BTSのJUNG KOOKが訪れた飲食店をめぐり、ファンの間で批判が広がっている。
きっかけは、ソウル・梨泰院(イテウォン)の飲食店にJUNG KOOKが来店し、サインまで残したとされる出来事だった。
ここまでは、スターの来店を喜ぶ店側と、それを知ってうれしく思うファンの間で、温かい話題になってもおかしくない。
しかし、その後の店側の振る舞いが波紋を呼んだ。
SNS上では、店主側がJUNG KOOKの食べ残しを撮影し、それをインスタグラムに公開したとされる動画が拡散された。さらに、JUNG KOOKの来店を祝うためにクラブへ行き、その情報をクラブの大型スクリーンにまで表示したとする写真も広がっている。
店主の行為を問題視した投稿は、6月2日現在で85万件以上表示され、海外ファンの間にも一気に広がった。
投稿主は「JUNG KOOKが今日共有したレストランのオーナーは、なぜこんな動画を撮ったのか。JUNG KOOKの食べ残しを食べ、それをインスタグラムで共有する動画を作るなんて、何をしているのか。JUNG KOOKはサインまで残したのに、なぜ彼を尊重しないのか」と批判した。
これに対し、ファンからは「サインまで残してくれたのに失礼だ」「これはファンの行動ではなく、尊重を欠いた行為だ」「JUNG KOOKがこれを見たらどれほど不快に感じるだろう」といった反応が相次いだ。
サインは好意、食べ残しは別物

今回の騒動で強い違和感を生んだのは、JUNG KOOKが店に残した“好意”と、店側が公開したとされる“痕跡”の違いだ。
有名人が飲食店を訪れ、サインを残すことは珍しくない。店にとっては名誉であり、ファンにとっても「JUNG KOOKがここに来た」といううれしい話題になり得る。サインは、本人が自分の意思で残したものだからだ。
一方、食べ残しはまったく性質が違う。
食事は、あくまで私的な時間の一部だ。本人がメッセージとして残したものでも、ファンに見せるために用意したものでもない。誰がどの料理を食べ、何を残したのかという情報は、本人にとって公開を前提にしたものではないはずだ。
サインは本人が残した好意だが、食べ残しは本人の私的な行動の痕跡といえる。その境界線を店側が越えたように見えたからこそ、ファンの反発は大きくなった。
さらに、来店情報をクラブの大型スクリーンに表示したとの情報も、ファンの不快感を強めた。真偽や経緯の詳細は別として、JUNG KOOKの来店が店側や周囲の“自慢”や“イベント”のように扱われた印象を与えたためだ。
店にとっては、世界的スターが来てくれた喜びだったのかもしれない。しかし、その喜びが本人の私的な時間や痕跡をコンテンツ化する方向へ向かった瞬間、ファンの目には“歓迎”ではなく“利用”に映る。

今回の件がさらに敏感に受け止められているのは、JUNG KOOK自身が“サセン”(私生活を脅かす過激なファン)被害へのストレスを示した直後だったことも大きい。
JUNG KOOKは6月1日、自身のインスタグラムストーリーにランニング中の映像を投稿した。22時58分、黒いマスクと帽子で顔を隠し、漢江(ハンガン)周辺で運動する姿が映っていた。
彼は「僕を捕まえたらセルカ」と書いており、オンライン上では実際にJUNG KOOKと遭遇して一緒に写真を撮ったとする投稿も見られた。
一方でJUNG KOOKは、カメラに向かって「家の近くで待機しろという意味じゃない」と警告し、「本当に晒してやる」といった趣旨の言葉でサセンに不快感を示した。
これまでもJUNG KOOKは、自宅への侵入被害を受けてきた。昨年8月には40代女性がソウル・龍山区にあるJUNG KOOKの自宅駐車場に侵入して警察に現行犯逮捕され、その2カ月前には30代の中国人女性が自宅玄関の暗証番号を何度も押し、侵入を試みたとして逮捕されたことがある。
飲食店の件は、自宅周辺で待ち伏せするサセン行為とは性質が異なる。それでも、JUNG KOOKの私的な時間や行動の痕跡が、本人の意図を離れて誰かのコンテンツになっていくという点では、同じ危うさを感じさせる。
それぞれの行為の重さは違っても、共通しているのは、スターの生活の一部を“見せ物”に変えてしまう感覚だ。
JUNG KOOKほどのスターが店に来れば、店側が興奮するのは理解できる。サインを飾りたい、来店を誇りたい、ファンに知ってほしいという気持ちもあるだろう。
ただ、その気持ちには線引きが必要だ。
特にBTSのように世界中に巨大なファンダムを持つアーティストの場合、店側の小さな投稿が一気に国境を越えて拡散される。軽い冗談や身内向けの動画のつもりでも、世界中のファンから見れば、アーティストへのリスペクトを欠いた行動として受け止められる可能性がある。

JUNG KOOKがサインを残したことは、本来なら温かい話題だったはずだ。“聖地巡礼”として今後、多くのファンが訪れるきっかけにもなったことだろう。
だが、食べ残しを公開したとされる行為や、来店情報をクラブのスクリーンに表示したとの情報が加わったことで、話は一気に違う方向へ進んだ。「この店に行く気満々だったのに残念」「この店のオーナーにチャンスを与えるな」といった反応も出ている。
今回の騒動は、スターへの歓迎と、スターの痕跡を消費することの危うい境界線を浮かび上がらせた。
サインは、JUNG KOOKが店に残した好意だった。しかし、食べ残しまで“記念品”のように扱われたとき、その好意は一気に別の意味を帯びてしまう。
来店を喜ぶことと、私的な痕跡まで見せ物にすることは違う。JUNG KOOKをめぐる今回の波紋は、人気スターに接する側の節度を改めて問う出来事になった。
■【写真】JUNG KOOK、バキバキ筋肉にタトゥーびっしり


