韓国焼酎の代名詞ともいえるJINROが、世界でまた一つ大きな記録を打ち立てた。
ハイトジンロの輸出統合ブランド「JINRO」は、イギリスの酒類専門誌『Drinks International』が発表する「世界で最も売れた蒸留酒」部門で、25年連続1位に選ばれた。
昨年の世界販売量は9450万ケース。韓国のソジュ(焼酎)が、いまや韓国国内だけでなく、世界の酒類市場でも圧倒的な存在感を見せているわけだ。
そのJINROを代表するブランドの一つが、日本でも知られる「チャミスル」だ。
1998年に発売されたチャミスルは、韓国で長く愛されてきた国民的焼酎といえる。ハイトジンロによれば、今年5月までの累計販売量は約413億本(360ml基準)を突破。これは1秒あたり約47本が売れた計算になるという。
トップスターがズラリ

チャミスルが長く愛されてきた理由は、味や価格だけでは語りきれない。
韓国でこのブランドのイメージを作ってきた存在として欠かせないのが、時代ごとに広告モデルを務めてきたスターたちだ。
チャミスルが女性芸能人を広告モデルに起用したのは1999年、のちにドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』などでアジア的な人気を得る女優イ・ヨンエだ。
イ・ヨンエといえば、「酸素のような女性」と呼ばれた清楚で知的なイメージを持つ韓国を代表する女優。彼女がチャミスルの“顔”を務めたことは、ブランドの方向性を象徴する出来事でもあった。

その後も、ファン・スジョン、パク・チュミ、キム・ジョンウン、キム・テヒ、ソン・ユリ、キム・アジュン、ハ・ジウォンら、韓国芸能界の華やかな顔ぶれがチャミスルのモデルを務めてきた。
この並びを見るだけでも、チャミスルが単なる酒類広告ではなく、その時代の人気女優やスターのイメージを借りながら、ブランドの“清潔感”や“親しみやすさ”を作ってきたことがわかる。
なかでもキム・テヒは「韓国で最も美しい女優」として知られ、ハ・ジウォンはドラマや映画で強い存在感を見せてきたトップ女優だ。ソン・ユリはガールズグループFin.K.L.出身で、女優としても活躍した。チャミスルの歴代モデルを振り返ることは、そのまま韓国芸能界のスターの移り変わりを眺めることにも近い。

2010年代に入ると、チャミスルの“顔”はさらに広がっていく。
2010年からは、イ・ビョンホンの妻としても知られる女優イ・ミンジョンがモデルを務め、2012年にはムン・チェウォン、そして2014年にはコン・ヒョジンがチャミスルのモデルとして登場した。
コン・ヒョジンは、韓国で“コンブリー”の愛称でも親しまれる女優だ。親しみやすさと個性を併せ持つ彼女の起用は、チャミスルが単に“きれいなモデル”を立てるだけではなく、時代ごとの空気感に合わせてブランドの表情を変えてきたことを示している。

そんなチャミスルの歴代モデルの中でも、特に象徴的な存在となったのが歌手兼女優のIUだろう。
IUは2014年から2018年まで約4年間、チャミスルのモデルとして活動した。ハイトジンロは当時、アイドルでありシンガーソングライターであり、女優としても活躍するIUを起用することで、若い世代との接点を広げた。
韓国メディアによれば、IUがモデルとして活動していた期間、チャミスルは年商1兆ウォン(約1000億円)を突破し、IUにはその功績を認める形で名誉社員証や感謝牌が贈られたという。
もちろん、売上成長をIUだけの力と断定することはできないが、チャミスルというブランドにとって、IUが非常に重要な“顔”だったことは間違いない。

2018年には、チャミスルのモデルが5年ぶりに交代した。新たに起用されたのは、Red Velvetのアイリーンだった。
当時、ハイトジンロはアイリーンをモデルに選んだ理由について、「チャミスルの露のような清潔感とアイリーンの多彩な魅力がよく合う」と説明している。また、若い世代とのコミュニケーションを強化する狙いもあった。
アイリーンの起用は、チャミスルが女優だけでなく、K-POPアイドルのスター性にも目を向けた象徴的な出来事だった。韓国の酒類広告において、清潔感、話題性、若者への訴求力は大きな意味を持つ。アイリーンはその条件に合う存在として、チャミスルの新たな顔を担ったのだ。

そして2020年、ハイトジンロはIUをチャミスルのブランドモデルに再起用した。これはチャミスル史上初の再起用だ。
ハイトジンロ側は、IUについて「多様な年齢層から愛され、知名度と代表性を持っている」とし、IUだけの清潔なイメージが歴代モデルの中でもブランドと最もよく合うという評価を受けたと説明している。
一度モデルを離れたスターが、再び同じブランドの顔に戻ってくる。それは、単なる人気だけでは成立しにくい。ブランド側が求めるイメージと、スター本人が持つ空気感が長く重なり続けていたからこそ実現した起用だった。
実際、IUは現在もチャミスルの広告で存在感を見せている。
今年5月にもチャミスル側は、公式SNSでIUの広告ビジュアルを公開し、彼女をチャミスルらしい表現で「イスル妖精」と呼んだ。白を基調にした衣装で清純な雰囲気を見せるIUの姿は、チャミスルが長年打ち出してきた“きれい”“澄んでいる”というブランドイメージと重なる。

チャミスルの歴代モデルを振り返ると、そこには韓国芸能界の流れが映っている。
JINROが25年連続で世界販売1位という記録を打ち立て、チャミスルも国内でリニューアルを続ける今、その歩みを彩ってきた歴代モデルたちの存在も改めて目を引く。
韓国焼酎が世界に広がるまでの道のりには、味や流通だけでなく、スターたちが作ってきた親しみやすいブランドイメージも確かに重なっている。
■【写真】“韓国で最も美しい女優”キム・テヒ、「不意打ちショットも国宝級」


