あるメンバーが車内でキムチ牛丼を食べた。その匂いがキツかった。
一見すれば、メンバー同士のささいなトークに聞こえるかもしれない。だが、それが韓国人メンバー不在の場で、日本人メンバーたちによって語られたとき、受け止め方は大きく変わる。
HYBE傘下YX LABELS所属のボーイズグループ&TEAMのラジオコンテンツ『&TEAMの「ごエンがあって、しゃべらせてもらってます。」』第23回が5月26日、「諸事情により」非公開となった。
公式アカウントは「本日配信いたしました第23回ですが、諸事情により一時的に非公開とさせていただいております」と案内し、「再配信まで今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます」と伝えた。
番組側は非公開の具体的な理由を明らかにしていない。そのため、今回のラジオ内での発言をめぐる韓国ファンの批判が関係しているのではないかという見方が、ファンの間で広がっている。
車内の“キムチ牛丼トーク”が火種に
問題視されているのは、日本人メンバーたちが、韓国人メンバーEJをめぐって話した場面だ。

SNS上に拡散された内容によると、YUMAは、EJが車内で牛丼にキムチをたっぷりのせて食べていたとして、「朝だったし、あれはちょっとキツかった」という趣旨の発言をした。
それを受けてJOも「ちょっとひどかった」と相づちを打ち、Kも「キムチは車の中だと匂いがはっきりする」「朝は絶対嫌だ」といった趣旨の反応をしたという。
一方で、YUMAは、EJが事前に「食べていい?」と聞いてきたことにも触れ、「聞いてくれてよかった」とも話していた。
日本語のこの会話だけを見れば、車内で匂いの強い食べ物を食べられるのは少しつらい、という日常的な不満として受け取る人もいるだろう。
実際、日本ファンの間では「車の中で納豆を食べられたら匂いが気になるのと同じではないか」「悪意は感じなかった」「仲が良いからこそのトークに見えた」といった声も出ている。
しかし、一部の韓国ファンの受け止め方は違った。
批判の中心は、「キムチの匂いが嫌だと言った」ことだけではなかった。本人がいない場で話したこと、事前に「食べていい?」と聞かれていたのにあとから不満のように語ったこと、そして、キムチという韓国を代表する食べ物が不快なもののように扱われたことに、反発が出ている。
つまり韓国ファンの間では、「ただの匂いトーク」では済まないと受け止められたのだ。
この件について記事を載せた韓国メディア『デイリーアン』は、問題の核心を「発言が置かれた文脈」にあると見ている。
同メディアは、「海外で韓国料理の匂いに否定的に言及する方式は、韓国人とアジア系移民が繰り返し経験してきた差別的経験と接している。キムチは韓国を代表する食べ物であり、文化的象徴である。これを不快さの対象として語る瞬間、韓国ファンには、食べ物の好みの違いを超えて、韓国文化に対する嘲笑のように聞こえ得る」と指摘した。

日本側の感覚では、「車内で匂いの強いものを食べるのはマナーとして気になる」という話に見える。キムチだから問題にしたのではなく、朝の密閉された車内で匂いの強い食べ物を食べたことへの軽いツッコミだった、という受け止め方だ。
だが韓国側では、キムチという言葉が、韓国文化や、海外で韓国料理の匂いをからかわれてきた記憶と結びついて受け止められている。
しかも&TEAMをめぐっては、過去にも韓国関連の発言が韓国ファンの間で議論になったことがある。
Kはライブ配信で「日本海より?」と発言し、韓国ファンの批判を受けた過去がある。また、2024年3月に日本テレビ『行列のできる法律事務所』に出演した際、韓国生活に触れるなかで「日本のコンビニはすべてがあるトータルパッケージ」「商品のレベルが違う」といった趣旨の発言をし、韓国のコンビニと比較するように聞こえるとして反発を招いた。
それぞれの発言の性格は違う。ただ、韓国ファンの側には過去の違和感が残っていた。そのため今回のキムチ牛丼トークも、単発の生活習慣トークではなく、「また韓国への理解が足りないのではないか」という文脈で受け止められやすかった。
日本語の会話、日本だけで終わらない
&TEAMは、日本を主な活動基盤とするグループだ。
そのため、日本語のラジオで、日本のバラエティ的なテンポやメンバー同士のツッコミが出ること自体は自然だ。日本ファンが「仲の良いメンバー同士の軽い不満トーク」と受け止めたのも、不思議ではない。
ただ、今のK-POP関連コンテンツは、配信された国や言語の中だけで完結しない。
短い発言はすぐに切り抜かれ、翻訳され、SNSで拡散される。日本語のラジオで笑いながら話された一場面も、韓国語に訳されれば、日本の番組内の空気や前後の冗談から切り離され、「韓国人メンバー不在の場で、韓国の食べ物の匂いを嫌がった発言」として受け止められる。
今回の騒動の難しさは、そこにある。

発言した側に悪意があったかどうかではない。その発言がどのように切り取られ、誰の言語で、どの文化的記憶と結びついて読まれるかまで問われる時代になっているのだ。
さらに&TEAMは、HYBEのK-POP制作システムの中で生まれたグループでもある。韓国人メンバーEJを含み、韓国語音盤をリリースし、韓国音楽番組にも出演してきた。つまり、韓国ファンから「K-POP圏のグループ」として見られる。
だからこそ、車内で匂いの強い食べ物を食べることへの不満という日常的な話題が、韓国ファンの前では、韓国文化への配慮や韓国人メンバーへの接し方の問題として読まれた。
前述した記事でも「現地化グループは、該当国の言語と情緒、コンテンツの流れを身につけることが重要」としながらも、「現地化が韓国的基盤を消す戦略になってはならない。K-POPというブランドと韓国会社の制作システムを基盤に成長するグループであれば、韓国の歴史と文化、韓国ファンダムの感受性もまた、共に考慮しなければならない」と指摘している。
もちろん、メンバーたちに強い悪意があったとは思えない。車内で匂いの強い食べ物を食べることへの不満は、日常的な感覚として理解できる。日本ファンが「キムチではなく、匂いの問題ではないか」と受け止めるのも自然だ。
しかし、グローバルに見られるグループのコンテンツでは、発言の意図だけでは足りない。どう受け取られるか、どの文化的文脈に置かれるかまで含めて、発言は評価される。
&TEAMのラジオが一時非公開になった理由は、公式には明らかにされていない。
ただ、現在の“現地化グループ”には、一つひとつの発言が別の文化圏でどう響くのかまで想像する高いハードルが求められている。
◇&TEAM プロフィール
HYBE傘下のYX LABELSに所属するグローバル・ボーイズグループ。日本出身のFUMA、K、YUMA、JO、HARUA、TAKI、MAKI、韓国出身のEJ、台湾出身のNICHOLASの9人で構成される。チーム名には、それぞれの個性を持つ9人がひとつのチームとなり、多様な世界を結びつけるという思いが込められている。2022年12月、1st EP『First Howling : ME』をリリースして日本でデビュー。2025年10月の韓国デビューアルバム『Back to Life』を通じて、日韓でミリオンを記録する日本アーティスト史上初の快挙を成し遂げた。
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