キスシーンのたびに、数字が動いている。
日本ではディズニープラスで配信中のドラマ『21世紀の大君夫人』(MBC)が、韓国で自己最高視聴率を更新した。
4月25日放送の第6話が、視聴率11.2%を記録したのだ。
初回7.8%でスタートした後、第2話9.5%、第3話9.0%、第4話11.1%、第5話10.6%、そして最新の第6話11.2%と推移しており、多少の上下はあっても、全体としては明らかに右肩上がりの流れにある。
『21世紀の大君夫人』が安定して数字を伸ばしている理由はいくつもあるだろう。21世紀の立憲君主制という独特の設定、財閥令嬢と王子という身分差ロマンス、政治劇と恋愛劇が絡み合う構造など、視聴者を引っ張る要素は少なくない。
ただ、その中でも今最もわかりやすく数字に反応しているのが、IUとビョン・ウソクのロマンス、とりわけキスシーンなのではないか。
視聴率にダイレクトに影響!?

まず、序盤の勢いに火をつけたのは第3話ラストの“塀キス”だった。
この回は視聴率9.0%と第2話から若干下がったものの、塀の上で2人が口づけを交わすエンディング場面では、瞬間最高視聴率が12.7%まで跳ね上がったという。
このキスシーンが強く刺さったのは、単に絵として美しかったからだけではなさそうだ。あの場面で2人は、マスコミに見られていることを互いに意識したうえで、あえて“撮られる”ようにキスをしている。つまりまず建前としては、契約結婚を選んだ2人が世間に向けて関係を演出する場面だった。
だが、だからこそ単なるパフォーマンスでは終わらなかった。見せるためのキスであるはずなのに、そこに本心がまったく混じっていないのかどうかは、2人自身もまだ整理しきれていないように見える。演技として始まったはずの行為に、感情の揺れがにじむ。その曖昧さが、視聴者にとってはむしろ強いときめきになったのだろう。

そして、その流れをさらに強く証明したのが第6話だった。
自己最高視聴率を更新したこの回で注目を集めたのは、やはりヨットの上で描かれたキスシーンだった。
韓国メディアによれば、ソン・ヒジュ(IU)が「したいことは全部してください」と口にする場面で、瞬間最高視聴率は13.4%まで上昇したという。
つまりこのドラマは、単に平均視聴率が上がっているだけでなく、ロマンスの決定的な見せ場で瞬間的にさらに数字を伸ばしているわけだ。
もちろん、キスシーンさえあれば数字が上がるという単純な話ではない。『21世紀の大君夫人』で効いているのは、単なるスキンシップではなく、感情線の節目として配置されたキスなのだ。
第3話の“塀キス”は、2人の関係が“契約”から“感情”へと動き出す場面だった。第6話の“ヨットキス”もまた、王室の法度や政治的圧力から束の間解放され、2人が相手だけに集中する瞬間として描かれた。

だからこそ視聴者は反応する。キスそのものというより、そこに至るまでの感情の蓄積が一気に報われるからだ。数字が動いているのは、ロマンスの見せ方がうまくハマっている証拠ともいえる。
実際、主演の2人もこのロマンス演出の重みをよくわかっているように見える。
YouTube番組『サロンドリップ』で、IUとビョン・ウソクは話題になった塀キスについて明かしている。
IUは「(撮影時は)ものすごく暑かった。暑そうな様子を見せてはいけない、爽やかなシーンだった」と話し、ビョン・ウソクは「鼻が触れてしっとりしてしまい、頬に跡が残った」と伝えた。「キスシーンの撮影にかなり時間がかかった」と明かしたIUは、「キスを何回したのか」というノ・サンヒョンの質問に対し、「数えきれないほどたくさんした」と率直に語っていた。あの一場面にかなりの手間がかけられていたことがわかる。
つまり、視聴者の記憶に残るロマンス名場面は、偶然生まれているわけではなく、繰り返し撮影し、細かく感情を積み上げた末に作られているからこそ、放送時に数字まで伴ってくるといえる。

しかも、期待できるのはここからだ。IUは『サロンドリップ』で、後半に進むほどロマンスの空気がさらに濃くなることを予感させる発言もしていた。
塀キス、ヨットキスと来て、すでにロマンスが視聴率を押し上げる構図ができつつある以上、今後さらに感情の密度が増せば、もう一段数字が跳ねても不思議ではない。
振り返れば、視聴率の推移そのものがすでにこのドラマの追い風を物語っている。7.8%で始まり、9%台を経て、第4話で11%台に乗せ、第5話でやや落ちても、第6話で再び自己最高を更新した。これは単なる瞬間風速ではなく、視聴者がしっかり定着している証拠でもある。
そして、その定着をさらに加速させているのが、IUとビョン・ウソクのロマンスなのだろう。今後もキスシーンを含む恋愛線の濃度が上がるなら、自己最高更新はまだ続くかもしれない。


