見慣れた顔があった。
吉田麻也だ。
本紙『スポーツソウル』の記者は6月14日(日本時間)、サッカー日本代表のトレーニング地である南メソジスト大学に足を運んだ。そこには現代表に加えて、吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)の姿もあった。
吉田はA代表通算127試合出場を誇る、日本サッカー界の“生けるレジェンド”とも言えるDFだ。サウサンプトン(イングランド)、サンプドリア(イタリア)、シャルケ04(ドイツ)など欧州主要リーグで活躍したスター選手で、現在開催中の北中米W杯では“トレーニングパートナー”という立場で代表に帯同している。

今年5月末に行われた代表引退試合後、森保一監督から要請を受けた吉田は、自ら時間を割いてチームを支えることを決意。試合に出場するわけではないが、精神的支柱として、またW杯経験者として自身のノウハウを若手に伝える役割を担っている。
この日もすべてのトレーニングをともにこなし、その後は裸足のまま一部選手たちと会話を交わしていた。吉田だけでなく、負傷によりメンバーから外れた南野拓実(ASモナコ)もチームに同行し、ボール拾いなど裏方の仕事を全うしながら選手たちを支えている。
そしてひとたびベンチに目を向けると、豪華な顔ぶれが並ぶ。日本人選手の欧州移籍の先駆者としてレッジーナ(イタリア)、セルティック(スコットランド)、エスパニョール(スペイン)でプレーした中村俊輔だ。現役時代の芸術的なフリーキックは韓国でもよく知られる。今年から代表スタッフに加わり、W杯をともに戦っている。
また、中村俊輔や中田英寿、小野伸二、稲本潤一といった“欧州組第1世代”から第2世代への移り変わりを象徴する存在である長谷部誠も、この2年間、代表コーチとして大きな役割を果たしている。長谷部はヴォルフスブルクやニュルンベルクでプレーしたのち、フランクフルトのレジェンドとなり、アジア人選手としてブンデスリーガ最多出場記録を樹立した名MFだ。彼もまた、森保ジャパンを支える重要なスタッフの一人である。
ほかにも名波浩、前田遼一、齊藤俊秀、下田崇と、日本サッカーを牽引してきた先人たちが勢ぞろいしている。
現在の森保ジャパンは26人の登録メンバーのうち23人が欧州組で、それにふさわしい“超豪華”なコーチ陣を擁している。
このように、欧州組“アベンジャーズ”とも言えるスタッフを擁する日本は、グループリーグ初戦でオランダと激戦の末に2-2で引き分けた。続く第2戦ではチュニジアを4-0で下し、高いレベルのサッカーを披露した。三笘薫(ブライトン)、遠藤航(リバプール)、南野ら主力選手が負傷で選出されなかった状況でも、素晴らしい戦いぶりを見せている。
こうした日本代表に羨望の声を上げる韓国人は少なくない。欧州組の多さや、韓国とは次元の異なるシステムを称賛し、「日本に学ぶべきだ」と語る関係者も多い。とりわけ欧州で活躍したレジェンドたちは、テレビやYouTubeなどさまざまな場で韓国サッカーの問題点を指摘しており、その発言はたびたびニュースとなって多くの共感を集めている。
しかし、そんな彼らが見落としていることがある。

韓国には、吉田のように自らの時間を惜しまず若手に尽くすベテランや、中村や長谷部のように脚光を浴びることなくスタッフとしてチームに貢献するレジェンドがほとんどいないという事実だ。
現在の韓国サッカーが抱える大きな問題の一つは、1970年代後半から1980年代半ば生まれの引退選手たちに見られる“指導者離れ”だ。もちろん全員ではないが、知名度の高い元選手ほどコーチとして下積みをすることを避け、世間から批判を受ける可能性のある指導者の道を選びたがらない傾向がある。
その代わり、外部から評価し問題点を指摘する役割にとどまっている。
一方の日本は、現役選手たちが憧れたレジェンドたちがコーチやトレーニングパートナーとしてチームに加わり、自らの経験と知識を還元している。それだけでなく、今大会で39歳の最年長選手として選出された長友佑都(FC東京)は、2試合を終えた時点で出場機会こそないものの、チームを一つにまとめる求心力として機能している。最終的な成績がどうなるかは分からないが、強いチームをさらに強くする要素であることは間違いない。
日本の先進的なシステムから学ぶべき点は多い。しかし、それだけではない。
引退後にどのような職業を選ぶかは個人の自由だが、それでも、なぜ韓国には“アベンジャーズ”が存在しないのかを真剣に考えなければ、日本との格差はさらに広がっていくだろう。


