「クリエイターのデスク」と聞くと、自作PC、大型モニター、こだわりのキーボードなどが並ぶ光景を思い浮かべる人も多いだろう。だが、フリーランス映像クリエイター・JEMMA(ジェマ)さんは違う。
「実は、作業用の固定デスクを持っていないんです」
JEMMAさんの作業場所は、毎日変わる。ダイニングテーブルの日もあれば、ソファ、時には床のこともある。その日の気分や集中力に合わせて場所を選び、作業が終わると道具はすべて片付ける。こうしたスタイルを、3年以上続けているという。ただし、仕事道具にこだわりがないわけではない。固定デスクを持たないだけで、機材の選び方やデータ管理術には、プロならではの工夫が詰まっていた。
外部モニターは持たない。作業は「14インチ MacBook Pro」で完結

JEMMAさんが使用しているPCは14インチ MacBook Pro(M2チップ搭載モデル) だ。以前はひと回り大きい16インチモデルを使用していたが、パソコン本体の性能が上がったタイミングで、持ち運びやすいサイズに買い替えたという。
現在のスペックはメモリ16GB、ストレージ512GB。動画編集はパソコンに負荷がかかる作業だが、新しいチップのおかげで、このスペックでも重い作業を快適にこなせている。
特徴的なのは、外部モニターや外付けキーボード、マウスを一切使用しない点。「使ってみたい気持ちはある」ものの、ここ数年はMacBook本体のトラックパッドだけで編集するやり方に落ち着いている。道具を増やさず、パソコン1台で完結させているからこそ、家中のどこでもすぐに仕事に取り掛かれるのだ。
「MOFT」を使って、どこでも快適な作業スペースに

決まった机がないJEMMAさんにとって、PCスタンドは快適な作業環境を作るための必須アイテムだ。愛用しているのはMOFT多機能キャリーケース。

ヴィーガンレザー製のこのケースは、移動時にはPCを水滴や傷から守り、作業時には15度・25度のスタンドに早変わりする。視線を上げたい時にパッと組み立てられ、膝の上でも安定して使えるため、ソファでのリラックスした作業にも最適だという。

また、手元のiPhoneにはMOFT 七変化マルチスタンド(Snap-On Phone Stand & Wallet) を装着。PCの横に設置し、時計やカレンダーとして常に表示させながら作業に没頭するのが定番の運用となっている。

拡張ポートにはAnker製のUSBハブを採用。SDカードスロット、USB-A、HDMIポートを備えたモデルを長年愛用している。
データ消失を未然に防ぐ!「4段構え」のバックアップ
デスクは持たないが、データのバックアップには人一倍気を遣っている。JEMMAさんのデータ管理は、消えてしまうリスクを避けるため、保存先を4つに分けた「4段構え」になっている。

まず、撮影したデータは読み込み速度が速く衝撃にも強いSanDisk Extreme Portable SSDに入れる。編集作業はこの中にあるデータを使って行い、パソコン本体の容量がいっぱいにならないようにしているのが特徴だ。

次に、作業中のデータは、コストパフォーマンスに優れたWD Elements Portable(2TB)へ小分けにして保管する。仕事用、YouTube用といった用途別にドライブを分け、容量が埋まったら買い足していく。

さらに、持ち出し用やPC全体のバックアップには、耐衝撃性に優れたLaCie Rugged USB-Cを使用。旅行先に持っていく際などは、この頑丈なHDDが活躍するという。

そして、納品が終わったデータは、Buffalo 外付けHDD (6TB)という大きな据え置き型のハードディスクへ移す。ここに入れつつ、先ほどのWDのハードディスクにもデータを残すことで、2つの場所に同じデータを保存する徹底ぶりだ。映像クリエイターにとって、データが消えることほど怖いことはない。だからこそ、4段階のバックアップ体制を敷いて、データ消失を未然に防いでいる。
映像の「色」にこだわり!専用パネルでクオリティアップ

JEMMAさんは映像の品質、とくに「色」にこだわっている。動画内で紹介されたのが、Blackmagic DesignのDaVinci Resolve Micro Color Panelだ。

これは動画編集ソフト「DaVinci Resolve」での色調整(カラーグレーディング)に特化した専用機材で、ボールやダイヤルを回すだけで、明るさや色味を感覚的に操作できる。マウス操作だけでは難しい微調整もスムーズに行え、慣れれば作業スピードとクオリティが格段に上がるという。身軽な環境であっても、作品の質に関わる部分には妥協しない姿勢がうかがえる。

必要な時に必要な場所で広げ、終わればすぐに片付けられる。この身軽さこそが、JEMMAさんのスタイルだ。高価な家具や専用の部屋がなくても、PCひとつと使いやすい周辺機器、そして確実なデータ管理さえできれば、そこは立派な仕事場になる。



