人気ガールズグループaespaの新曲に、G-DRAGONが参加することがわかった。
ただし、それを最初に知らせたのは、所属事務所SMエンターテインメントの公式発表ではなかった。
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きっかけは、韓国の公共放送局KBSの審議結果だ。
5月7日、KBS公式サイトに公開された新曲ミュージックビデオの審議結果によって、aespaの新曲『WDA(Whole Different Animal)』にG-DRAGONがフィーチャリング参加していることが明らかになった。
『WDA』は、5月29日にリリース予定のaespaの2ndフルアルバム『LEMONADE』の収録曲のひとつで、5月11日にデジタルシングルとして先行公開される予定だ。
これまでSMエンターテインメント側は、曲名と公開時期は発表していたものの、G-DRAGONの参加は公式化していなかった。ところが、発売前に受けるKBSの審議結果を通じて、思わぬ形で“ネタバレ”されてしまったわけだ。

では、そもそもKBSの審議とは何なのか。
簡単にいえば、KBSのテレビやラジオで流す楽曲やミュージックビデオが、放送に適しているかを確認する手続きだ。日本では少しなじみが薄いかもしれないが、韓国ではカムバック前の新曲が、放送局の審議を通じて「適格」「不適格」「保留」といった判定を受ける。
この審議に通れば、KBSの番組で楽曲やミュージックビデオを放送できる。一方、「不適格」となれば、KBSではそのまま放送できない。問題視された歌詞や表現を修正し、再審議を受けることもできる。
つまり、KBSの審議で不適格になったからといって、曲そのものが発売禁止になるわけではない。音源配信やアルバム発売は可能だ。あくまで、KBSという公共放送の番組で流せるかどうかの判断に近い。
BTS、T.O.P、i-dleも「不適格」に
KBSの歌謡審議は、これまでもたびたびK-POPファンの間で話題になってきた。
よくある不適格理由は、悪口、卑俗語、低俗な表現、扇情的な歌詞、特定ブランドへの言及、暴力や薬物を助長する恐れのある内容などだ。
最近では、BIGBANG出身のT.O.Pの1stフルアルバム『ANOTHER DIMENSION』が大きな注目を集めた。同アルバムは全11曲のうち7曲がKBSで不適格判定を受けた。理由としては、暴言や俗語、低俗な表現、特定ブランドへの言及、青少年有害薬物や違法行為を助長する恐れなどが挙げられている。

女優としても活躍するナナも、初ソロアルバムのタイトル曲『GOD』が、罵り言葉、卑俗語、低俗な表現を理由にKBSで不適格となった。また、LE SSERAFIMの『Ash』も、不適格判定を受けた例だ。理由は、自虐行為や肉体的・精神的虐待を美化したり、残忍な内容で嫌悪感を与えたりする歌詞とされた。
i-dleも、まだ(G)I-DLE名義だった時期に『Wife』が扇情性を理由に、収録曲『Rollie』が特定ブランドへの言及を理由に不適格となっている。

BTSも例外ではない。2022年のアンソロジーアルバム『Proof』では、『RUN BTS』『Born Singer』が悪口、卑俗語、低俗な表現を理由にKBSで不適格判定を受けた。このときは、ファンの間で「不適格少年団」という言葉が話題になるなど、むしろ期待を高めるような反応も見られた。

このように、KBS審議で不適格になることは、韓国音楽界では決して珍しいことではない。むしろ、K-POPファンにとっては「今回の曲はどこが引っかかったのか」と注目される、カムバック前後の恒例ニュースのような側面すらある。
では、なぜ今回のaespaの件では、KBS審議が“ネタバレ”になったのか。
理由はシンプルだ。放送で流す可能性がある楽曲やミュージックビデオは、発売前であっても審議に提出される。その審議結果がKBS公式サイトで公開されると、曲名、アーティスト名、フィーチャリング情報、判定結果などが見えることがある。
K-POPのカムバックは、情報公開の順番そのものがプロモーションだ。コンセプトフォト、トラックリスト、ティザー映像、ハイライトメドレー、MV予告。どの情報をいつ出すかは、事務所が緻密に設計する。
だからこそ、KBS審議結果に載った一行が、まだ明かしていない大型コラボを先に知らせてしまうことがある。aespaとG-DRAGONのコラボは、その典型だった。

特にG-DRAGONとaespaの関係には、すでに伏線もあった。aespaのカリナは、G-DRAGONの3rdフルアルバム『Übermensch』のタイトル曲『TOO BAD』のミュージックビデオに出演している。当時、G-DRAGONは相手役としてカリナを強く推薦したとされる。今回のフィーチャリング参加は、両者のつながりをさらに広げるものとして注目されるはずだった。
しかし、その発表のタイミングは、KBS審議によって先にずれてしまった。
審議は必要か、時代遅れか
とはいえ、KBS審議そのものを単純に「邪魔な制度」と見るのは早い。
韓国メディア『時事IN』は、T.O.PのアルバムをめぐるKBS審議について、「放送局の審議は必ず必要だ。放送は今もなお公的なメディアだからだ」と指摘している。
ストリーミングは、基本的に聴き手が自分で選んで再生する。一方、放送は不特定多数の視聴者や聴取者に同時に届く。子どもや青少年を含む幅広い層が、同じ時間に同じ内容へ触れる可能性がある。だから公共放送に一定の審議が必要だという論理には、確かに説得力がある。
一方で同メディアは「重要なのは審議の存在そのものではなく、基準がどれほど明確で、一貫して機能しているかだ」とも述べている。
たとえばT.O.Pのアルバムをめぐっては、薬物やブランド名に関する表現がどの文脈で使われたのか、同じ種類の表現が一貫して扱われているのかという点に疑問も示された。つまり、審議そのものよりも、基準の透明性と運用の一貫性が問われているということだ。
放送という公共空間には一定のルールが必要だ。しかし、そのルールが時代の感覚に合っているのか、ジャンルごとの表現や文脈をどこまで理解しているのか、同じ基準が一貫して適用されているのかが問われている。

もっとも、今回のaespaの件は、不適格判定をめぐる問題ではない。KBS審議という制度が、K-POPのカムバック前プロモーションとどう交差しているかを見せた出来事だ。
審議は、曲を放送できるかどうかを判断するためにあるが、その結果が公開されることで、時には楽曲情報やコラボ相手が先に見えてしまう。今回は、正式発表前のサプライズを先に開けてしまった。
G-DRAGONの参加をめぐる“ネタバレ”は、単なるハプニングではなく、カムバックの演出、公共放送のルール、情報公開のタイミングがぶつかった、韓国音楽界ならではの出来事だったといえる。
なお、aespaの『WDA』は「適格」判定を受けている。
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