繁華街や駅構内で意図的に通行人に体当たりする「ぶつかり」。その行為が、韓国でもにわかに注目されるようになっている。
新たな日本旅行の“リスク”として語られ始めているのだ。
改めて話題になったのが、元プロゲーマーで俳優としても活動するミン・チャンギの配信映像だ。ミン・チャンギは4月16日、日本・福岡で屋外生配信をしている最中、わざと肩をぶつけるように近づいてきた男性を間一髪で避けた。
韓国メディアはこの様子を日本語のまま、「ブツカリ」と紹介しながら大きく伝えている。
日本旅行のリスクになった「ぶつかり」
興味深いのは、この話が単なる一件のハプニングでは終わっていないことだ。

韓国ではここ数カ月、日本の都市部で通行人にわざと体をぶつける行為が、旅行者のあいだで不安材料として共有され始めている。
東京・浅草の百貨店で理由なく体当たりされたという韓国人観光客の体験談や、「東京、福岡、大阪で全部やられた」といった声まで広がっており、被害談はもはや一都市の話ではなくなっている。
こうした空気をさらに広げたのが、中国大使館が在日中国人に向けて「混雑した場所では他人と距離を保ち、歩きスマホを控えるように」と注意喚起を出したことだった。韓国では、“日本で実際に気をつけるべきこと”として受け止められた。
つまり「ぶつかり」は、日本社会で問題視されてきた迷惑行為であるだけでなく、今では外国人観光客にも向けられるリスクとして共有され始めているのだ。

この流れは、数字と重なるとさらに見え方が変わる。
日本政府観光局(JNTO)によると、2026年3月の訪日外客数は361万8900人で、3月として過去最高を更新した。そのうち韓国からの訪日客は79万5600人で、国・地域別で最多だった。しかも前年同月比でも15.0%増と、引き続き増加基調にある。
さらに韓国人観光客は、1~3月累計では305万8100人で、前年同期比22.0%増となった。つまり、いま日本に最も多く来ている外国人観光客が韓国人であり、その増加局面と「ぶつかり」への不安がちょうど重なっているわけだ。
日本は依然として韓国人にとって最も行きやすく、最も人気のある海外旅行先のひとつだ。近い、安い、食べ物も合う、買い物もしやすい。訪日韓国人の数字がそれを証明している。
だからこそ、韓国のSNSやメディアでは「日本旅行で本当に怖いのはスリでもぼったくりでもなく、歩いている時に突然ぶつかられることではないか」という種類の不安が少しずつ広がっている。

ミン・チャンギの一件が注目されたのも、その文脈の中にある。有名人がたまたま避けたから話題になったのではない。韓国の旅行者たちがすでにどこかで共有していた「日本では、ああいうことが本当に起こるらしい」という感覚とつながったからこそ、大きく注目されたのだ。
日本では「ぶつかり」は局地的な迷惑行為、あるいは一部の異常な行動として扱われがちだが、韓国では今、それが「日本旅行で気をつけるべきこと」のひとつとして認識され始めている。
観光客が増えれば、その国の魅力だけでなく、そこにある嫌な体験もまた一緒に共有される。いま日本で起きている「ぶつかり」問題は、まさにその段階に入ったのかもしれない。
■【写真】「30分も待たされ、料理も生臭かった」日本での食事を韓国女優が酷評


