日本人を含む外国人観光客が、再び韓国へ向かっている。
韓国文化体育観光部によると、2026年第1四半期に韓国を訪れた外国人観光客は476万人だった。
【調査】「海外韓流実態調査」10年データで見えた“スターの固定化”
前年同期比23%増で、第1四半期としては過去最多。3月単月でも206万人に達し、月間ベースの過去最多を更新した。
なかでも日本人観光客の存在感は大きい。1~3月の訪韓外国人観光客のうち、日本人は94万人で、中国の145万人に次ぐ規模だった。台湾は54万人で、主要市場はいずれも成長している。
では、なぜこれほど多くの人が韓国へ向かっているのか。
韓国旅行の理由は「Kカルチャー」
その理由として、もはや外せないのが「Kカルチャー」だ。

K-POP、韓国ドラマ、韓国映画、韓国グルメ。画面越しに親しまれてきた韓国文化は、いまや実際に韓国を訪れ、歩き、食べ、体験する理由そのものになっている。
Airbnbが4月28日に発表した「Kカルチャーと韓国旅行」に関する調査では、韓国を訪問した、または訪問を計画している海外旅行客の75%が、韓国訪問の大きな動機としてKカルチャーを挙げた。
さらに94%は、「Kカルチャーが韓国旅行への関心に影響した」と答えている。
つまり韓流は、もはや“見るもの”にとどまらない。ドラマで見た場所へ行き、好きなアーティストの国を歩き、映像で見た料理を現地で食べる。Kカルチャーは、旅行前の関心を実際の移動へと変える入口になっている。
しかも、その影響は消費にも及んでいるようだ。同調査によると、Kカルチャーを体験するために韓国を訪れる旅行者は、一般旅行者より1人当たり平均435ドル、約6万9000円多く支出するという。文化への関心が、宿泊、飲食、買い物、体験消費へと広がっていることがうかがえる。
この流れは、韓流全体の定着ともつながっている。
韓国の文化体育観光部と韓国国際文化交流振興院が発表した「2026海外韓流実態調査」では、回答者の69.7%が韓国文化コンテンツに好感を示した。前年よりわずかに低下したものの、依然として7割近い水準を維持している。
日本でも韓流への好感度は上昇した。同調査によると、日本の韓国文化コンテンツ好感度は52.7%で、前年より6.4ポイント増加している。韓流は一部の熱心なファンだけのものではなく、食、ドラマ、映画、音楽、ファッション、ビューティーなどを通じて、より日常的な関心へと広がっている。

実際、韓流の中核分野として挙がったのは、「食」「映画」「ドラマ」「音楽」だった。K-POPだけでなく、韓国料理を食べたい、ドラマで見た街を歩きたい、映画の空気感を現地で感じたいという複数の関心が重なり、韓国旅行の需要を押し上げている。
BTSのような巨大アーティストの存在も、この流れを象徴している。
韓国文化体育観光部は、2026年第1四半期の訪韓客増加について、Kカルチャーの世界的な人気と官民の誘致努力が成果につながったと分析した。『聯合ニュース』も、3月のBTS公演をきっかけに外国人が大挙して韓国を訪れたと報じており、K-POP公演が訪韓需要を刺激する構図がうかがえる。
特に日本市場との関係は見逃せない。1~3月の日本人訪韓客は94万人で、中国に次ぐ規模だった。日本からの訪韓需要はもともと回復基調にあったが、BTS公演のような大型イベントがその流れを後押しした要因の一つと見ることはできる。
もはやK-POPスターは、会場を満員にするだけの存在ではない。ファンの移動、航空券、宿泊、飲食、周辺商圏の消費まで含めた“移動する経済圏”を生み出している。
ソウル集中の現実も浮き彫りに
ただし、韓国旅行の広がりには、まだ偏りもある。
Airbnbの調査では、回答者の74%がドラマや映画を見てソウル以外の地域訪問にも関心を持ったと答えた。一方で、実際には66%がソウルで大半の日程を過ごしている。
関心は地方へ向かっているのに、旅程はソウルに集中する。このズレこそ、Kカルチャー観光の次の課題だ。

調査では、ソウル以外の地域を予約する際、「適切な宿泊オプションの有無」が決定的な影響を与えると答えた割合が83%に達した。地方に魅力がないわけではないが、それでも実際に足を運ぶには、泊まりやすさ、移動のしやすさ、体験のわかりやすさが必要になる。
韓国政府の統計でも、地方観光には変化の兆しがある。2026年第1四半期には、地方空港を通じた入国者が前年同期比49.7%増加し、外国人観光客の地域訪問率も34.5%と、1年前より3.2ポイント上昇した。ソウル以外へ向かう流れは少しずつ強まっている。
それでも、Kカルチャーの集客力が大きいからこそ、課題もはっきりする。
外国人旅行者は、単に有名スポットを回りたいだけではない。Airbnb調査では、91%が「本物の現地文化体験」を重視し、92%がK-POPを超えて、食、歴史、自然など幅広い韓国文化を経験したいと答えている。
韓流は、韓国に人を呼び込む力を持った。だが、その先で旅行者が求めているのは、商業施設化された“韓流体験”だけではない。現地の人が暮らす街、地域ごとの食文化、歴史、自然、日常の空気。コンテンツをきっかけに来た人ほど、画面の向こうにあった韓国を、自分の足で確かめたいと思っている。
一方で、韓流の広がりには反発もある。
「2026海外韓流実態調査」では、韓流経験者の37.5%が韓流に対する否定的認識に同意した。理由として最も多かったのは「過度な商業性」だった。韓流が世界で定着するほど、コンテンツや観光が“売られるもの”として見られる場面も増える。
だからこそ、Kカルチャー観光の次の段階では、単にスターや作品を前面に出すだけでは足りない。旅行者が求める「本物の現地文化体験」と、受け入れる地域側の宿泊・交通・体験インフラをどうつなぐかが問われている。
韓国はすでに、Kカルチャーによって海外から人を呼び込むことには成功している。訪韓客は第1四半期として過去最多を記録し、日本人観光客も大きな比重を占める。さらに、訪韓経験者・訪韓予定者の75%がKカルチャーを重要な動機として挙げている。
しかし、その熱量をどこへ広げるのかは、まだ途上だ。
ソウルに集中する旅行者を、地方の街や自然、歴史、食文化へどう広げていくのか。K-POPやドラマを入口に来た人たちに、韓国という国の奥行きをどう見せるのか。
韓流は“見るもの”から“旅する理由”になった。その次に問われるのは、韓国がその旅をどれだけ深い体験に変えられるかだ。
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