21日午後10時より、1986年3月19日に福井市の団地で発生した女子中学生殺害事件の闇に迫るドキュメンタリー番組『未解決事件 File.15 冤罪 40年の深層』(NHK総合)が放送される。同作では、事件から1年後に逮捕・起訴され、冤罪被害を受けた前川彰司さんと、被害者の姉が40年ぶりに対面する様子などを伝える。

1986年3月19日、福井市の団地で中学を卒業したばかりの女子生徒が殺害された。事件から1年後、地元に住む前川さんが逮捕・起訴された。前川さんは一貫して容疑を否認したものの、懲役7年の有罪判決が確定した。出所後も再審を求めて闘い続け、2025年にようやく無罪を勝ち取っている。40年近く殺人犯の汚名を着せられて人生を奪われる間に時効が成立し、真犯人は闇に消えた。
番組では捜査の内幕を記した内部資料を入手している。さらに元捜査員など100人以上の証言から、当初「犯人は簡単にわかる」と思われた捜査が、誤算や油断を積み重ねて迷走していた事実を明らかにする。
事件発生直後、捜査員は「同級生に聞けばすぐに犯人がわかる」と考えていたという。しかし、被害者の交友関係は思いのほか広く、遺留品からも犯人につながる指紋などが検出されず、捜査は難航した。


事件から半年後、焦る警察にもたらされたのが「事件当日、血の付いた前川さんを見た」という目撃証言だった。ただ、半年たって突然得られた証言を、警察は最初から信じたわけではなかった。内部資料と新証言から見えてきたのは、取り調べを重ねるうちに、あいまいだった記憶が「確固たる証拠」に置き換えられていく危険なプロセスである。さらに、目撃証言の決定的な矛盾を示す証拠は、検察のもとに長年埋もれていた。いくつものつまずきや不正が重なったことが冤罪を生み、前川さんの人生を奪ったのだ。

前川さんが無罪になったことに対し、複雑な思いを抱えているのが被害者の姉だ。「事件を忘れてほしくない」と、今回初めてメディアの取材に応じた。妹を近くに感じていたいと、今も遺骨を手放せずにいる。一方、前川さんは被害者の遺族にどう思われているのかずっと気になっていたという。事件から40年、2人は初めて顔を合わせた。これまで交わることのなかった2人の思いが重なった時、どのような言葉が語られるのかが同作で描かれる。





