歩きながら故意に通行人の肩などにぶつかる日本の“ぶつかり”問題が、韓国で再び注目されている。
きっかけは、ガールズグループRESCENE(リセンヌ)の日本人メンバー、ミナミが渋谷を歩く動画だった。
ギャル風のスタイリングで街を歩くミナミのそばに、通行中の男性が肩を入れて近づいたように見える場面が映り込み、韓国SNSで「意図的にぶつかろうとしたのではないか」と物議を醸している。
問題の場面は、ミナミが渋谷のスクランブル交差点付近とみられる場所を歩いている途中に映っていた。動画では、進行方向とは違う角度から男性が近づき、ミナミの肩付近に接近するように見える。
ミナミはすぐに身をかわしたため、強く接触した様子は確認できないが、その不自然にも見える動きが韓国のネットユーザーの目に留まった。
日本人メンバーだからこそ広がった“不安”

ある韓国ユーザーはXに「RESCENE・ミナミに肩パンを狙って入ってくる通行人」「日本だ。日本の人たちは一体なぜああなのか」といった内容の投稿を行い、当該場面を拡散。投稿は1500万回を超える表示を記録するなど、大きな反響を呼んでいる。
韓国SNSでは、「本当にあるんだ」「怖すぎる」「日本で肩をぶつけられたことがある」「うまく避けられてよかった」といった反応が相次いだ。
今回、特に興味深いのは、ミナミが韓国人観光客ではなく、日本人メンバーである点だ。
RESCENEは韓国で活動するガールズグループだが、ミナミは日本出身のメンバーとして知られている。そのミナミが日本の渋谷で撮影した動画で、いわゆる“ぶつかり”ではないかと疑われる場面が映ったことで、韓国SNSでは「日本では本当にこういうことが起きるのか」という反応が改めて広がった。
韓国では近年、日本の都市部で通行人にわざと体をぶつける行為が、「ブツカリ」として知られ始めている。日本語の「ぶつかり」が、そのまま「ブツカリ」として韓国語圏でも共有されているほどだ。
ミナミの動画以前にも、元プロゲーマーで俳優としても活動するミン・チャンギが福岡で屋外配信をしていた際、肩をぶつけるように近づいてきた男性を避ける場面が話題になった。
韓国メディアはこの行為を日本語のまま「ブツカリ」と紹介し、日本旅行中に注意すべき迷惑行為の一つとして取り上げていた。さらに、韓国のネット上では「東京、福岡、大阪で全部やられた」「大阪で肩をぶつけられた」「旅行中に似た経験をした」といった体験談も共有されてきた。
今回のミナミの動画は、そうした不安と重なった。

つまり、単に「K-POPアイドルが渋谷で危ない目に遭った」という話ではなく、韓国のネットユーザーにとっては、すでに共有されつつあった「日本の街中で突然ぶつかられるかもしれない」という感覚を、改めて可視化する映像として受け止められたのだ。
もちろん、動画だけで男性の意図を断定することはできない。
渋谷のスクランブル交差点周辺は、世界的にも混雑する場所だ。人の流れが複雑に交錯し、歩く方向が急に変わることもある。混雑した場所で通行人同士が接近したり、ぶつかりそうになったりすること自体は珍しくない。
そのため、韓国ネット上でも一部には「混雑した道なら起こりうる」「動画だけで意図的と決めつけるのは早い」といった慎重な声もある。
それでも批判が広がったのは、男性の動きが不自然に見えると受け止めた人が多かったからだ。
SNS上では、動画の前後を確認したユーザーが「急に進行方向を変えているように見える」「ぶつかれなかったあとに振り返って確認しているように見える」といった指摘も行っている。こうした分析が加わったことで、「単なる混雑」ではなく「意図的なぶつかりではないか」という見方が広がった。
多くの韓国人が訪れるからこそ
この問題は、訪日韓国人の増加とも無関係ではないだろう。
日本政府観光局(JNTO)が6月17日に発表したところによると、5月の訪日外客数は355万9900人だった。
国・地域別で見ると、最多は韓国からの訪日客で、95万1300人に上る。これは全体の約26.7%にあたり、日本を訪れる外国人観光客の4人に1人以上が韓国人という計算になる。
韓国人にとって日本は非常に身近で人気のある旅行先というわけだ。だからこそ、日本での嫌な体験や危険に見える場面も、韓国SNSで一気に共有されやすい。
観光客が増えれば、その国の魅力だけでなく、そこで体験した不快感や不安もまた広がる。日本の“ぶつかり”問題が韓国で注目されるようになった背景には、単にSNS映像のインパクトだけではなく、訪日韓国人が多いという現実もあるからだろう。
今回、ミナミの該当シーンが大きく拡散されたのも、その文脈の中にある。

彼女が日本人メンバーであることは、むしろ今回の反応をより象徴的にしている。日本出身のメンバーでさえ、渋谷であのような場面に遭遇したように見えた。それが韓国の視聴者にとって、「日本旅行中の自分にも起こりうること」として受け止められたのだろう。
RESCENE・ミナミの動画は、日本の“ぶつかり”が、韓国で「日本旅行で気をつけるべきこと」の一つとして受け止められ始めていることを、改めて示す出来事になった。
訪日韓国人が増えるほど、日本の魅力も、不安も、韓国に届きやすくなる。今回の騒動は、日本旅行人気の裏側で、街中の小さな違和感までもが国境を越えて共有される時代になったことを映している。
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