「本当に名作」『地獄に堕ちるわよ』が韓国でも5位に “細木数子”を知らない視聴者にも刺さるワケ | RBB TODAY

「本当に名作」『地獄に堕ちるわよ』が韓国でも5位に “細木数子”を知らない視聴者にも刺さるワケ

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「本当に名作」『地獄に堕ちるわよ』が韓国でも5位に “細木数子”を知らない視聴者にも刺さるワケ
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Netflixの日本オリジナルドラマ『地獄に堕ちるわよ』が、韓国でもじわじわと見られている。

5月5日に公開されたNetflixテレビ部門のランキングによると、同作は5月3日基準で5位に入った。

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1位は韓国オリジナルシリーズ『キリゴ』で、2~4位には韓国ドラマが並んだ。その次に、日本オリジナル作品である『地獄に堕ちるわよ』が名を連ねた形だ。

韓国で大ヒットしている、とまではいえない。韓国メディアのレビューや解説記事も多くはない。それでも、細木数子という人物に馴染みが薄い韓国の視聴者の間で、日本の実在人物をモデルにしたドラマが見られていることは興味深い。

日本の視聴者にとって、『地獄に堕ちるわよ』はどうしても“あの細木数子を思わせるドラマ”として受け止められやすい。毒舌、占い、テレビでの圧倒的な存在感、そして「地獄に堕ちる」という強烈な言葉。その記憶を持つ人にとっては、作品を見る前からすでに予備知識がある。

一方、韓国視聴者にとって、細木数子という名前は必ずしも一般的ではない。

韓国メディア『Wikitree』も、同作を紹介する記事で「韓国の視聴者にとってホソキ・カズコという名前は馴染みが薄いかもしれない」としたうえで、彼女を「日本では2000年代初中盤にテレビを掌握していた毒舌占い師」と説明している。

つまり韓国では、作品そのものだけでなく、細木数子という人物を知るところから視聴が始まっているのだ。

韓国では“実話との距離”も注目

『地獄に堕ちるわよ』
(画像=Netflix)『地獄に堕ちるわよ』

『地獄に堕ちるわよ』は、作品冒頭から「この物語は事実に基づいた虚構」であることを示している。これは、韓国側の記事でも大きく扱われていた。

『Wikitree』は、同作について「実話と創作の間にある境界を制作陣自ら明確に引いた」と説明している。細木数子本人はすでに亡くなっているため、すべての真相を確認することはできない。そのうえで同記事は、作品の背景にある資料として、細木数子本人による自伝的作品と、週刊誌報道をまとめた暴露性の強い資料を挙げていた。

記事はその構造について、「二つの相反する視線をひとつの物語として編み上げたことが、このドラマの核心構造だ」と分析している。

ここが韓国での受け止め方としておもしろい。日本では「細木数子をどう描いたか」に目が向きやすいが、韓国ではむしろ「どこまでが実話で、どこからが創作なのか」というドラマの作りそのものに関心が向けられている。

同記事は、父親の存在、ヤクザとの関係、若い頃の描写、霊感商法、キャスティングなど、作品内で何が描かれ、何が削られたのかを細かく整理している。実在人物の伝記ドラマとして、作品がどこまで“真実”を引き受け、どこから“物語”として再構成したのかが、ひとつの見どころになっているわけだ。

特にキャスティングについても、『Wikitree』は戸田恵梨香が若年期から晩年までひとりで演じた点に触れている。晩年の細木数子とは外見の印象が異なるためキャスティング論争もあったとしつつ、若い頃を中心に描く構成であること、そして弱者だった女性がやがて他者を支配する側へ変わっていく過程を、ひとりの女優の身体で見せる意図があったのではないかと読んでいる。

韓国視聴者にとっても、戸田恵梨香の演技は大きな入り口になっているようだ。ネット上でも「戸田恵梨香の演技が本当にすごい」「子役もよく選ばれていた」「伊藤沙莉も良かった」といった反応が見られる。

なぜ「地獄に堕ちる」が“慰め”になるのか

一方、5月7日に公開された『OhmyNews』の「『地獄に堕ちるわよ』という予言はなぜ慰めになったのか」という記事は、作品をかなり違う角度から読んでいる。

同レビューが注目したのは、細木数子の“本物の苦痛”だ。

『地獄に堕ちるわよ』
(画像=Netflix)『地獄に堕ちるわよ』

記事では、細木数子が戦後の飢えや貧しさ、歓楽街での搾取、ヤクザの支配をくぐり抜けてきた人物として描かれることに触れたうえで、こう書いている。

「私たちは嘘よりも、本物の苦痛の前でより簡単にだまされる」

この一文は、同レビューの核心に近い。細木数子の言葉が危険なのは、彼女の過去がすべて嘘だからではない。むしろ、彼女が実際に苦しみ、生き延びた人物として描かれるからこそ、その苦痛がいつの間にか“権威”になってしまうという指摘だ。

同レビューはさらに、『地獄に堕ちるわよ』について「このドラマが本当に問うているのは、ホソキ個人の善悪ではない」とし、「私たちはなぜ本物の苦痛の前でこれほど簡単に武装解除されるのか」と論じている。

これは韓国社会にもつながる視点として読まれている。記事は、韓国でも「私はどん底まで行ったことがある」と語る成功談や、失敗から這い上がった投資メンター、自己啓発講師の言葉が、数字やデータ以上の説得力を持つことがあると指摘していた。

つまり、このレビューでは、『地獄に堕ちるわよ』は単なる日本の占い師ドラマではなく、「苦しんだ人の言葉を、なぜ人は信じてしまうのか」を問う作品として読まれているわけだ。

この視点は、韓国の視聴者にも届きやすいのかもしれない。

不安定な雇用、予測しにくい資産市場、先の見えない時代。複雑な現実を丁寧に説明する言葉よりも、強く断定してくれる言葉のほうが、時に人を安心させることがある。だからこそ、「あなたは地獄に堕ちる」という恐ろしい宣告でさえ、ある人にとっては方向を示す言葉のように聞こえてしまう。

同レビューは、最後に近い部分で「私たちは彼女の言葉より、彼女の苦痛を先に信じていたことを認めることになる」とまとめている。細木数子が正しかったから信じたのではなく、細木数子が苦しんだことだけは本物だと思ったから信じてしまった。そこにこの作品の不気味さがあるという読みだ。

韓国でこのドラマが小さく話題になっている理由は、そこにあるのだろう。

『地獄に堕ちるわよ』
(画像=Netflix)『地獄に堕ちるわよ』

細木数子という名前を知らなくても、苦しんだ人の言葉が妙な説得力を持ってしまう感覚はわかる。実話とフィクションの境界に揺れながら、視聴者は細木数子という人物だけでなく、彼女を必要とした時代や社会を見てしまう。

実際、韓国ネット上では好意的な感想も見られる。

「伝記小説が好きなら絶対に好き」「本当に名作。ずっと考えてしまう」「めちゃくちゃおもしろい」といった反応のほか、「戸田恵梨香の演技がすごい」「特殊メイク、美術、撮影技法などに魂を削って注ぎ込んだようだ」といった声もあった。

一方で、すべてが絶賛というわけではない。「女性の物語を作ろうとした努力は見事だが、そこまでおもしろくはない」「そもそも主人公が魅力的な人物ではない」「実話ベースの限界を感じる」といった冷静な反応もある。

反応をまとめると、誰にでもわかりやすく刺さる作品というより、実在人物の伝記、女性の成功と加害性、占いと権威、戦後日本の空気に関心のある視聴者に強く残るタイプのドラマなのだろう。

韓国で『地獄に堕ちるわよ』は、主人公の有名人性が薄いぶん、ひとりの女性が苦痛を権威に変え、メディアの力で巨大な影響力を得ていく物語として受け止められている。そこに、日本固有の話を超えた普遍性があるのかもしれない。

Netflix韓国ランキング5位という数字は、大きなブームを示すものではないが、それでも韓国の視聴者がこの奇妙な日本ドラマを見つけ、語り始めていることを端的に表している。

「地獄に堕ちる」という言葉がなぜ人を縛り、時に慰めにすらなるのか。韓国での静かな反応は、このドラマが国を越えて届く問いを持っていることを示している。

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