現在、日本のK-POPファンの間で注目を集めているのが『PRODUCE 101 JAPAN 新世界』だ。
視聴者が“国民プロデューサー”として101人の練習生の中からデビューメンバーを直接選ぶという、高い参加性が人気を博している。
ほかにも、現在の日本の音楽シーンに欠かせない存在となったJO1、INI、ME:Iも、同シリーズから誕生している。こうした人気シリーズの原型となったのが、韓国の音楽専門チャンネルMnetが制作した本家『PRODUCE 101』シリーズだ。
練習生の成長を克明に描き、最終的なデビューの可否を視聴者投票に委ねる仕組みは、オーディション番組のスタンダードを確立した。しかし、その華やかな成功の裏側には、K-POP史上最大級とも言われる汚点が存在する。2019年に発覚した「投票操作事件」だ。
組織的に行われた捏造
この事件は、シリーズの中心人物だったアン・ジュニョンPD(プロデューサー)らが、特定の練習生をデビューさせるために投票結果を意図的に操作していたことが明らかになったものだ。捜査の結果、驚くべきことにシリーズ4作品で順位操作が行われていたことが判明した。

すでに数年前の事件であるため、最新シリーズの視聴者は知らない人もいるだろうが、その実態はあまりに凄惨だ。例えば、2018年に放送され、IZ*namaeONEを輩出した『PRODUCE 48』では、最終回の生放送前に“デビューさせたい12人”が制作側によってあらかじめ決められていたことが裁判で認定されている。視聴者が送った有料投票の結果は無視され、IZ*ONEというグループ自体が国民の選択ではなく、制作側の演出によって構築されていたのだ。
続いてX1を輩出した2019年の『PRODUCE X 101』では、最終回の得票数に特定の数字の倍数が並ぶという不可解な規則性がファンに指摘され、これが事件発覚の決定打となった。これら2作に関しては、最終選抜の段階で11~12人のメンバー全員があらかじめ固定されていたという、視聴者への凄まじい背信行為が事実として刻まれている。
奪われた12人の未来
裁判の過程では、票操作によって不当に脱落させられた12人の練習生の実名も公表されている。例えば『PRODUCE 48』では、本来の最終順位が5位だったイ・カウン、6位だったハン・チョウォンが、操作によってデビュー圏外へと追いやられた。また『PRODUCE X 101』では、なんと6人もの練習生たちの票数が操作されていたことが明らかになっている。シリーズ4作品を合計すると、12人もの練習生が被害者となった。

残酷なのは、彼らが犠牲者であることを知らないまま、競争の場から去っていった点だ。多くの練習生は「自分の努力が足りなかった」という自責の念を抱えながら、その後の芸能活動を余儀なくされた。一方で、操作を知らずにデビューしたメンバーたちもまた、疑惑の目を向けられながら活動を続けなければならず、この事件は関係者全員の心に深い傷跡を残した。
業界の倫理観を問う「復帰騒動」
主犯のアン・ジュニョンPDには懲役2年の実刑判決が下ったが、2022年の出所後、Mnetへの再入社が報じられた。これには当然のように、韓国国内では猛烈な批判が巻き起こった。「若者の人生を狂わせた人物が、なぜ再び権力の座に戻れるのか」という世論の反発を受け、結局復帰は短期間で立ち消えとなった。この騒動は、K-POP業界の倫理観がいかに脆弱であるかを露呈させたとも言える。

現在、日本で展開されている『PRODUCE 101 JAPAN』シリーズは、この悲劇を教訓に制作体制の透明性を大幅に強化しているという。外部監査の導入により結果の公正性を担保し、番組側も「誠実な選抜」を繰り返し強調している。
だが、どれほど制度が整備されようとも、操作によって奪われた時間は二度と戻らない。あの事件で失われたのは、単なる順位ではなく、練習生たちが人生をかけて積み上げてきた努力そのものだったのだ。


