警察は26万人を想定した。しかし実際は、4万4000人から10万4000人規模だった。
BTSの完全復活ライブをめぐって浮かび上がったのは、熱狂的な大型イベントにおいて「過剰統制」はどこまで許されるのかという問題だった。
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ソウルの光化門(クァンファムン)で開かれたBTSの公演について、警察は最大26万人規模の人出を見込んでいた。実際の現場人数は、HYBE推計で10万4000人、ソウル市推計で4万4000人にとどまった。
3月23日、警察は「26万人は崇礼門まで人波が埋まる最悪の状況を想定した数字だった」と説明し、中東情勢を踏まえたテロ脅威も考慮して「市民安全のためには過剰な対応が必要だ」と強調した。
当日(3月21日)は警察6700人を含む計1万5500人の安全要員が投入され、うち1万人以上が公共人員だった。112番通報は74件あり、その多くは交通統制や検問・所持品検査による不便への苦情だったという。

大きな事故なく終わったという結果だけ見れば、警察の論理は理解できなくもない。群衆事故は一度起きれば取り返しがつかず、事故が起きてから「なぜもっと厳しくしなかったのか」と問われるのが行政の宿命でもあるからだ。
ただ、だからといって今回の統制をそのまま肯定するのも難しい。光化門一帯では地下鉄の無停車通過やバス迂回、33時間にわたる世宗大路の統制が行われた。現場では所持品検査も厳格に実施され、水以外の食べ物の持ち込みまで制限されたという。
こうした措置に対し、周辺商人や市民からは「やりすぎではないか」という不満が噴き出した。
実際、経済効果を期待していた周辺商圏では、むしろ売り上げが落ち込んだとの声が相次いだ。光化門近くの飲食店主は、週末には普段600万ウォン(約60万円)を売り上げる店なのに、当日はテーブルが一つしか埋まらなかったと嘆いた。別の商人は、交通統制の影響で周辺企業の会社員すら出勤を控えたり早退したりし、昼営業から崩れたと訴えた。
コンビニでも明暗が分かれ、会場外縁の店舗は売り上げを伸ばした一方、バリケード内の統制区域に入った店舗は直撃を受けた。オンラインコミュニティには、キンパ200個を発注しながら5個しか売れなかったとする事例まで拡散している。

つまり、今回の論争は単なる「警察は厳しすぎたのか」という話ではない。安全のための統制が、実際には一般市民や自営業者の動線を断ち、期待された“BTS特需”からも一部をこぼれ落としたという点に核心がある。
大規模イベントの警備は、事故が起きれば「甘かった」と批判され、何も起きなければ今度は「やりすぎだった」と指摘される。今回のBTS公演は、そのジレンマをそのまま映していた。
リーダーのRMと所属事務所のHYBEは、相次いで市民や商人への謝罪を表明している。
ソウルの中心部で開かれる巨大イベントにおいて、最悪の事態に備えることと、都市の日常を必要以上に止めないこと。その線引きをどうするのか。BTS公演をめぐる「過剰統制」論争は、熱狂の裏で都市がどこまで封鎖されてよいのかという、より重い問いを残した。
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