所属事務所が謝罪文を発表したものの、単純な“盗作疑惑”では片づけにくい。
K-POPガールズグループBilllie(ビリー)をめぐる騒動だ。
問題になったのは、5月6日に発売される1stフルアルバム『the collective soul and unconscious: chapter two』の収録曲『$ECRET no more』に関連する映像だった。
映像が4月23日に公開されると、一部から盗作疑惑が浮上した。
所属事務所MYSTIC STORYは4月25日、ファンに向けて謝罪文を発表し、「特定作品を意図的に借用したり、著作権を侵害したりした事実はない」と説明した。盗作疑惑について否定する立場を示したわけだ。
しかし一方で、「今後のコンテンツ制作にあたっては、より明確な創作基準を適用し、コンテンツの完成度を損なうおそれのある生成型AIを使用した制作物は、いかなる形でも制作しないことを申し上げる」と明言している。
少なくとも、事務所側も今回の騒動で“生成AI”が大きな争点になっていると認識していることはうかがえる。
AIを使った時点で“オリジナル”と呼べない?
この騒動が興味深いのは、ファンの怒りが単に「似ている」「盗作ではないか」という一点に集中していないことだ。

映像公開後、ネット上では「見た目はとてもかっこいいが、これがAIではないことを願う」「AIを使いすぎることでBilllieを傷つけている」「最初にこのAIまみれのMVが来て、次は何なのか。アルバムもAIが書いたのか?」といった反応が続いた。
もともとBilllieは、実験的な音楽、独自の世界観、映像美、そして緻密なストーリーテリングを売りにしてきたグループだ。今回のフルアルバムも、MYSTIC STORYは「Billlie universe」をさらに拡張する作品として大きく打ち出していた。
つまりBilllieにとって、ビジュアルやコンセプトは音楽の付属品ではなく、グループそのものの核といえる。その中枢にある映像が「AIっぽい」「特定の作品に似ている」と疑われた瞬間、ただの一映像の問題では済まなくなった。グループのアイデンティティそのものが問われるからだ。
そして、より本質的なのは、たとえ意図的な盗用ではなかったとしても、「AIを使った時点でそれを本当に“オリジナル”と呼べるのか」という点にある。
反応の中には、「あなたたちのAIまみれの作品にはうんざりする」「作品のどの部分にAIが使われたのか、実際に人の手で作られた部分はあるのか明らかにしてほしい」といった声が並んでいる。ファンが問題にしているのは、法的に著作権侵害に当たるかどうかだけではない。創作として誠実かどうか、そこなのだ。

ここが、所属事務所の謝罪文が十分に火消しにならなかった理由でもあるだろう。
事務所は「意図的な借用ではない」「著作権侵害はない」と説明した。だが、ファンが本当に知りたかったのは、生成AIが使われたのかどうか、使われたならどの範囲なのか、どこまでが人の手による創作なのか。さらに、類似を指摘された元作品の創作者への説明や配慮はあったのか。そうした疑問に正面から答えないまま「創作物だった」とだけ説明されても、納得しにくいのは当然だ。
実際、謝罪後の反応でも「謝罪はしたが、まだ何もわかっていないように見える」「曖昧な声明ばかりだ」「本当にオリジナルだというなら、草案や制作過程を示してほしい」といった声が目立った。ファンは謝罪そのものよりも、説明の曖昧さに強く反応しているのである。
だから今回のBilllie炎上は、「盗作か、盗作ではないか」という昔ながらの二択では収まらない。
生成AIが混じった時点で、ファンはもはや「意図的に盗んだのか」を問うだけではなく、「それをオリジナルと呼べるのか」「その創作態度を支持できるのか」を問うようになっている。法的にセーフであることと、創作として信頼されることは、もはや別問題なのだ。
その意味で、Billlieの件が突きつけたのは、K-POPにおける新しい危機かもしれない。K-POPはこれまで、コンセプト、映像、世界観の完成度で勝負してきた。
しかし、そこに生成AIが入り込んだ瞬間、作品のクオリティだけでなく、創作過程そのものが検証対象になる。見た目が美しいだけでは足りず、その美しさがどう作られたのかまで問われる時代になったといえるかもしれない。
生成AIを使った時点で、それをオリジナルと呼べるのか。今回、ファンが突きつけた問いは、Billlieだけでは終わらない、現在進行形の問題だ。
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