“消された元メンバー”が、別のルートから芸能界に戻ってくる。
ガールズグループLE SSERAFIMを脱退したキム・ガラムが、女優として再デビューすることになった。
芸能事務所マネジメントKOOは6月16日、キム・ガラムとの専属契約締結を発表した。
同社は、キム・ガラムのYouTube活動を継続的に見守るなかで、「俳優としての成長可能性と誠実な態度に深い印象を受けた」と説明。続けて「夢を実現するために日々努力し、発展していく姿が契約決定の重要なきっかけになった」と明らかにした。
さらに、「俳優キム・ガラムが演技力向上のために訓練と研究を続けており、短期間で目に見える成長を見せている」とも伝えた。今後の成長可能性と潜在力が大きいと判断し、専属契約を結んだという。
つまり、彼女はアイドルとしてではなく、女優として再び芸能界に立つことになる。
LE SSERAFIMの“消された元メンバー”
そもそもキム・ガラムは、2022年5月にLE SSERAFIMのメンバーとしてデビューした。

しかし、デビュー前後から学生時代をめぐる校内暴力疑惑が浮上し、同年7月にSOURCE MUSICとの専属契約解除とグループ脱退が発表された。
韓国メディアでは、過去に学校暴力対策自治委員会で「加害者」と認定され、「5号処分(特別教育履修6時間の懲戒)」を受けたと報じられている。
一方で、キム・ガラム本人は脱退後、自身の立場を明かし、「誰かを殴ったり暴力を加えたことは一度もない」「誰かをいじめたり仲間外れにしたこともない」と疑惑を否定してきた。
そのため、彼女をめぐる視線は今も割れている。復帰を応援する声がある一方で、疑惑が完全に忘れられたわけではなく、冷ややかな反応も残っている。
それでも、キム・ガラムの名前は消えなかった。その理由のひとつは、彼女がLE SSERAFIMの“始まり”に確かにいたメンバーだからだ。
LE SSERAFIMは現在、5人体制でK-POPを代表するガールズグループのひとつへと成長している。『ANTIFRAGILE』『UNFORGIVEN』『EASY』『CRAZY』などを通じて国内外で存在感を広げ、ワールドツアーや日本公演でも大きな成果を残してきた。

直近でも、LE SSERAFIMはILLIT、KATSEYEとのコラボレーションシングル『ICONIC BY MISTAKE』で話題を集めている。同曲は公開初日にSpotifyの「デイリートップソング・グローバル」で29位、アメリカでは26位に入ったと報じられた。音源公開前から注目を集めたプロジェクトが、チャートでも結果を出した形だ。
LE SSERAFIMが世界的な舞台で存在感を増すほど、デビュー初期にチームを離れたキム・ガラムの名前もまた、別の形で思い出される。
彼女がLE SSERAFIMとして活動した期間は短かった。だが、デビュー曲『FEARLESS』のミュージックビデオには、今も6人時代の姿が残っている。映像の中には、現在の5人だけでなく、キム・ガラムの姿も確かにある。

一方で、現在の公式コンテンツでは、当然ながら5人のLE SSERAFIMが前面に出る。デビュー当時の映像にはいる。現在の公式史にはいない。LE SSERAFIMのデビューを扱ったドキュメンタリーでは、最終デビュー組に合流できないままグループを抜けることになったメンバーの姿はあったものの、キム・ガラムの姿はどこにもなく、存在そのものがなかったかのように扱われた。
そのズレが、LE SSERAFIMの活躍が報じられるたびに、キム・ガラムという存在を影のように呼び戻してきた。
実際、今年5月には韓国のネット投票で、キム・ガラムが「チーム脱退を最も後悔していそうなスター」1位に選ばれた。もちろん、本人が本当に後悔しているかどうかは本人にしかわからない。だが、この残酷な投票結果は、外野がいかに彼女の“脱退しなかった世界線”を想像しているかを示していた。
「彼女がもし残っていたら」「もし疑惑がなかったら」「もしLE SSERAFIMの一員として今も活動していたら」。そうした想像は、本人の意思とは関係なく、LE SSERAFIMの成功が大きくなるほど膨らんでいく。
女優という別のルート
一方で、キム・ガラム本人も完全に沈黙していたわけではない。
今年3月、彼女は個人YouTubeチャンネル「garamonly」を開設した。

動画では、演技練習や大学生活、日常の姿などを公開。開設から一日で登録者10万人を突破し、6月16日現在では登録者が26.8万人を超えている。公開動画も8本に増え、彼女の近況には今も大きな関心が寄せられている。
注目すべきは、そのYouTube活動が、今回の女優デビューにつながったように見える点だ。
マネジメントKOOは、キム・ガラムのYouTube活動を見守るなかで、女優としての可能性と成長を評価したと説明している。つまり、YouTubeは単なる近況報告ではなく、彼女が芸能界へ戻るための“助走”でもあった。
とはいえ、女優としての再出発は簡単ではない。彼女の名前には、今もLE SSERAFIM脱退と校内暴力疑惑の記憶がつきまとう。どれだけ演技を磨いても、しばらくは「元LE SSERAFIM」「校内暴力疑惑で脱退したメンバー」という説明から逃れることは難しいだろう。
それでも、今回の専属契約には意味がある。
キム・ガラムは、LE SSERAFIMに戻るわけではない。アイドルグループの一員として再びステージに立つわけでもない。女優という別のルートから、自分の名前で評価される場所を探そうとしている。

それは、失った場所を取り戻すというより、新しい場所で自分を作り直す試みだ。
LE SSERAFIMの成功は、キム・ガラムが失った未来を何度も照らしてきた。だが、女優として再出発する彼女に問われるのは、もはや「もし残っていたら」だけではない。
“消された元メンバー”という呼び方は、あくまでLE SSERAFIMの物語の中で生まれたものだ。女優として歩き始めるなら、そこから抜け出せるかどうかは、これからの彼女自身にかかっている。
キム・ガラムの再出発は、祝福だけで迎えられるものではないだろう。それでも、LE SSERAFIMの影として語られてきた彼女が、別の場所で自分の名前を取り戻そうとしていることは確かに伝わってくる。
◇キム・ガラム プロフィール
2005年11月16日生まれ、ソウル出身。2022年5月、ガールズグループLE SSERAFIMのメンバーとしてデビュー。同年4月にデビューが予告された直後から、ネット上で過去の不適切な言動やいじめに関する証言が浮上し、騒動に。所属事務所が疑惑を否定してデビューを強行したが、騒動は収まらず、わずか20日で活動休止に。最終的にデビューから2カ月後の7月20日に専属契約が解除され、グループから脱退した。脱退後、学生生活を送り、2025年5月にSNS活動を再開した。


