韓国ドラマ界の勢力図に変化の兆しが見え始めている。
その中心にいるのは、最新主演作『21世紀の大君夫人』で好スタートを切ったIUだ。
同作は第2話にして韓国全国視聴率9.5%を記録し、早くも二桁台を目前にしている(ニールセンコリア調べ)。この数字は、MBC歴代金土ドラマの第2話視聴率で1位に当たるという。近年の地上波ドラマとしては極めて高く、韓国メディアもこの好発進を「IUの動員力の証明」として高く評価している。
ここで注目すべきは、本作が“王道ラブコメ”というジャンルである点だ。
韓国でラブコメといえば、パク・ミニョンが長年、女王としてそのジャンルのトップに君臨していた。美しいビジュアルとキャラクターになり切る演技力を武器に、『キム秘書はいったい、なぜ?』など、数々のヒット作を世に送り出してきた。

しかし、直近の数字を比較すると、その勢いに陰りが見えている。ニールセンコリアが発表した直近5作品の最高視聴率(全国基準)を紐解くと、IUとの状況の差が浮き彫りになった。
パク・ミニョンの歩みを振り返ると、2022年の『気象庁の人々: 社内恋愛は予測不能?!』では最高7.8%を記録し、同年の『月水金火木土』は4.0%だった。2024年には『私の夫と結婚して』が最高12.0%を叩き出し社会現象を巻き起こしたが、続く2025年の『コンフィデンスマンKR』では最高1.8%と苦戦を強いられた。そして、つい最近放送を終えた最新作『セイレーンのキス』も、初回に記録した5.5%が最高値となり、中盤以降は伸び悩む結果に終わっている。かつての「パク・ミニョンが出ればヒット確定」という無双状態に、ブレーキがかかっているのは否定できない。
対照的に、IUには圧倒的な安定感がある。2013年の『キレイな男』こそ最高6.3%だったが、その後は2015年の『プロデューサー』が最高17.7%という驚異的な数値を記録。2016年の『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』で11.3%、2018年の『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』で7.4%、そして2019年の『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』では最高12.0%を達成した。IUは放送局の枠や作品のトーンに関わらず、常に一定以上の高い水準を維持し続けているのが最大の特徴と言える。なお、昨年ヒットした『おつかれさま』はNetflix作品のため、ここでは除外とする。

これらの数字を踏まえると、今回の『21世紀の大君夫人』の好スタートが意味するのは、IUがこれまで得意としてきたヒューマンドラマやファンタジーの領域を超え、パク・ミニョンの本領であった王道ラブコメにおいても高い集客力を発揮し始めたという事実だ。
振れ幅が大きくなっているパク・ミニョンに対し、出演する作品ごとに確実に成果を残すIUのブランド力は、現在のドラマ市場においてより強固なものとなっている。
これまでのラブコメ女王が築いた華やかなイメージに、IU特有の全世代から支持される信頼感が加わった今、韓国ドラマ界の主役は交代の時期を迎えているのかもしれない。
『21世紀の大君夫人』がこのまま好調を維持し、視聴率を稼ぎ続ければ、IUが名実ともに“新ラブコメ女王”の座に就く可能性も十分に考えられる。


