら芸能界引退を宣言した。

所属事務所は、「未成年のときに誤った行動があったことを確認した」としながらも、性的暴行への加担の疑惑は否認した。

この件は、30年前に終結した。当時、事件は捜査・裁判・少年保護処分という法的手続きによって処理され、青少年保護機関内の教育で終えられたと見られている。

韓国社会にはさまざまな矯正システムがあるが、保護観察制度や少年院も法が定めた手続きのなかで罪を償わせ、再び社会の一員として戻ることができるようにするためである。

このように、少年院は子供たちを社会から永久に追放するための場所ではない。再び社会に戻り、人間らしく生きられるようにするのが目的だ。

もし青少年期に一度道を誤った人に対して、「お前はそのときすでに人生が終わったのだ」と宣言するならば、教育・矯正システム全体の意味がなくなる。法が定めた処罰を終えた人に、我々は別途“社会的無期懲役”を宣告してはならない。

青少年期の貧困と家庭内暴力、無関心、暴力、いじめ、中毒などで混乱した子供たちは、たまに犯罪に足を踏み入れる。明らかな間違いだ。ときにはその行動を繰り返すこともあるが、ときにはその後の人生でまったく違う軌跡を描くこともある。そのような側面から、成人後のチョ・ジヌンの行跡は模範的な事例に近い。

チョ・ジヌン
(写真=Netflix)チョ・ジヌン

一部の人々は、チョ・ジヌンを偽善的だと言う。「独立運動家、正義の刑事を演じ、イメージを塗り替えた」と憤る。彼が光復節(韓国の祝日、日本の植民地支配からの解放を記念)の慶祝式で国旗に対する誓いを朗読し、独立運動に関連する作品のナレーターを担当したことが、過去の姿に合わないという反応も見える。

俳優は自身の人生とはまったく違う人物を演じる。役を通じて、自分の内面と向き合い、ほかの人生の可能性も探索し、観客と対面する。チョ・ジヌンが独立運動の英雄と刑事、正義の人物を演じてきた時間もやはりその延長線上にある。

そのため、俳優チョ・ジヌンの軌跡は、偽善ではなく一個人の長い反省過程の結果だと見なければならない。それでもすべてを偽善だと断定するならば、彼の築き上げてきた人生そのものが否定され、一瞬にして消えることになる。

もちろん被害があるならば、被害者への謝罪と責任は最後まで果たさなければならない。しかし、すでに法の審判を受け、その後20~~30年をその道一本で生きてきた人に今になってすべてを置いて消えろと石を投げつけるのは穏当ではない。

しかも青少年期の事件だ。未成年のときの暴力と犯罪は正当化されえないが、だからといってその時期の誤りを永久の烙印として「一生何もするな」と要求することは、社会が自ら作った矯正・教育システムを否定することになる。

それでも、チョ・ジヌンは結局、芸能界引退を選択した。彼は「すべての叱責を謙虚に受け入れる」として、「今後、1人の人間として自らの姿勢を正すことができるよう省察する」と明らかにした。しかし、韓国社会の成熟と公正を考慮するならば、引退が永久追放となってはならない。

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《スポーツソウル日本版》

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