SUPER JUNIORのソウル公演で、観客が負傷する事故が起きた。
4月5日にソウルのKSPO DOMEで行われたデビュー20周年ツアーのアンコール中、客席横に設置されていた仮設の安全フェンスが崩れ、観客3人が転落して負傷した。
SUPER JUNIORの所属事務所SMエンターテインメントは、被害者が病院で検査と治療を受け、捻挫や打撲で2週間の安静が必要との診断を受けたと説明し、治療支援と再発防止を約束した。
もちろん、公演中の事故そのものはK-POPに限った話ではない。だが今回の件は、単なる“不運なアクシデント”として片づけにくい。
なぜなら、近年のK-POPコンサートは、単にステージを鑑賞する場ではなく、アーティストとの距離の近さや没入感を重視する方向へ進んでいるからだ。
16人が死亡した大惨事も

実際、近年の事故を振り返ると、その危うさはさまざまな形で表れている。
2025年9月に行われたSEVENTEENのコンサートでは、特殊効果として使われた花火の一部が予想外に観客席方向へ落下し、観客2人が被害を受けた。所属事務所は、安全距離と方向を設定して繰り返し点検したが、一部製品不良で事故が起きたと説明している。
ここでは、観客の落ち度というより、会場全体を巻き込む演出が安全管理と噛み合わなかったことが問題だった。
2022年にはインドネシアでのNCT 127公演で、サイン入りボールを配ろうとした際に観客がステージ前方へ殺到し、30人が失神する騒ぎもあった。こちらはファンの行動が直接事故拡大につながったケースといえるだろう。

その危うさが最悪の形で表れたのが、2014年に城南(ソンナム)市で行われたK-POP野外コンサートだった。コンサートの最中、会場にあった換気口の上に集まって観覧していた人々が転落し、16人が死亡し、11人が負傷する大事故が起きた。
事故当時、ガールズグループ4Minuteの公演が行われていたという。だが、所属事務所は「4Minuteが出演していた当時は、メンバーやスタッフ全員がこのような事故にまったく気づかないままステージを終えて、ソウルに戻ってから事故の話を伝え聞いた」と明かしており、事故が公演の最中には出演者側に共有されていなかった状況を物語っている。
この惨事は、会場外縁部の構造物まで“観覧スペース化”してしまった例であり、事故の規模も被害も桁違いだった。

こうして見ると、事故の形はそれぞれ違うものの、共通しているのは「より近くで見たい」「より強く体感したい」という欲求が公演空間全体を押し広げ、その先で安全との摩擦が生まれていることだ。
そして、この“近さ”は、コンサートの魅力そのものでもある。アンコールでメンバーが客席近くまで来る。サインボールが投げられる。特殊効果が客席まで含めた空間全体を包み込む。ファンはただ“見る”だけでなく、その場に巻き込まれ、参加している感覚を求める。K-POP公演は、そうした距離の近さと没入感によって、他のライブよりも強い一体感を生み出してきた。
だからこそ問題は、単に「ファンのマナーが悪い」で終わらない。NCT 127の件のように観客の集中や熱狂が直接事故を招く場合もあるが、SEVENTEENや今回のSUPER JUNIORの件を見ると、主催側の演出や仮設設備、安全導線の設計が大きく問われる事故も少なくない。

近くで見たいと思うのは、ある意味で自然なことだ。むしろ主催側も、その期待を前提にライブを設計している。だとすれば必要なのは、ファン心理を責めることよりも、その熱狂込みで安全対策を組む発想だろう。
SUPER JUNIORの事故が改めて浮かび上がらせたのは、まさにその点だ。“近くで見たい”を前提にしたK-POP公演は、いまやその熱量に見合うだけの安全設計を求められている。
■【画像】 K-POPアイドル、ステージ上で炎に包まれる事故発生


