はたして“転落先”なのか、それとも“再出発の場”なのか。
放送や芸能ニュースの中心から少し遠ざかっていた韓国スターたちが、次々とTikTokライブに流れ込んでいる。
かつては、芸能人とネット配信者のあいだにははっきりとした線があった。スターはテレビや映画に出る人であり、ライブ配信で視聴者から「投げ銭」を受け取るのは、別の世界の人たちだった。
だが、その境界は急速に崩れている。今では、地上波や既存メディアで見かけにくくなったスターが、TikTokライブを通じてファンと交流し、その場で収益まで得る光景が珍しくなくなった。
月5000万円稼ぐスターも?
まず目につくのが、俳優パク・シフだろう。パク・シフは最近、TikTokライブをほぼ毎日のように行い、海外滞在中の日常を共有しながらファンとリアルタイムで交流しているという。

1回の配信で同時接続が1000人を超えることも珍しくなく、高額のバーチャルギフトが飛び交う場面も話題になった。そのため、一部では「月5億ウォン(約5000万円)を稼いでいる」との臆測まで広がったが、側近はこれを全面否定し、「海外ファンとの交流のために始めたもので、億単位の収益など事実ではない」と説明している。
とはいえ、こうした噂が立つこと自体、パク・シフのライブがそれだけ強い注目を集めている証拠でもある。かつて『王女の男』『清潭洞アリス』『黄金の私の人生』などで韓流スターとして人気を築いたパク・シフは、2013年の性的暴行容疑告訴を機に国内キャリアに大きな打撃を受けた。

その後は日本や中国など海外での人気を拠りどころに活動を続け、近年ようやく韓国映画にも復帰している。つまり彼にとってTikTokライブとは、単なる副業ではなく、依然として残る海外ファンダムを最も直接的に可視化できる場なのだ。
歌手のMCモンは、また少し違うケースだ。
彼は3月23日、自らTikTok活動100日を祝福し、「2時間半後に100日。みんなTikTokに来て」と積極的にPRした。さらに「1時間半で350万」「2時間半で430万」と、プラットフォーム内の仮想通貨であるダイヤモンド数まで公開し、自身のライブがどれほど盛り上がっているかを誇示した。

6万8000人超のフォロワーを抱えるMCモンは、ライブを通じてファンの質問に答え、「金がなくてやっているのではなく、楽しいからだ」と語ってきた。
ただ、そのタイミングはあまりに象徴的でもあった。MCモンは当時、睡眠薬の代理処方疑惑で警察捜査を受けている最中だったからだ。
普通なら身を低くしてもおかしくない局面で、むしろTikTokで自分の居場所と熱量を誇示する。その姿は、従来の芸能人像とはかなり違う。スキャンダルのたびに沈黙するのではなく、配信という場を使って支持層との接触を維持し、人気を数字として見せる。MCモンのTikTokは、芸能人が危機の時代にどうファンダムへ依存し、どうそこからエネルギーを回収するのかをよく示している。

元LABOUMのユルヒは、さらに別の意味で現代的だ。
ユルヒは最近、TikTokライブを始め、「スケジュールがなければ毎日やる」と明かした。ライブ中には視聴者から「“ヨキャン”みたいだ」と言われたが、「今見ているのがヨキャン」「ニュアンスの違いだ。私は私がヨキャンだと思う」と返したという。

「ヨキャン」は本来、女性が行う配信という意味だが、露出や刺激の強い女性配信者を連想させる言葉でもある。ユルヒはその言葉を正面から引き受けながら、5時間近い長時間配信を続け、他の配信者とのライブマッチで後援を受けるなど、かなり“配信者”的な動きまで見せている。
ユルヒの場合、この変化は彼女の私生活と切り離せない。2017年にFTISLANDのチェ・ミンファンと結婚し、子どもをもうけたが、2023年末に協議離婚。その後は養育権をめぐる争いや、元夫の私生活暴露でも大きな注目を浴びた。元アイドル、元妻、元母親タレントとして知られていた彼女が、今はTikTokライブという場で、自分自身のキャラクターを作り直そうとしているようにも見える。

こうして見ると、パク・シフ、MCモン、ユルヒの3人はまったく違うタイプに見えながら、ある一点では共通している。既存の芸能界の中心から少し距離ができたあとも、なお残る知名度やファンダムを、TikTokライブという場で直接つかみ直そうとしていることだ。
テレビや映画、アルバム発売のような大きな装置を通さなくても、ライブに入ってくるファンがいて、コメントが流れ、投げ銭が飛ぶ。そこでは過去のスター性が、そのまま収益化の入口になる。
もちろん、それを“転落”と見る目はあるだろう。かつてスターだった人物が、スマホの前で長時間ライブをし、ギフトに反応し、ランキングを気にする。その姿に違和感を覚える人がいても不思議ではない。
だが一方で、TikTokライブは、残った人気を最短距離で熱量と収益に変えられる、新しい主戦場になりつつある。
その意味でTikTokは、落ちたスターたちが最後に流れ着く場所なのではない。既存メディアでこぼれ落ちた人気を拾い直し、別の形で成立させる場ともいえる。だからこそ、そこに向かう芸能人は今後ますます増えていくはずだ。
スターにとってTikTokライブは、“転落先”であると同時に、芸能界の新しい“再出発の場”でもあるのかもしれない。


