BTSが今日から東京ドームに立つ。
チケットはすでに完売しており、BTSがどんなパフォーマンスを見せるのか、大きな期待が寄せられている。
ただ、いまのBTSの大きさは、コンサートでどれだけ観客を集めるかだけでは測れない。むしろ興味深いのは、BTSが単に公演会場を埋めるだけでなく、韓国への訪韓需要まで動かす存在になっていることだ。
“移動する経済圏”となったBTS
韓国の文化体育観光部は4月16日、今年1~3月の訪韓外国人観光客が476万人だったと発表した。これは前年同期比23%増で、1~3月としては過去最多の数字だ。
さらに3月単月でも206万人に達し、月間ベースの過去最多を更新した。

その背景について文化体育観光部は、中東情勢の不安定さがあるなかでも、Kカルチャーの世界的な人気と官民の誘致努力が成果につながったと分析。『聯合ニュース』は、この結果について「3月のBTS公演をきっかけに外国人が大挙して韓国を訪れた」と、BTS公演の効果をかなり明確に位置づけていた。
この数字で特に目を引くのが日本市場だ。
1~3月の訪韓外国人観光客のうち、日本人は94万人で、中国の145万人に次ぐ規模だった。ここに、すでに1月と2月の月別数字を重ねると、さらに見え方が変わる。
韓国観光公社が発表した統計によると、今年1月の日本人訪韓客は22万5351人。同じく、2月は23万3000人だった。つまり、1~3月合計の94万人から単純計算で差し引くと、3月だけで約48万人に達したことになる。
1月が約22万人、2月が約23万人だった流れを踏まえると、3月に日本人の訪韓需要が一気に膨らんだと見るのはかなり自然だろう。
もちろん、日本人観光客の増加をすべてBTSだけで説明するのは乱暴だ。実際、1月も2月も日本人訪韓客は前年同月を上回っており、春休みや卒業シーズンの需要は否めない。それでも、BTS公演がその流れをさらに押し上げた要因の一つだった可能性は高い。
その根拠は、外国人観光客のカード消費データだ。

ハナカードは今年1月1日からBTS公演が終わった4月12日までの外国人観光客のカード決済データを分析し、BTSワールドツアー「ARIRANG」に伴って発生した外国人観光客の消費額を約555億ウォン(約60億円)と推計した。
外国人1人当たりの平均支出額は185万ウォン(約20万円)に達し、航空・宿泊・周辺商圏の利用まで含めた波及効果が確認されたという。
しかも、その外国人ファンの中心にいたのが日本人だった。4月9日と11~12日に開かれたBTS公演チケットを購入した外国人3万人の決済データを分析したところ、国籍別では日本が32%で最多。続いて台湾12%、フィリピン7%、香港5%と続き、アジア圏が全体の75%を占めたという。
少なくとも、BTS公演を見に韓国を訪れた外国人ファンの中で、日本人が大きな比重を占めていたことになる。
公演会場周辺の消費も鮮明だ。BTS公演が開かれた週の高陽(コヤン)総合運動場周辺商圏では、外国人カード利用件数が前週比807%増、利用金額は231%増に達した。まさに“BTS特需”と呼べる水準だった。しかも外国人ファンは、一般観光客よりも航空と宿泊への支出が多く、会場周辺の飲食費も高かったという。
さらに、彼らは1人当たり平均2.1枚のチケットを購入しており、知人の分をまとめて買ったり、複数回観覧したりする“n次観覧”の傾向も強かった。
ここまで来ると、BTSの影響力はもはや公演会場の動員だけでは語れない。

彼らは日本で東京ドームを埋める一方で、韓国では外国人観光客を動かし、航空券、宿泊、飲食、周辺消費まで含めた大きな経済圏をつくっている。特に日本人ファンの存在は、その経済圏の中でかなり大きい。BTSはすでに、日本で観客を集めるだけでなく、韓国への人の流れまで生み出す存在になっているのだ。
だからこそ、今日から始まる東京ドーム公演も、単なる日本ツアーの一公演としては片づけられない。BTSが動くたびに、人も、金も、国境をまたいで動く。いまの7人は、まさに“移動する経済圏”そのものなのかもしれない。


