“ヨン様”ことペ・ヨンジュンの近況が、久しぶりにとらえられた。
シンガポールの空港で、妻パク・スジン、子どもたち、さらにパク・シネ、チェ・テジュン夫妻らとともに移動する姿が現地メディアによって報じられたのだ。
公開された映像でペ・ヨンジュンは、ラフな服装で荷物を引きながら、子どもたちを気遣う様子を見せていた。かつて日本中を熱狂させた韓流スターは、いまや家族を支える父親の顔を見せている。
ペ・ヨンジュンの近況が注目されるのは、彼がスーパースターだからであり、同時に、あまりにも長く芸能界の表舞台から姿を消しているからでもあるだろう。
そして、多くのファンは今も「ペ・ヨンジュンは本当に芸能界を離れたのか」と考えている。今回の久々の近況は、その問いを改めて浮かび上がらせている。
家族とともにシンガポール空港で目撃
シンガポールメディア『聯合早報』は6月8日、ペ・ヨンジュン、パク・スジン夫妻と、パク・シネ、チェ・テジュン夫妻が、子どもたちとともに7日にシンガポールを訪れたと報じた。

空港で撮影された映像には、2組の家族が一緒に移動する様子が映っていた。
ペ・ヨンジュンは長髪に帽子とマスク姿。ラフな服装で荷物を引きながら、子どもたちを見守っていた。パク・スジンもマスクを着け、白いシャツ姿で入国場に現れ、歩きながらも子どもたちを気にかける様子を見せたという。
パク・シネとチェ・テジュン一家の姿もあった。現在、第2子を妊娠中のパク・シネは、黒いバケットハットにゆったりした服装で空港に現れ、ベビーカーや荷物を自ら確認しながら移動していた。
ペ・ヨンジュン、パク・スジン夫妻は2015年に結婚し、1男1女をもうけている。結婚後は韓国での芸能活動をほとんど行わず、ハワイに移住したと伝えられてきた。
それだけに今回の空港での目撃は、家族での移動の一場面でありながら、久々の“ヨン様の近況”として大きな関心を集めた。

ペ・ヨンジュンの近況がニュースになるのは、一言でいえば、長く俳優として活動していないからだ。
ペ・ヨンジュンの主演作は、2007年のドラマ『太王四神記』が最後だ。その後、2011年のドラマ『ドリームハイ』に特別出演し、教養番組『韓国の美しさを求めて旅立った旅行』に出演して以降、放送活動は事実上止まっている。
2022年には、公式ホームページのドメインが消えたことも話題になった。ポータルサイトのプロフィールに連動していた公式ホームページに「buy this domain」という表示が出たことで、本格的に引退説が浮上したのだ。
当時、ペ・ヨンジュンの側近は、本人がはっきりと引退を宣言したわけではないとしながらも、「SMエンターテインメントに保有していた株式を渡したとき、韓国芸能界からは美しい退場をしたわけだ。引退に他ならなかった」といった趣旨で近況を説明している。
ペ・ヨンジュンは、公式な引退会見を開いたわけではない。しかし、10年以上も俳優活動をしておらず、所属事務所との契約もなく、公式ホームページも実質的に役割を終えた。
その歩みを見れば、芸能界からはすでに静かに距離を置いていると見るのが自然だろう。
俳優ではなく、父親・投資家としての現在
今回のシンガポール空港での姿が印象的だったのは、そこに“韓流スター”としてのペ・ヨンジュンではなく、父親としてのペ・ヨンジュンがいたことだ。
彼は荷物を引き、子どもたちを気遣い、家族とともに移動していた。
日本では『冬のソナタ』の大ヒットによって“ヨン様”と呼ばれ、韓流ブームの象徴となった。空港には大勢のファンが殺到し、彼の来日や一挙手一投足が社会現象のように扱われた時代もある。

しかし今、映像に映っていたペ・ヨンジュンは、熱狂の中心に立つスターではなく、家族を守る父親であり、静かな生活を選んだ一人の夫だ。
結婚後、ペ・ヨンジュンとパク・スジンはハワイで暮らしていると伝えられてきた。子どもたちが現地の名門私立学校に通っているという近況も話題になり、夫妻が同校の寄付者リストに名前を連ねていたことも注目された。
また2024年12月には、2人が延世医療院に30億ウォン(約3億円)を寄付したことも明らかになっている。医療院の発展や、低所得層の青少年・乳幼児の治療支援のための寄付だった。
表舞台には立たない。だが、家庭、教育、寄付といった形で、彼の現在は断片的に伝えられている。
一方で、ペ・ヨンジュンは芸能界と完全に無関係になったわけでもない。今年3月には、芸能活動ではなく、株式取得で名前が報じられた。

金融監督院の電子公示システムで公開された資料によると、ペ・ヨンジュンは3月5日と6日の2日間、市場内取引を通じてBLITZWAYエンターテインメントの普通株を追加取得した。
買い付け規模は約4億ウォン(約4000万円)とされ、これにより保有株式は増加。持ち株比率は約8.63%になったと報じられている。
BLITZWAYエンターテインメントは、俳優や歌手のマネジメントに加え、ドラマ制作やグッズ事業なども手がける総合エンターテインメント企業だ。所属アーティストには、チュ・ジフン、チョン・ウヒ、ウ・ドファン、ムン・チェウォン、チェ・ジョンヒョプ、EXOのド・ギョンスらが名を連ねている。
ここに、現在のペ・ヨンジュンの立ち位置が見える。
彼はもう、俳優としてカメラの前に立っていない。だが、エンタメ企業の主要株主として、韓国芸能界と完全に切れているわけではない。
かつては俳優として韓流をけん引し、キーイーストを率いた事業家でもあった。現在は、マネジメントの前面に出るというより、資本を通じてエンタメ産業に関わる存在になっているようにも見える。
“ヨン様”は消えたのではない。表舞台から裏側へと、立ち位置を変えたのだ。
引退宣言なき“静かな退場”
ペ・ヨンジュンの現在を語るうえで難しいのは、彼が自ら「引退」を宣言していないことだ。
だから、形式上は俳優を引退したとは言い切れない。しかし、作品活動は長く止まり、公式な露出もほとんどない。韓国での所属事務所もなく、芸能活動の再開をうかがわせる動きもない。
2022年に側近が語った「美しい退場」という表現は、ペ・ヨンジュンの現在をよく表している。
2018年、ペ・ヨンジュンは自らが代表を務めたキーイーストの持分をSMエンターテインメントに売却した。その後、別途マネジメント契約を結ぶこともなく、俳優としての活動も再開しなかった。
側近は当時、ペ・ヨンジュンがキーイーストの株式を整理した時点で、韓国芸能界からは事実上、退場したようなものだと説明している。
派手な引退会見も、最後の出演作を掲げた別れの挨拶もなかった。ただ、作品から離れ、会社を整理し、家族と海外で暮らすようになった。気づけば“ヨン様”は、スポットライトの中央から静かに姿を消していた。
それでも、ペ・ヨンジュンという名前は今なお強い。シンガポールの空港で撮られた家族の映像が韓国メディアで報じられ、今でも関心を呼ぶのは、彼が韓流の歴史に残した存在感がそれだけ大きいからだ。

『冬のソナタ』で日本の中高年女性を中心に爆発的な人気を集め、韓流ブームを社会現象にまで押し上げた。韓国俳優が日本でここまで熱狂的に迎えられる時代を切り開いた人物の一人が、ペ・ヨンジュンだった。
現在のK-POPや韓国ドラマの世界的人気を考えると、韓流はもはや一過性の流行ではなく、巨大な文化産業となっている。
その最初期の熱狂を象徴したのが、“ヨン様”だった。
今後、彼が俳優として戻ってくる可能性は高くないのかもしれない。少なくとも、現在伝えられている近況からは、作品復帰よりも家族との生活、投資、寄付といった側面のほうが強く見えている。
それでも、その静けさまで含めて、ペ・ヨンジュンらしいともいえる。彼が残した熱狂は、今も韓流の歴史のなかに確かに残っている。


