『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(以下、『無限城編』)が、4月9日をもって、約9カ月に及ぶロングラン上映を終えたと報じられた。
サブスクの台頭や映画館の減少が指摘される現代において、映画の終映がニュースとして報じられるのは異例だ。それほど大きなヒット作だったということだろう。
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2025年7月の公開以降、同作は驚異的なペースで観客を動員。日本では公開25日で興行収入220億円を突破し、国内映画史でも上位に入る勢いを見せた。その後も興行は伸び続け、日本映画の歴代興行収入ランキングでは2位に位置づけられている。1位は約407億円を記録した前作『無限列車編』だ。
なお、この成功は日本国内にとどまらない。韓国でも同作は大きな話題となり、興行面でも記録的な成果を残した。

もっとも、日本と韓国では映画のヒットの測り方が少し異なる。日本では一般的に興行収入が指標として使われるのに対し、韓国では観客動員数が主な指標として報じられることが多い。そのため、日本の感覚でヒット規模を把握するには、興行収入ベースで見直す必要がある。
まず韓国での人気を象徴する観客動員数から見てみよう。
年間2位、韓国映画超え
配給会社CJ ENMと映画館入場券統合ネットワークの統計によると、『無限城編』は8月22日の公開から79日目の時点で累計観客動員数559万人を突破。これまで韓国で公開された日本映画トップの観客動員記録「558万9861人」を保持していた『すずめの戸締まり』を上回り、歴代1位となった。
公開直後から勢いは圧倒的だった。韓国では公開2日で100万人、10日で300万人、18日で400万人を突破。現地メディアも「異例のヒット」として連日のように報じていた。
さらに興味深いのは、2025年の韓国映画市場全体の中でも本作の存在感が際立っていた点だ。

韓国映画振興委員会(KOFIC)の統計によると、『無限城編』は韓国で公開された2025年の映画の中で観客動員数2位を記録した。1位はディズニー作品『ズートピア2』で約770万人。本作は最終的に約569万人を動員する規模となった。
ここで、日本の基準に合わせて興行収入ベースで見ると、そのヒットの大きさがより分かりやすくなる。
韓国映画振興委員会の興行統計では、本作の韓国での興行収入は約610億ウォン。為替レートにもよるが、日本円に換算するとおよそ66億円前後に相当する水準だ。
日本の映画市場と比べると数字自体は小さく見えるかもしれない。しかし韓国の人口は日本の約半分であり、さらに海外作品であることや市場規模を踏まえると、この成績は異例の大成功と言える。
さらに韓国市場ならではの特徴も、このヒットを後押ししたと考えられる。
今後も続くであろう“日本アニメ旋風”
韓国ではIMAXや4DXなどのプレミアム上映が広く普及しており、通常上映より高い料金でも観客が集まりやすい。アクション性の高い作品ほど相性がよく、同じ作品を複数のフォーマットで鑑賞するリピーターも多いとされる。
実際、韓国で興行上位に入る作品ではこうした特別上映の比率が高いことが指摘されており、『鬼滅の刃』もその恩恵を受けたと分析されている。

近年、韓国では日本アニメ映画の存在感が急速に高まっている。『鬼滅の刃』や『すずめの戸締まり』のほか、『THE FIRST SLAM DUNK』なども相次いでヒットし、日本アニメは韓国映画市場でも一つのジャンルとして確固たる地位を築きつつある。
その流れの中でも、『無限城編』は象徴的な成功例と言えるだろう。
日本では歴代上位の興行収入を記録し、韓国では日本映画として歴代1位の観客動員を達成した『鬼滅の刃』。『無限城編』はまだ第一章のため、物語はこれからも続く。韓国の日本映画ランキングで、『鬼滅』の名前がさらに並ぶ日が来るかもしれない。


