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あなたの“推し活”が韓国コンテンツ輸出を動かしている?「音楽産業32.4%増」が示すK-POPの現在地

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あなたの“推し活”が韓国コンテンツ輸出を動かしている?「音楽産業32.4%増」が示すK-POPの現在地
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アルバムを買う。配信を聴く。ワールドツアーに行く。グッズを買う。

K-POPファンにとっては日々の“推し活”でも、統計で見れば、それは韓国コンテンツ産業を押し上げる力になっている。

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韓国コンテンツ振興院が4月30日に発表した「2025年4分期および年間コンテンツ産業動向分析報告書」によると、2025年の韓国コンテンツ産業の年間売上は161兆4839億ウォン(約17兆4910億円)だった。

前年比2.6%増で、成長を牽引したジャンルとして「音楽」「漫画」「アニメーション」などが挙げられている。

なかでも目立ったのが音楽産業だ。売上では前年比15.8%増を記録し、コンテンツ産業全体のなかでも高い伸びを見せた。

さらに輸出では、その存在感がよりはっきり表れている。2025年の韓国コンテンツ産業の輸出額は149億582万ドル(約2兆3940億円)で、前年比5.9%増。そのうち音楽産業は前年比32.4%増となり、映画の19.9%増、キャラクターの12.8%増を上回る伸びで輸出増を主導した。

つまり、韓国コンテンツ全体が成長するなかで、K-POPを中心とする音楽産業は、その海外展開において特に強い勢いを見せたことになる。

BTSの東京ドーム公演
(写真提供=BIGHIT MUSIC)BTSの東京ドーム公演

韓国コンテンツ振興院は、音楽産業の成長要因として、主要芸能事務所の売上拡大と公演市場の回復、さらに海外公演の拡大やK-POPアーティストのグローバル進出拡大を挙げている。

“海外公演”が成長を押し上げるK-POP

この説明は、K-POPファンにとっても実感しやすいはずだ。

推しのワールドツアーが発表されると、日本、北米、欧州、東南アジア、中南米まで公演地が広がる。チケットを取り、遠征し、現地でグッズを買い、配信でライブを追い、アルバムを複数形態で購入する。ファンにとっては好きなアーティストを応援する行動でも、産業の側から見れば、それは公演、音盤、ストリーミング、グッズ(MD)、プラットフォーム利用を通じた巨大な消費になっている。

K-POPの輸出を押し上げているのは、音源だけではない。むしろ近年は、ツアーや現場消費の重要性がさらに大きくなっている。

韓国文化観光研究院の推計によると、2023年のK-POP海外売上は1兆2377億ウォン(約1340億円)。このうち海外公演が47.5%で最も大きく、音盤輸出の31.4%、ストリーミングの21.0%を上回った。

大手芸能事務所の業績を見ても、その構造は明らかだ。

HYBEは2025年通期連結決算で、売上高2兆6499億ウォン(約2870億円)を記録した。前年比約18%増で、創立以来の過去最高売上だった。

エスクプス(左)とミンギュ
(写真提供=PLEDISエンターテインメント)エスクプス(左)とミンギュ

成長の柱となったのは公演部門で、2025年にHYBEは計279回のグローバル公演を開催し、公演部門の売上高は前年比約69%増の7639億ウォン(約830億円)に達した。

もちろん、これはHYBEという一企業の例であり、K-POP全体をそのまま代表するものではない。それでも同社が韓国を代表する大手エンターテインメント企業である点を踏まえると、K-POPの収益がどこで生まれているのかを考えるうえで、かなり象徴的な数字だ。

HYBEの音楽売上全体において、音源が占める割合は約37%だったという。つまり、K-POPビジネスは、音源だけで成立しているわけではない。アルバム、公演、ストリーミング、グッズ、ファンコミュニティ、EC、デジタル事業が重なり合い、ひとつの巨大な収益圏を作っている。

だからこそK-POPは、すでに「韓国で成功してから海外へ出る」産業ではなくなりつつある。

近年のK-POP大手事務所は、デビュー段階から北米や欧州を視野に入れ、チーム構成、音楽、言語、プロモーション、ツアー戦略を設計するようになった。韓国国内で人気を固めてから海外へ進出するという従来の流れではなく、最初からグローバル市場を前提に動く構造だ。

その背景には、世界音楽市場の重心がある。国際レコード産業連盟のデータによると、2025年の世界音楽市場の売上は317億ドル(約5兆940億円)で、11年連続の成長を記録した。地域別では北米が38.7%、欧州が30.4%を占め、両地域だけで約7割に達する。

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(写真提供=SMエンターテインメント)aespa

さらに、音楽消費の中心はストリーミングに移った。2025年の世界音楽市場では、ストリーミング売上が全体の69.6%を占め、有料購読者は8億3700万人に達したとされる。

K-POPが北米や欧州を強く意識するのは、単なる流行ではなく、音源、プラットフォーム、ツアー収益が集中する市場構造に合わせた戦略でもあるわけだ。

実際、K-POPの成果は韓国国内チャートだけでは説明しにくくなっている。グローバルチャート、ワールドツアー、海外フェス、現地ファンダム、ストリーミング、アルバム輸出と、いまのK-POPは韓国の音楽でありながら、最初から世界市場のなかで消費されることを前提に作られている。

この変化は、ファンの側にも影響している。

かつては、海外ファンが韓国の音楽を“輸入して聴く”感覚が強かったかもしれない。だが今は、K-POPアーティストが自分の国に来て公演し、自国語の字幕やコンテンツが用意され、グローバルファン向けのプラットフォームで同時に情報が届く。ファンは、韓国の外にいながらK-POP経済圏の中にいる。

韓国メディア『アジア経済』は、専門家の言葉を借りて「海外消費者は公演、プラットフォーム、コミュニティを統合的に消費している」との見方を伝えた。

これは、ファンの体感にも近いだろう。新曲を聴き、MVを見て、アルバムを買い、フォトカードを集め、ライブに行き、配信を観る。ファンにとっては一連の“推し活”であり、産業側から見れば、公演、音盤、配信、グッズ、プラットフォームを横断する消費圏でもあるわけだ。

もちろん、音楽産業の輸出増を、ファン個人の消費だけで説明することはできない。そこには事務所の戦略、現地流通、ツアー運営、プラットフォーム、為替、契約、マーケティングなど、さまざまな要素が関わっている。

BLACKPINK
(写真提供=YGエンターテインメント)BLACKPINK

それでも、海外公演やアルバム、ストリーミング、ファンコミュニティが収益の柱になっている以上、ファンの熱量が産業の数字に反映されていることは間違いないだろう。

一方で、この成長には課題もある。

K-POPが大きな輸出産業になるほど、ファン消費への依存も大きくなる。フォトカードやファンサイン会を軸にした過剰なアルバム購入、大量購入された音盤の廃棄、ツアーやグッズへの経済的負担は、すでに繰り返し指摘されてきた問題だ。

さらに、グローバル市場を前提にした企画が進むほど、音楽の画一化や国内ファンとの距離感、アーティストの過密スケジュールも課題になる。K-POPが世界市場で勝つために設計されるほど、その“勝ち方”自体も問われるようになるだろう。

それでも、今回の統計が示した現在地は明確だ。韓国コンテンツ産業の売上と輸出は伸び、そのなかで音楽産業はひときわ大きな成長率を記録した。輸出32.4%増という数字は、K-POPが韓国コンテンツの海外展開を押し上げる主要エンジンになっていることを物語っている。

推しの一曲、一本のライブ、ひとつのツアーは、もはやチャートの中だけで完結しない。K-POPファンの熱量は、いまや文化輸出の最前線にある。

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