不祥事を起こした俳優が出ている作品だからといって、すべてが同じように止まるわけではない。
むしろ韓国芸能界では、ある作品は編成から消え、ある作品は予定通り公開されるという、かなり対照的なことが起きている。
その象徴が、tvN『シグナル2』とNetflix『ワンダーフールズ』だろう。
4月17日、韓国ではチョ・ジヌンの問題で編成が不透明だった『シグナル2』が、結局下半期の編成から外れたと報じられた。
2016年の大ヒット作『シグナル』の続編として大きな期待を集め、キム・ヘス、イ・ジェフン、チョ・ジヌンの再会でも注目されていた作品だが、チョ・ジヌンの過去をめぐる論争が直撃した格好だ。
一方で同じ日、脱税論争で物議を醸したチャウヌが主演するNetflixの『ワンダーフールズ』は、5月15日の公開を正式に決めた。こちらも騒動の渦中にある俳優を抱えた作品であるにもかかわらず、公開は止まらなかった。
なぜ差が出るのか

同じ「不祥事を起こした俳優が出る作品」なのに、なぜここまで明暗が分かれるのか。
そこには、単に俳優が問題を起こしたかどうかだけではない、いくつかの条件があるように見える。
まず大きいのは、不祥事そのものの重さだ。
チョ・ジヌンの場合、報道では高校時代の窃盗などによって少年保護処分を受けた過去が明らかになり、本人も引退を宣言した。所属事務所は一部については否定したが、それでも世論に与えた衝撃は極めて大きかった。

一方のチャウヌは、家族法人との取引構造をめぐる税務調査の末、約130億ウォン(約14億円)を納付したことで脱税論争に発展した。もちろん軽い問題ではない。だが、視聴者が受け取る拒否感の質は、チョ・ジヌンのケースとは明らかに異なる。
つまり、同じ「不祥事俳優」でも、作品を直撃する破壊力にはかなり差がある。
次に、作品が公開されるプラットフォームの違いも無視できない。
『シグナル2』はケーブルテレビtvNの作品だ。編成から外れるという判断は、そのまま放送局のブランドやスポンサー、編成全体のリスク管理と結びつく。特に『シグナル』のような代表シリーズの続編であればなおさらだ。
それに対して『ワンダーフールズ』はNetflix作品である。地上波やケーブル局のように毎週の編成と広告に直結しているわけではなく、一度完成した作品をどこまで押し切るかという発想になりやすい。同じ“公開”でも、tvNとNetflixでは判断の構造自体が違う。

俳優がその作品の中でどれほど代替不可能か、という点も大きいかもしれない。
『シグナル2』のチョ・ジヌンは、前作から続く中心キャストであり、作品の顔の一人だ。チョ・ジヌンの問題は、そのまま『シグナル2』という作品の正当性や没入感を傷つける。
だが『ワンダーフールズ』は、チャウヌが主演ではあっても、パク・ウンビンやユ・インシク監督ら、別の訴求点もかなり強い。作品全体を一人の俳優だけに還元しにくい構造だ。ここにも、止まりやすい作品と止まりにくい作品の差がある。
この問題を考える上で、過去の事例はさらに示唆的だ。
たとえばユ・アインが出演した映画『ハイファイブ』(原題)は、薬物騒動の渦中でも公開に踏み切った。監督はその理由について、「一人の俳優のための映画ではない」と語っている。多くの俳優やスタッフが時間と労力を注ぎ込んだ作品であり、一人の問題だけで全体を止めるべきではないという論理だ。
これは、作品公開を押し切る側の最も典型的な理屈だろう。作品は一人のものではなく、すでに多くの人の働きが積み重なっている。だから俳優個人の問題と作品全体は切り離して考えるべきだ、という考え方だ。

しかし、現実にはそう簡単でもない。
かつて校内暴力疑惑が浮上した俳優たちの作品では、疑惑段階でも編成や公開が止まり、何年も宙に浮くケースが続いた。チョン・ジョンソやソン・ハユン、キム・ドンヒらの事例が示しているのは、法的に確定しているかどうかだけで作品の運命が決まるわけではないということだ。
一度でも強い“レッテル”が貼られれば、作品はそれだけでリスク案件になる。原作者が「気が狂いそうだ」と吐露するほど、俳優一人の論争が作品全体に深く影を落とすこともある。
つまり、公開されるかどうかを左右するのは、不祥事の有無だけではなく、それが世論の中でどれだけ“切り離せないもの”として受け取られたかでもある。
結局のところ、不祥事俳優の作品が止まるか止まらないかは、単純な善悪の物差しだけでは決まらない。犯罪や疑惑の重さ、世論の拒否感、放送局かOTTかというプラットフォームの違い、そしてその俳優が作品の中で占める位置。そうした複数の要素が重なったときに、作品は止まり、あるいは押し切られる。
『シグナル2』が編成から消え、『ワンダーフールズ』がそのまま公開へ向かうという対照性は、その現実をかなり生々しく見せている。

しかも、この問題は韓国だけの話でもない。
近年、日本のドラマや配信作品でも韓国俳優の起用は明らかに増えている。日韓の放送業界は協力を深め、俳優の往来も活発になっている。

そうなれば当然、俳優の私生活や論争が作品に与える影響、そしてトラブル発生時に誰がどこまで責任を負うのかという問題も、国境を越えて共有されていく。
不祥事俳優を作品から切り離して見られるのか、それとも無理なのか。『シグナル2』と『ワンダーフールズ』の対照性は、韓国コンテンツ業界のいまを映しているだけでなく、これから日本のエンタメ業界も無関係ではいられない問いを先取りしているのかもしれない。
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