“嘘をついてもいい日”として知られるのがエイプリルフールだ。
4月1日は毎年、企業や有名人のユーモラスな投稿が、SNSを中心に話題を集めている。
【写真】NHKも速報したが“ウソ”…絶対に許されないエイプリルフールネタで炎上した韓国芸能人
しかし近年は、“炎上が起きやすい日”という側面も持つ。
今年も、大手アニメショップのアニメイトが投稿したジョーク企画が議論を呼んだ。同社は架空の乙女ゲームプロジェクトを発表したが、その設定内容をめぐって一部ユーザーから批判が噴出。投稿は削除され、企業側が謝罪する事態となった。また、あるラーメン店の一律700円値上げという投稿が一部で物議を醸し、こちらも謝罪するに至っている。
SNS時代では、企業のエイプリルフール企画は低コストで大きな話題を生むマーケティング手法として知られる。一方で、投稿内容が誤解を招いたり、特定の文化やコミュニティへの配慮を欠いていたりすると受け取られれば、瞬く間に批判が広がるリスクもある。
こうした背景もあり、日本ではエイプリルフールが“炎上しやすい日”として語られることも増えた。
そんな日本の状況とは対照的なのが、韓国だ。
楽しみ方の違いも
今年のエイプリルフールに韓国で話題となったのは、フィンテック企業「トス」を運営するビバ・リパブリカの代表、イ・スンゴン氏の発言だった。
同氏は4月1日、社内メッセージを通じて「自分の家を売り、その資金で社員100人の家賃や住宅ローン利子を生涯支援する」という大胆な計画を発表した。内容だけ見れば、いかにもエイプリルフールの冗談のように聞こえる。
しかし、この発言は単なるジョークでは終わらなかった。
イ・スンゴン代表はこれまでも、エイプリルフールの発言を実際の福利厚生として実行してきたことで知られている。例えば2022年には「テスラをプレゼントする」という発言をきっかけに、抽選で社員に車を貸し出す企画が実施された。また2025年には会社の黒字化を記念し、社員を沖縄旅行に招待するイベントも行われた。
そして今回の発言も現実となった。最終的に同氏は社員10人を抽選で選び、1年間の家賃または住宅ローン利子を私費で支援することを決定。エイプリルフールの冗談が、実際の福利厚生へとつながった形だ。
この出来事がメディアを通じて広まると、SNSでは「嘘のような福利厚生」「本当に実行するとは思わなかった」といった反応が相次いだ。

韓国でも、企業や芸能人がエイプリルフールにジョーク投稿を行う点は日本と同じだ。ただ、今年のニュースを振り返ってみると、日本のように企業の投稿が大きな炎上に発展したケースは目立たなかった。むしろ今回のトスの例のように、冗談が実際の企画へと発展する形で話題になるケースが注目されている。
この違いの背景には、ジョークの作り方の差もあるのかもしれない。日本では、値上げや制度変更など現実のニュースを思わせる「本当か嘘か判断がつきにくい投稿」が議論を呼ぶことがある。例えば「ラーメンを700円値上げする」といった発表のように、冗談なのか実際の発表なのか分かりにくい内容は、ユーザーの不安や反発を招きやすい。
一方、韓国では、ギリギリの嘘で人を驚かせるというよりも、エイプリルフールを気軽に楽しむ雰囲気が強いようだ。芸能人の投稿も、軽い嘘をついたり近況をユーモラスに伝える程度のものが多い。一般の若者の間でも、大学生が高校の制服を着てピクニックを楽しむのが恒例になっているなど、日常の延長線上でエイプリルフールを楽しむ光景が見られる。
もちろん韓国でもエイプリルフール投稿が批判を受けた例はある。2020年には歌手のキム・ジェジュンが「新型コロナに感染した」とSNSに投稿し、冗談だったことが判明した後に大きな批判を浴びた。しかしこれは、パンデミックという社会的に深刻なテーマを扱った特殊な例として語られることが多い。
エイプリルフールは本来、ユーモアを楽しむためのイベントだ。しかしSNS時代では、そのユーモアが批判の対象になることもある。
炎上が話題になることも多い日本と、冗談が実際の福利厚生につながった韓国。同じエイプリルフールでも、その受け止められ方には興味深い違いが見えてくる。
■【写真】NHKも速報したが“ウソ”…絶対に許されないエイプリルフールネタで炎上した韓国芸能人


