熱戦が続いているミラノ・コルティナ五輪。
数ある競技の中でも高い人気を誇るのがカーリングだ。
そのカーリングでは今回、ある人物の“不在”が静かに注目を集めている。韓国女子の象徴的存在として知られる、“メガネ先輩”ことキム・ウンジョンである。
カーリング韓国女子代表は今大会、好調を維持している。4勝2敗でスイス、アメリカと並ぶ2位タイ。今後はスイス、無敗首位のスウェーデン、5位カナダとの対戦を残しているが、ベスト4進出の可能性も十分にある。近年は世界ランキングでも常に上位につけ、最新ランキングでも3位とアジア屈指の強豪として知られる。
その韓国代表の象徴と言えば、メガネ先輩ことスキップのキム・ウンジョンだろう。

2018年の平昌五輪では準決勝でLS北見(現ロコ・ソラーレ)との熱戦を制し、最終的に銀メダルを獲得した彼女は、韓国でのカーリング人気を爆発的に高めた立役者である。冷静沈着な指示と正確無比なショットで世界を驚かせた姿は、いまもファンの記憶に強く刻まれている。
それだけに、2月15日に行われた予選リーグの日韓戦では、彼女が代表にいないという事実そのものがニュースとして扱われたほどだ。日本のファンの間でも「今回は出ていないのか」と話題になり、“韓国女子カーリング=メガネ先輩”という印象が今も根強いことを示した。スター不在が逆に注目を呼ぶという、異例の現象と言える。
ではなぜ彼女は今大会にいないのか。理由は明確で、韓国代表は国内選考大会で優勝したチームがそのまま国際大会に出場する方式のためだ。今回の代表決定戦ではキム・ウンジョンのチームではなく、キム・ウンジ率いる若手中心チームが勝利。世代交代の流れの中で代表の座が入れ替わったのである。
これは韓国カーリング界の競争力が成熟したことを示している。現在の代表は若手主体ながらショット精度や戦術理解の面で国際的評価が高く、かつて“メガネ先輩のチーム”として知られた韓国女子は、いまや“層の厚い強豪国”へと変貌しつつある。
その新生チームを牽引しているのがサードのキム・ミンジだ。日韓戦では、一投で相手ストーンを2つハウス外へ弾き出す“ダブルテイクアウト”を連続成功させ、歓声を浴びた。このプレーから「ドーパミンジ」という愛称も誕生した。

このスーパープレーには、日本テレビ中継に出演した元日本代表・市川美余氏も「ミンジ選手にことごとくやられた。ピンポイントで当てなければいけないショットを何度も決められていた」と称賛している。
キム・ミンジは続く中国戦でも、8-9と逆転された第10エンドで相手ストーン2つを連続で弾き出し、再逆転勝利の足がかりを作るなど、エースとして圧倒的存在感を示している。
象徴的スターがいなくても勝てる。それこそが競技力の成熟を意味する。ミラノの氷上で韓国が見せているのは、まさにその証明だ。
そして、だからこそ人々は改めて思い出す。あの銀メダルの立役者はいま何をしているのかと。試合にいなくても語り継がれる存在。それが“メガネ先輩”というレジェンドの証しなのかもしれない。
(文=スポーツソウル日本版編集)


