人気K-POPグループ・NewJeansが、対立していた所属事務所「ADOR」に復帰する意向を示した。前代未聞の契約解除宣言、事務所離脱をめぐる裁判での敗訴、“生みの親”ミン・ヒジン氏との別離、そして活動再開を見据えた復帰。激動の1年を振り返りながら、彼女たちの来年を少しだけ予想してみた。
■そもそも、なぜNewJeansはこんな事態になったのか?
「結局、NewJeansってどうなったの?」
ここ最近、そんな声をSNSで見かけるようになった。それほど、彼女たちの騒動は長期化していた。そもそも、なぜこんな事態になったのか。振り返る前に、おさらいしておこうと思う。

騒動のはじまりは、2024年4月。NewJeansの“生みの親”と言われる、ADOR代表取締役、ミン・ヒジン氏の独立疑惑だ。ADORの親会社・HYBEとの対立を経て、ヒジン氏はADORを退社。NewJeansはADORにヒジン氏の代表復帰を求めたが、受け入れられなかったため、彼女たちは同年11月の緊急会見をもって、所属事務所ADORとの契約解除を一方的に宣言した。これらが、2024年に起きた一連の出来事だ。
■強行突破の代償...裁判敗訴で活動休止へ
ここからが本題、今年の動きだ。2025年2月、彼女たちは「NJZ」という新たなグループ名で活動を開始。NJZの公式SNSは瞬く間に注目を集め、インスタグラムではメンバーの子どもの頃の写真や外出時のファッションが公開されるなど、積極的な発信が行われていた。また、日本のテレビにNJZとしてインタビュー出演。再出発への想いを語った。
同月、彼女たちは、音楽イベント「ComplexCon Hong Kong」に出演することを発表。NJZとしての新ビジュアルも公開され、大きな関心を集めた。
しかし、これらの独自活動は、ADORと契約解除が“成り立っていない状態”で強行されていた。

2024年12月時点で、ADORは彼女たちの専属契約が有効であることを法的に確認するため、ソウル中央地裁に提訴。今年3月、韓国メディアは、ソウル中央地裁がADORが求めていたグループの独自活動を禁止する仮処分申し立てを認める判断を下し、NewJeansが活動休止を宣言したことを報じた。
■ダニエルはマラソンに目覚める!他メンバーはSNSでファンと交流
「専属契約が有効」の判決が下され、“敗訴”となったNewJeans。活動休止期間中、彼女たちは何をしていたのだろうか。グループの公式SNSやメディア露出から、その動きを探ってみた。
今年3月、NewJeans公式SNSは、ミンジがアンバサダーを務める「シャネル」の広告ビジュアルを投稿。今年6月には、ミンジがモデルとして登場するシャネルの新広告が公開され、SNSでは「活動休止中でもミンジに会えてうれしい」「ミンジ、大人っぽくなった?」など、契約終了が噂されるアンバサダー続投への期待が寄せられていた。

ダニエルは、4月発売の雑誌「SPUR」で表紙を飾り、6月は日本で行われた高級時計の新作発表イベントに出席。さらに11月には、歌手SEANのインスタグラムにて、オーストラリアのマラソン大会に参加した近況が明かされた。
ハニ、ヘリン、ヘインは、表舞台にこそ登場していないが、SNS上でファンと交流。誕生日など節目のタイミングには、メッセージを発信し、ファンたちからは「これからもずっと大好き」、「みんな元気でやってるかな?」など反応が寄せられていた。
また4月16日には、公式インスタグラムにて、“デビュー1000日目”を祝うストーリーズを投稿。「あなたたちと過ごす毎日は、新しい冒険のよう。愛してる」などメッセージが発信され、待ち続けるファンに向けた感謝と愛情が垣間見えた。
■ADOR復帰、“生みの親”ミン・ヒジン氏との絆は途絶えたのか

そんな活動休止期間を経て迎えた、今年12月。韓国メディアは、ミンジ、ハニ、ダニエル、ヘリン、ヘインの5人が、ADORに復帰する意向を示したことを報道。しかし、現在のADORにはミン・ヒジン氏はいない。
そもそも、NewJeansが活動休止まで発展したキッカケは、ADORに対するヒジン氏の代表復帰の要求だ。ヒジン氏は今、どこで何をしているのだろうか。
今年10月、ヒジン氏は芸能事務所「ooak Records」を新たに設立。一部韓国メディアでは、すでに非公開オーディションが行われていると報じられている。ファンの間では、ヒジン氏の新事務所がNewJeansのメンバーたちが再出発する受け皿になるのではと囁かれていたし、なによりファンたちは、“ヒジン氏がプロデュースするNewJeans”の復活を願ってきた。
新事務所を設立したヒジン氏と、ADORに復帰するNewJeans。両者の絆は、長期化する騒動の末、途絶えてしまったのだろか。
一部韓国メディアによると、ヒジン氏は彼女たちのADOR復帰に対して、「選択を尊重し、支持します」、「困難を乗り越えて復帰するメンバーたちを温かく迎えてください」、「私もNewJeansの音楽と成長を見守りながら最後まで応援します」などファンへの感謝と彼女たちへのエールを込めたコメントを発表している。
しかし、ヒジン氏の公式インスタグラムを見てみると、フォロー中のアカウントはゼロとなっており、今までフォローしていたNewJeans公式アカウントのフォローも外されていた。(2025年12月11日時点)
ADORに復帰することを選んだNewJeans。この決断をヒジン氏との“決別”と位置づけるべきか迷うところだが、SNSでは「契約期間が終わったら、皆の夢の続きがみたい」、「来年はNewJeansとヒジンさんにとって良い年になってほしい」など両者の選んだ道を前向きに受け止める声も多かった。
■最大の壁は“NewJeansの栄光”、来年の彼女たちを予想
移り変わりが激しいK-POP界で、長期にわたる活動休止は命取りだ。NewJeansには来年からアーティストとしてのロケットスタートを期待したいところだが、“ファンを呼び戻すこと”も課題のひとつだろう。
また、彼女たちの成功には、メンバーたちの圧倒的ポテンシャルの高さはもちろん、ミン・ヒジン氏という敏腕プロデューサーの存在があった。ヒジン氏のカラーを失ったNewJeansに、ファンが落胆する可能性も考えられる。
幅広い年齢層を魅了するR&B調のサウンド、楽曲の世界観を表現したMV、令和と昭和のカルチャーをミックスしたような唯一無二の存在感。
これまでNewJeansが評価されてきた要素こそ、今後のNewJeansが超えるべき“最大の壁”となるだろう。
来年、彼女たちはどのように露出を広げていくのだろうか。新曲リリースなど音楽活動に関する詳細は発表されていないが、リリースするにしても、ある程度の準備期間は必要だ。あくまで予想だが、最初は公式SNSで公開されるダンスチャレンジや映像コンテンツなど、彼女たち自身にフォーカスした供給からスタートし、追って新曲リリースなど音楽活動に関する匂わせや告知が挟み込まれていくのではと思う。
2026年、彼女たちはどんなコンセプトで音楽シーンに復帰するのか。いちK-POPファンとして、彼女たちの再出発が、NewJeansのさらなる進化と飛躍につながることを願っている。



