新たに10G回線の利用を始めた人の通信環境や導入の動機をレポートする連載「10G回線導入レポ」。第2回となる今回は、オプテージが提供するeo光の5G回線から10G回線へ乗り換え、約10ヵ月にわたり利用してきたSさんの環境を紹介する。
月額+513円で10G回線に乗り換え!割引を活用して費用を最小限に
大阪府で自営業を営み、バイクショップの運営に加えて保険代理店業務、知人企業向けのPC・ネットワーク機器の保守サービスなども手がけているSさん。もともとeo光の5Gコースを利用していたが、知人の勧めがきっかけとなり、2025年2月に10Gのコースに乗り換えることになった。5Gコースでも普段の業務に支障はなかったというが、ちょうどWi-Fi 7対応のノートPCを購入していたこともあり、これを機会にせっかくなら回線側のボトルネックを解消しておきたいと考え、10G環境への移行を決断したという。
移行前に契約していたのは「eo光ネット 5ギガコース(ホームタイプ)」で月額基本料金は5,458円。移行後は「eo光シンプルプラン 10ギガコース(戸建て向け)」を契約しており、月額基本料金は5,971円だ。Sさんはインターネット回線以外にも、同社が提供する「eo光電話」と格安SIMの「mineo」を2回線使用しており、割引が適用されている。
移行前の月額請求額(eo光電話、mineo2回線を含む)は8,905円で、移行後の直近の請求額は9,418円と、増加分は513円にとどまっている。なお、Sさんのケースではコース移行に伴う工事は不要で、初期費用として契約コース変更手数料3,300円が発生した。

Sさんは現在はeoのレンタルWi-Fiルーター「eo-RT150(N)」を使用している。固定電話とFAXを接続しており、ネットワークプリンターやノートPCなどは主に5GHz帯で接続している。

ルーターの横に設置されているのは回線終端装置(ONU)で、10Gbpsコースの宅内工事時に取り付けられたものだ。レンタル料金は無線ルーター分が月105円で、さらにeo光電話の利用に伴う月419円が加算される。ただし、eoポイントの活用やインターネット・電話セット割(−1,142円)を手続きしておけば、実質的な負担は抑えられる。

ルーターにL2スイッチを接続して10G対応ポートを拡張!
主な機器は下図の通りだ。まず、インターネット光回線を回線終端装置(ONU)に接続し、ONUをeo光のレンタルルーター「eo-RT150(N)」に接続している。さらにノートPCはプリンターやFAXとともに、ルーターの無線LAN(Wi-Fi)機能を利用してワイヤレス接続している。eo-RT150(N)はWANポートとLAN4が10GBASE-T(10GbE)に対応しており、回線終端側からスイッチまでを10ギガで接続できる。一方で、LAN1~LAN3は1Gbps対応のため、10ギガで接続する機器はLAN4側に集約する必要がある。

そこでSさんはLAN4にL2スイッチとしてHPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)製のスマートスイッチ「Aruba 1960 12XT 4XF(JL805A)」を接続している。10GBASE‑T(RJ‑45)ポートを12口、10G対応のSFP+スロットを4口備え、複数のPCを10ギガ環境で接続できる。筐体は1Uの19インチラックマウント向けサイズだが、Sさん宅ではホームセンターで購入したL字金具を使い、壁面に固定して設置。デスクトップPCを3台、有線LANで接続して運用している。


PC側には10G回線の性能を引き出す工夫が満載!自前でファンを追加した“魔改造”LANカードも

ファイルサーバーとして利用している富士通製のPC①には、Silicom製の10ギガ対応LANカード「PE210G1I40‑T」を増設している。搭載コントローラーはIntel X540で、長時間運用を想定してSさんが冷却ファンを追加しており、その分カードは2スロット分を占有している。10ギガの性能を十分に引き出すには、PCIe x8以上(x8/x16)のスロットに装着して運用する必要がある。接続端子は一般的なRJ‑45で、配線にはCat6AのLANケーブルを使用している。



メインPC(PC②)は、米Supermicro製マザーボード「X11SPM‑TF」を中心に組み上げた自作機だ。マイクロATX規格ながら、オンボードで10ギガLANポートを2口備えているのが特徴で、別途10ギガLANカードを増設しなくてもよいぶん、限られたPCIeスロットを他用途に回せる。LANコントローラーはIntel X722で、写真ではヒートシンクの下に搭載されている。L2スイッチとはCat6Aケーブルで接続している。

サブPC(PC③)には、Intel 82599を搭載する10ギガ対応LANカード「X520‑DA1」(バルク品)を増設している。放熱用ヒートシンクは比較的小型だが、Sさんの環境では冬場の長時間運用でも37℃前後で推移しており、追加の冷却ファンなしで運用できているという。インターフェースはSFP+で、RJ‑45とは異なり、規格に合ったトランシーバーと光ファイバーケーブル(またはDACケーブル)を用いてスイッチと接続している。


速度は有線接続で下り1Gbps~2Gbps!普段の業務に支障なく満足
回線を10ギガにしたなら、やはり気になるのは「速度がどれくらい出るのか」だ。今回は比較条件をそろえるため、測定は「RBB SPEED TEST WEB」に統一し、Windows 11/Microsoft Edge環境で各PCを5回連続で計測した。IPv4とIPv6の両方を測定し、結果は各回の平均値で比較している。結果は以下のとおりだ。
■PC①(有線/RJ‑45/Intel X540)
IPv4:下り1665.95Mbps/上り2143.27Mbps
IPv6:下り1628.35Mbps/上り2184.33Mbps
■PC②(有線/RJ‑45/Intel X722)
IPv4:下り1287.50Mbps/上り2305.69Mbps
IPv6:下り1247.51Mbps/上り2277.86Mbps
■PC③(有線/SFP+/Intel 82599)
IPv4:下り1833.12Mbps/上り2058.50Mbps
IPv6:下り1679.51Mbps/上り1841.98Mbps
■PC④(Wi‑Fi 7/Intel BE200)
IPv4:下り581.96Mbps/上り789.67Mbps
IPv6:下り493.50Mbps/上り762.18Mbps
3台のデスクトップPC(有線LAN)は、いずれも下りがおおむね1~2Gbps台、上りがおおむね2Gbps前後だった。一方、ノートPC(Wi-Fi 6接続)は下りが500Mbps前後、上りが700~800Mbps前後となった。普段の業務では支障がない速度のため、Sさんは10G回線の導入に「満足している」という。
ただし、知人の10G回線ユーザーの中には下り3~4Gbps台が出るケースもあると聞いており、Sさんは「もう一段スピードが伸びてもよいのでは」と感じている。そこでSさんが次に検討しているのが、ルーターの高性能化だ。現在はeoのレンタルWi-Fiルーター「eo-RT150(N)」を使用しているが、スペックは決して高くない。Sさんは「現状でも困ってはいないが、せっかく10Gにした以上、伸びしろが大きそうなところから手を入れたい」と考え、まずはルーターの買い替えを次の投資先として見据えている。
¥350
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)





